狭心症、再発抑える「カテーテル手術」が進化実力病院調査

心筋に血液を送る冠動脈が狭まったり詰まったりする狭心症。日本経済新聞社が実施した実力病院調査では、カテーテルで血管を広げる「カテーテル手術」が“進化”していることが明らかになった。患者負担を軽減し、再び血管が細くなる再狭窄(きょうさく)を極限まで減らす地道な取り組みが続いている。

モニター画面を見ながら血管内治療をする医師(札幌市の札幌心臓血管クリニック)

狭心症の治療は、生活習慣の改善と並行して薬の内服で始まることが多いが、病状が悪化すると手術が必要となる。今回の調査で「手術あり」が全国最多の2402件だった札幌心臓血管クリニック(札幌市)は、心臓血管外科医5人と循環器内科医13人の陣容で患者の状態に応じてきめ細かく対応する。

得意とするのはカテーテル手術。血管が狭くなった場所まで細い管(カテーテル)を入れ、風船を膨らませて広げた後に金属製の筒「ステント」を置くのが一般的だ。カテーテルを入れるのは、出血量の少ない手首からが大半で、入院も1泊2日で済むという。

ステントが使われるようになった約30年前には1年以内の再狭窄率は3割だったが、13年前に炎症反応を抑える薬が塗られた「薬剤溶出性ステント」が登場するなど今では1割以下という。同病院は3%に抑えているといい、藤田勉理事長は「技術の高さの表れ」と自信を見せる。

カテーテル手術が7番目に多かった徳島赤十字病院(徳島県小松島市)。循環器内科の当別当洋平副部長は「カテーテルでほぼ完結できるようになってきた」と話す。

拡大鏡を使いながら冠動脈に迂回路をつくるバイパス手術(東京都府中市の榊原記念病院)

外科手術としては、他の部位の血管で閉塞した部分に迂回路を作るバイパス手術もある。バイパスの方が成績が良いケースもあったが、カテーテルの成績が上回るようになり、同病院では10年前と比べてバイパスが半減しているという。

超音波で血管内を撮影する血管内超音波検査の普及も合併症の低減に効果を上げている。血管内にステントを置くのは高い技術と経験が必要とされてきたが、置く前後の状態を正確に判断できるようになった。同病院は10年ほど前に導入、血管の状態を正確に評価してステントを選んでいる。

ステントも改良が重ねられている。2015年に外側のポリマーが数カ月後に体内に吸収されるタイプが登場。16年には金属を使用せず、数年後に完全に消失するものも実用化された。

当別当副部長は「それぞれに一長一短があり、患者の状態に応じて5~6種類から最適なものを選び、使い分けている」と話す。「適切に病変を評価して、丁寧に治療する日本の血管内治療は世界でもトップクラス」と自負する。

ただ狭窄部が広範囲の場合などはバイパス手術が最後のとりでだ。心臓を動かしたままの手術では、特に高い技術力と経験が求められる。

榊原記念病院(東京都府中市)は今回の調査でバイパス手術の症例数が全国最多。以前は足の静脈を利用することがあったが、同院は胸骨に沿って走る内胸動脈を使用する。高梨秀一郎・心臓血管外科主任部長は「血管を正しく選び、有効に使えるかが患者の生活の質改善に大きく関わる」と力を込める。

豊富な症例数で次世代の育成にも力を入れる。専門医を目指す約10人の医師を受け入れ、1人あたり年に200件の手術を経験させているという。

調査の概要 調査は、症例数(診療実績)、医療の質や患者サービス(運営体制)、医療従事者の配置や医療機器などの設備(施設体制)の3つの視点で、病院選びの際に参考となる情報を、日経リサーチに依頼してインターネット上の公開データから抽出して実施した。
診療実績 厚生労働省が2017年2月に公開した15年4月~16年3月の退院患者数を症例数とした。対象は病名や手術方式で医療費を定額とするDPC制度を導入した1667病院のほか、導入準備中などを含め計3191病院。症例数の後の*は0~9例の誤差あり。「-」は0~9例。
運営体制 公益財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)が病院の依頼で医療の質や安全管理、患者サービスなどの項目を審査した結果を100点満点で換算。点数の後に*があるのは13年4月以降の評価方法「3rdG」で審査された病院で、各項目をS=4点、A=3点、B=2点、C=1点として合算、100点満点に換算した。
施設体制 医療従事者の配置や医療機器などについて、厚労省が定めた診療報酬施設基準を満たしたとして各病院が届け出た項目を比べた。16年10~12月時点での届出受理医療機関名簿を集計した。
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