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人生を変えるマネーハック

転職を成功させる鉄則 「会社を辞める前」に動く キャリアアップをマネーハック(4)

2017/6/26

PIXTA

 今月のマネーハックはキャリアアップについて考えていますが、最後のテーマは「転職活動」です。先週の「転職は3つのワードで考える 動機と目標を明確に」では、転職するかしないかは「年収」「仕事の内容」「人間関係」といった観点で検討することを提案しました。今回はその結果、転職を決めた人がやるべき具体的な行動について考えます。

 最初に転職活動で最も大事なことをいいます。転職を決断した人が最初にやることは「辞表を出す」ではありません。「会社を辞めずに転職活動する」が鉄則です。

■辞めてから転職活動は「悪手」

 転職を考えた以上は辞表を出して辞め、そこから転職活動を、という人がいます。あるいは今の会社のストレスから一度解放されて、のんびりしてから次を考えたいという人もいます。これはどちらも囲碁や将棋でいえば「悪手」です。とりあえず会社を先に辞めてしまうことは、2つの意味であなたを厳しい局面へ追い込むからです。

 まず、自己都合で辞めると「約100日間の無収入期間」が発生します。失業給付と多くの人が呼ぶ「雇用保険の求職者給付」は、自己都合で辞めた場合は給付までタイムラグが生じます。具体的には届け出からの待機期間7日プラス3カ月の間は支給がありません。つまり約100日は無収入で暮らさなければなりません。

 また、失業給付が始まっても期限があります。具体的には勤続10年未満の自己都合離職者は90日間の失業給付が受けられますが、この期間に就職先が決まらないと以後は完全無収入になります。就活の事実上のタイムリミットは先の約100日プラス90日、つまり半年間となります。

 こんな状況では就活を落ち着いて行い、雇用条件を冷静に判断することはできなくなります。「あと10日しか給付がないから、この会社の内定であきらめよう」というのでは転職によるステップアップは望めません。何のための転職なのか、これでは本末転倒といえます。

 仕事が決まらないからアルバイトをはじめて、アルバイトが忙しいので就活に戻れないというのもこれまた本末転倒でしょう。今働いている人は「辞めてから転職活動」は禁じ手とすべきなのです。

■転職活動は仕事しながら行う

 転職活動は「在職中に行う」ということが上策になります。転職の情報サイトはいくつかあります。個人のメールアドレスやスマートフォン(スマホ)を使えば、今勤めている会社に情報が漏れることはありません。面接も有給休暇を取ったり、退勤後に行ったりすれば、業務時間に転職活動をしたことにはなりませんから問題はありません。

 仕事をしながら転職活動をする最大のメリットは「納得いくまで保留ができる」ということです。「これは微妙な案件だなあ」というとき、あえて見送ることは、余裕がない無職者ではなかなかできません。今働いて給料のアテがあるからこそ、「もっといい条件まで見送ろう」と決断ができるわけです。このメリットはぜひ生かして好条件の転職先を見つけてください。

 このとき、間違えても同僚に転職活動をしていることを漏らさないようにしましょう。上司にいわないのは当然ですし(結果として転職しなかった場合、人事評価にマイナスの影響が残る可能性がある)、同僚にもいわないことがマナーだと思います(社内に情報が漏れたとき、あなたも同僚も居心地悪いことになります)。つまり、「臆することはないが慎重に」転職活動に励んでください。

■あなたがいなくても会社は回る

 転職活動をいざ始めたものの、「オレがこの会社を辞めたら、会社は回らないかもしれない。大丈夫だろうか」と心配する人がいます。まじめな人、責任感のある人ほどそういう傾向がありますが、これはまったくの杞憂(きゆう)です。

 まず、あなたひとりが欠けて会社が存続できないのなら、それは会社の経営者の責任です。事業継続性を高める努力を怠り、個人に過度に依存していた証拠だからです。

 もしそれほどまでにあなたに依存していたのなら、あなたが転職をしたいと思わないほど給料を出せばよかったはずです(そして転職しないから給料をあげてくれといっても普通は上がらない)。あなたが辞めて会社が困ったとしたら、それは会社の責任なのです。

 辞めたあとに昔の同僚と食事をしてみたりすると、会社は普通に機能しており「オレがいなくても同じなのか」と拍子抜けすることのほうが多いものです。辞めると決めたら、今の会社に情を感じるのはほどほどにすべきです。むしろ新しい会社で必要な知識の習得などに時間を使うといいでしょう。

 今の仕事の引き継ぎが終わったら、有給を消化することを考えましょう。たいていの人は10日以上余らせていると思いますが、これは次の会社に引き継げないし換金もできません。あなたの日給が1.5万円相当なら、10日の有給を使わないと15万円を捨ててしまうと考えましょう。有休消化は貴重なリフレッシュの時間にもなるはずです。

■転職は働き方を変化させる好機

 20歳~30歳代にかけては何度か転職をするのは、自分の「働く居場所」を見つけるいいチャレンジになると思います。そして、転職は年収を高めるいいチャンスでもあります。転職しても年収があまり変わらないこともありますが、それを知ることも転職の得がたい経験になります。

 会社員は学校のように3年や4年で卒業することがないので、同じ会社で働き続けているうちに、なかなか変化が起きにくくなります。転職は自分の働き方を変化させるいいチャンスです。

 ただし、転職に踏み込む以上は、仕事が今よりももっとレベルの高い内容となるようキャリアアップしてください。その結果、「お金」を多く稼ぎ、豊かさが手に入れば最高です。

 転職に挑む若い人が、新しい職場で楽しく働き、笑顔で過ごし(そしてできれば前より多い収入で)、毎日を暮らしていけることを応援しています。キャリアアップをぜひ頑張ってください。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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