「終の棲家」どう選ぶ? 種類多く複雑な高齢者施設終活見聞録(7)

サ高住は利用権方式が多い有料老人ホームと異なり、入居一時金がなく月払いの費用だけで済む賃貸方式の施設が主流。敷金のほか、家賃、共益費、生活支援サービス費などに費用を限定、書面での契約を必須としている。当初の資金負担が小さい上、途中退去することになっても、返還金のトラブルが生じる可能性は小さい。

比較的自立度が高い人の入居を想定していたサ高住だが、実際に入居している人の年齢はかなり高い。高齢者住宅財団の調査(13年)では、物件ごとの平均年齢は84歳代が最も多く、住宅型有料老人ホームの85歳代と変わらない。自立者にも門戸を開いているとはいえ、かなり高齢の要介護者などが多数を占めるケースが多くなっている。

高齢者住宅財団調べ

合う合わないは肌感覚も重要

高齢者向け施設の情報提供や相談を手掛けるシニアライフ情報センター(東京都渋谷区)の池田敏史子代表理事は「住み替えの際には、なぜ、住み替えをしたいのか、どんなサービスを求めているのかよく考えてほしい。その上で求めるサービスがあるのか、そのサービスをだれが提供するのか、いくらかかるのか確認したい」と話す。

介護が必要になったとき、24時間体制で見てくれる施設であれば介護付き、サービスを自分で決めて元気なうちはそんなにお金がかからない方がよければ、住宅型やサ高住が対象になる。パンフレットや重要事項説明書といった資料を事前に取り寄せ、よく研究してから施設を見学に行くのも重要だ。「自分に『合う』『合わない』の肌感覚が大事。昼食時に足を運べば、どんな人が入居しているのか把握することもできる」と池田氏はアドバイスする。家族や友人など複数で行き、持ち帰ってじっくり話し合いたい。不明点は専門家に聞くのもよいだろう。

ワンポイント:駅近くのマンションに住み替えも

ひところはシニアの住み替えといえば、一戸建ての自宅を売却して早めに高齢者向けの施設や住宅に入るパターンが多かった。だが最近では、「郊外の一戸建てを売って、駅前のマンションなどに住み替える人が増えている」と長谷工総合研究所の吉村氏は指摘する。子どもが独立して家族構成が変化したことや、仕事をリタイアしてライフスタイルが変わったことなどがきっかけだ。不動産仲介大手の野村不動産アーバンネット(東京都新宿区)では、「マンションや戸建ての購入は30~40代が主体であることは変わらないが、一方で60代以降の定年後の人たちの購入も多い」(流通事業本部情報戦略課の金井直希課長)としている。

※各年度内に東京都内所在中古マンションを購入成約した個人の年代別人数割合を集計した(年齢が不明な場合はデータに含まず、共有等で複数の年代になる場合は代表者の年代で集計)

野村不動産アーバンネットがまとめた年代別東京都内マンション購入の成約件数によれば、10年度に全体の11.5%だった60代以上の比率はその後増加を続けた。16年度は前年度より減ったものの、17.4%を占めた。購入の理由については、「息子や娘の近くに引っ越す」や「病院やスーパーなどが近い便利な場所に移る」といった「高齢化への備え」が27.4%となり、「家が狭い・古い」などの「家への不満」(23.6%)を上回って最も多くなっている。住み替えた先を「終の棲家」に位置づけているかどうかは不明だが、可能な限り自宅に住み続けたいという思いが、より便利でコンパクトなマンションのニーズにも表れているようだ。

(マネー報道部 土井誠司)

[日経回廊の記事を再構成]

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