日経マネー

 ここで、あんかけスパさんの取引例を紹介しよう。16年9月1日に旧ユニーグループ・ホールディングスと経営統合した旧ファミリーマート(現ユニー・ファミリーマートホールディングス、東1・8028)を対象にしたものだ。統合の1カ月前に、同社株が日経平均株価の構成銘柄に採用されることが決定。採用に伴って買いが入り、株価の上昇が見込まれる点に着目した。翌日からファミリーマート株を買い、同業のセブン&アイ・ホールディングス(東1・3382)を空売りする取引を始めた。日経平均の採用買いが入った同年8月26日まで取引を続け、計600万円の利益を手にした。

 反対売買の対象にするのは、1銘柄とは限らない。同じ金額で同業の複数の銘柄を売買することもある。また株ではなく、日経平均先物や株価指数に連動するETF(上場投資信託)を組み合わせることもあるという。

資産増に伴って材料株投資も

 あんかけスパさんは、こうしたロング・ショートの取引を重ねて利益を積み上げた。「儲かるようになったので、ホームページ制作の仕事は徐々に減らしていって専業投資家になった」

 さらに12年からは、株価を上昇させる何らかのカタリスト(材料)がある銘柄を購入して、短期で値上がり益を得る投資も始めた。資産が膨らみ、小型銘柄に対しては大きな金額を投じづらいロング・ショートの取引だけでは運用しきれなくなったのが理由だ。

 16年2月には、プラスチック押し出し機などを製造するフリージア・マクロス(東2・6343)の佐々木ベジ会長が、企業向けパソコンなどの情報通信機器の販売を手掛けるソレキア(JQ・9867)に対してTOB(株式公開買い付け)を実施するというニュースに注目。他社が「ホワイトナイト(白馬の騎士)」として友好的買収に乗り出せば、TOB価格が上昇すると読み、ソレキア株を購入した。

 あんかけスパさんの思惑通りにソレキアと取引関係の深い富士通(東1・6702)が対抗してTOBを提案。引き上げ合戦で買い付け価格は最初の2800円から1.9倍の5450円まで上がった。最終的に佐々木会長側のTOBに応じて、計2000万円の売却益を得た。

 「現在は適正な株価の銘柄が多くなっているので、ロング・ショートの取引は手掛けにくい。材料に注目した売買を増やしていく考えだ」とあんかけスパさんは語る。

(日経マネー 中野目純一)

[日経マネー2017年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年 9 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP出版センター
価格 : 730円 (税込み)


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