31歳で2.6億円 試行錯誤5年、中小型株投資が開花ここが違う! 勝ち続ける億万投資家の素顔(3)

日経マネー

許容PERを20倍にしたのは次のような考えからだ。投資対象の3つの条件を適用すると、事業内容が理解できないバイオベンチャーやゲーム会社のように材料で株価が急騰する株、不動産会社のような景気循環株は対象から外れる。結果、PERの水準が他業種に比べて全般的に高い業種の企業を対象にすることはない。さらに銘柄をよく調べずに買う個人投資家もPERが20倍を超えていたら購入をためらうとも思い、「許容PERを一律に20倍にしてもいいだろう」と判断した。

3銘柄で大きく儲ける

こうした投資法を採用して最初に大きな売却益を出したのが、伊藤忠商事(東1・8001)のグループ会社で企業の売掛債権の保証を手掛けるイー・ギャランティ(東1・8771)だ。企業が販売相手の倒産などによって売掛金が回収できなくなった場合に損失を補填する。この保証サービスを利用する企業は、地方銀行や信用金庫などの金融機関に紹介してもらう仕組みだ。取引先の企業が売掛金を回収できずに倒産などに至る事態を防げるので、金融機関の利便性は高い。金融機関は横並び意識が強く、ある金融機関が採用すれば、他の金融機関が追随し、採用が次々と広がる。イー・ギャランティの業績は安定的に拡大し、それに伴って株価も徐々に上がると考えて、11年4月に購入した。

だが、このシナリオは結果として良い方向に外れる。同社株は人気化し、12年10月から急騰したのだ。わらしべ長者さんは、株価が買値の2倍を上回った13年1月から売り始め、同年5月上旬に売り切る。売却単価の平均は2645円と買値の約7倍。775万円の売却益を得た。ところが、同社の株価はその後も大きく上昇。ピークで4660円を付けた。この上昇分を取り逃した教訓から、株価が想定シナリオよりも早期に急騰した場合は、株価のチャートを見て、2番目の天井で売るというルールを導入した。

わらしべ長者さんは、イー・ギャランティ株や他の取引の売却益を投じ、信用取引も利用して、13年1月に婚活サイトなどを運営するIBJ(東1・6071)株を約1800万円分購入。さらに、15年9月以降に、非常勤医師の紹介サイトを運営するMRT(東マ・6034)を約1400万円分購入した。

このうち、MRTは想定よりも早く急騰した。2番天井で売るルールを適用して、買値の7倍余りで全株を売却し、9000万円の利益を上げた。IBJはまだ保有中だ。6月9日時点で株価は買値の5.5倍になり、含み益は約8500万円に達している。

調整局面も相場に居続ける

一方、16年11月からのトランプ相場には乗れなかった。米国の利上げによって日米の相場が崩れると読み、複数の銘柄で空売りを仕掛けたからだ。これが裏目に出て1400万円ほどの損を出した。

現状については「株価が全般的に割高になり、先述の方法で算出する目標株価との差も縮まって、大きく儲けられる銘柄が見当たらなくなっている。そのため、イオンフィナンシャルサービス(東1・8570)などを組み入れたりして、新たな投資の尺度を試している」と話す。

資産が膨らみ、「同じ20%の損失でも金額が大きい」ことから、現金を増やして信用買いも慎むようにした。相場の調整局面でも撤退はせずに空売りでしのぐ考えだ。

(日経マネー 中野目純一)

[日経マネー2017年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年 9 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP出版センター
価格 : 730円 (税込み)


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