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有森裕子 達人ランナーが守る「マイペース」とは

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

今年も早いもので半分が終わりました。梅雨のこの時期、ランナーの皆さんにとっては、外で走れない鬱々とした日々が続くかもしれません。しかしそんな時こそ、駅や職場での階段の上り下りなど、普段の生活でできる体づくりを目的としたトレーニングを実践してみてください。

また、走れない時期にこそ、改めてランニングについてゆっくり考える時間を設けることをお勧めします。これまでのトレーニング記録を見直したり、ランニング関連の書籍を読んでみたりすることで、練習メニューやランニングに取り組む姿勢が変わるかもしれません。

そんな「振り返り」のきっかけの1つになるかどうかは分かりませんが、今回はよく使われる「マイペース」という言葉について、私の考えをお伝えしたいと思います。

「マイペース」は自分のペースを守ることではない!?

皆さんは「マイペース」と聞くと、どんなことをイメージされますか? マラソンのシーンでは、「マイペースを保てば目標のタイムが出るよ!」「自分のペースを守れば必ずゴールできる!」など、アドバイスや激励をするときに使うことが多いと思います。マイペースという言葉は安易に使われがちですが、実はこの「自分のペースを守る」というのはとても難しいことです。

例えば、平坦な道を1人で黙々と走るトレーニングでは、自らのペースを崩される要因が少なく、一定のペースを保つことは比較的簡単です。ランニングに適した一定のテンポを刻む音楽でも聴きながら走れば、さらに集中しやすく、自分のペースを保ちやすくなるでしょう。しかし、実際の試合では、想定外のことが次々に起こります。

ペースを乱す原因は様々です。初心者ランナーは大勢のランナーと共にスタートラインに立った途端、興奮して最初から飛び出してしまうことがありますし、周りのランナーのペースが速ければ、つられていつの間にかオーバーペースになってしまうことも多々あります。練習と違って、周りの選手のスピードが速い中で、自分だけペースを落とすことはなかなかできないものです。

反対に、雨が降って体温が下がったり、気温の上昇や強い向かい風、予想以上の急な坂道などに遭遇すれば、体力が消耗し、足の疲労がたまってペースが落ちることもあります。

マラソンは屋外の様々な環境の中で走る競技だからこそ、あらゆるトラブルが起こります。人生と同じで、何が起こるか分からない……。その想定外のことを乗り越えて走り切るのが、マラソンの面白さだと私は思っています。それだけ、実際のレースで「マイペースで走る」のはとても難しいことなのです。特に、真面目できちょうめんな人ほど、いつも通りにいかないと、調子を大きく崩してしまうように感じます。

レースでの「想定外」を乗り越える順応性を鍛えよう

マイペースで走れる人は何が違うのでしょうか。一言で言えば、順応性にたけていることだと私は思います。どんな状況でも慌てず順応できる力こそが、自分のペースを保つことにつながるのです。

では、順応性を高めるにはどうすればいいか。それはトレーニングで鍛えるしかありません。自分の調子や気分に合わせて好きなように練習を組めることは市民ランナーの特権であり、ランニングというスポーツの魅力でもあります。しかしそれは、順応性を鍛えにくいという一面も併せ持ちます。

トップレベルのランナーたちは、どんなレースでもタイムが出せるように、あらゆる条件を想定した練習を行います。雨天でも強風の中でも走りますし、疲労がたまっている中で追い込むような厳しい練習もこなします。当然ですが、好き嫌いで練習内容を選ぶのではなく、どんな環境にも順応して勝てるように、あるいはタイムを狙えるように様々なトレーニングを監督やコーチが考えて指示しているのです。

そうしてあらゆる条件のもと、あらゆる強度のトレーニングを積んだ選手ほど、レースの流れに臨機応変に適応する力が高まり、 「想定外」の出来事に対応できるようになります。勝負でいう「マイペース」とは、必ずしも自分が決めた速さを守って走ることではありません。その時々の状況に合わせてペースを自分で作り出せる選手こそが、レースで勝てる選手なのです。

五輪や世界選手権のマラソンレースでは、揺さぶりを仕掛け、わざとペースを乱すような戦略を取るシーンを目にすることがあります。特にケニアやエチオピアといった走力が高い選手が集まる国ほど、チーム単位でペースを上げ下げするなどの揺さぶりを仕掛けてきます。

日本人はそんな外国人選手に比べてスピードが劣りますので、揺さぶりに対応できる能力が低い。そこで「自分の走りに徹しよう」としても、先頭集団に置いていかれてしまうと、結局、追いつけずに勝負に負けてしまうこともあります。大事なのは、揺さぶりをかけられるような場面を想定した練習を積んでいるか否か。揺さぶりをかけられても、動揺せずに離されずについていけるよう、スピードや持久力といった基礎力を鍛え続けることが大事なのです。あらゆる状況を考えながらトレーニングを積むことは勝負強さにもつながります。

市民ランナーの皆さんも、少しでもタイムを伸ばしたい、大会で上位に入りたいと考えているランニング中上級者の方は、自分の走りのキャパシティーを広げるために、あえて様々なバリエーションのトレーニングに取り組んでみるといいと思います。

暑い夏の練習に適したウエーブ走

そんな揺さぶりに効く練習の1つが「ウエーブ走(変化走)」です。ウエーブ走とは、速く走る時間とスピードを抑えて走る時間を交互に繰り返しながら、ペースの上げ下げを行うトレーニングです。

私の現役時代のトラック練習では、トータル6000mから10000mの距離でウエーブ走を行いました。2000mごとにスピードを変えますが、例えば最初の2000mは1km4分半のペースで入り、400mのジョギングで呼吸を整えます。次の2000mは1km3分40秒のスピードにまで上げて、再びジョギングで息を整えた後、1km4分ペースに落として2000mを走るといったイメージです。

もちろんこれは私の現役時代の練習ですし、市民ランナーの皆さんは、もっと距離を縮めて設定してもいいと思います。ウエーブ走はこまめにペースを切り替えるので、自分でペースをコントロールする練習になりますし、設定スピードや距離を変えればスピードを磨くことはもちろん、持久力やスタミナを強化する練習にもなります。スピードを意識して速く走った後、スピードを落としてフォームを整えるように意識しながら走る練習にもなります。傾斜のついた坂道などを利用すれば、さらなる持久力の強化だけではなく、足腰の強化にもつながるでしょう。設定次第でさまざまなバリエーションのトレーニングが生まれます。

これから暑い季節になれば、長時間の速いスピードでの練習は難しくなります。速いペースで走りつつ、呼吸をゆっくり落ち着かせてからペースを落として走ってみる。このメリハリを効かせた練習ならスピードとスタミナの両方を鍛えやすく、夏場でも続けやすい練習になると思います。

【レースでの順応性を鍛える2つのポイント】

1.様々な条件を想定した練習を行う

好きな練習ばかりでなく、スピード走、インターバルトレーニングなど、できるだけあらゆる練習を行い、走力のキャパシティを広げる。ロードだけではなく、土のグラウンドや芝生など、走る環境も変えてみる。

2.ウエーブ走でペースの切り替え力を身につける

速いスピードで走る時間、スピードを抑えて走る時間を交互に入れながら、ペースをこまめに変える練習を行うことで、自分でペース配分をコントロールできる力が養われる。 心拍数を極端に落としすぎず上げすぎず、ペースを切り替えて走り続けることで、持久力の底上げにもなる。

有森裕子
 元マラソンランナー1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

(ライター 高島三幸)

[日経Gooday 2017年6月13日付記事を再構成]

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