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「終の棲家」どう選ぶ? 種類多く複雑な高齢者施設 終活見聞録(7)

2017/6/23

サ高住はハード・ソフト両面で国が登録基準を設けた。入居者は60歳以上、または要介護・要支援認定を受けている60歳未満のいずれかに該当することが条件で、単身でも配偶者と一緒でも入居できる。バリアフリー構造も必須とした。必ず提供しなければいけないサービスは、安否確認と生活相談のみ。その他のサービスは任意だが、実際には食事サービスを提供したり、介護や生活支援サービスを提供する体制があったりするところが多い。これが入居後の費用の差になって表れる。だが、こうしたサービスの充実は逆に有料老人ホームとの違いを分かりにくくしている。

■特養ホームは原則要介護3以上に

ここで改めて高齢者向けの住宅・施設を俯瞰(ふかん)してみたい。定員・利用者数の推移を見ると下記のグラフのようになる。種類がたくさんあり、非常に複雑で分かりにくい。ちなみに、最も定員・利用者数が多いのは、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)。常に介護が必要で自宅での生活が難しい要介護者が入居する。15年4月から入居は原則要介護3以上に限定された。

「厚生労働省(老健局)の取組について」資料(2015年3月19日)などを一部改変して長谷工総合研究所が作成

介護老人保健施設(老健)は、病状は安定期にあるが、退院してすぐに自宅に戻るのが不安な人が、在宅復帰を目指して介護、機能訓練などを受ける施設。そして介護療養病床(介護療養型医療施設)は急性期の治療が終わった後、比較的長期の療養を必要とする要介護者が入る施設だ。国が廃止を打ち出したため、病床数は年々減っている。この3つを「介護保険施設」と呼ぶ。認知症高齢者グループホームは、認知症の高齢者が少人数(5~9人)で介護サービスを受けながら共同生活をする。これらの施設は入居の条件が要介護認定者など決まっているため、自立の人は入ることができない。

高齢者の住まいに詳しい長谷工総合研究所(東京都港区)の吉村直子主席研究員に「終の棲家」を求める自立の人が入居可能な住宅・施設を聞くと、ケアハウス、有料老人ホーム、そしてサ高住を挙げた。ケアハウスについては「軽費老人ホームの一種で、必要最低限のサービスで自立を保てる人向けが中心。有料老人ホームと同じようなサービスだがおおむね費用は安い。それなりに施設数はあるので地域で探せば見つかるかもしれない」と指摘する。

■介護サービス、施設の内部か外部か

有料老人ホームは最近では高額な入居一時金が必要なく、月々の支払いのみで生活できるものも増えている。介護付きと住宅型の違いは、介護サービスを施設が提供するのか、外部の業者を利用するのかという点。介護保険の範囲内で施設が必要なサービスを24時間体制で提供してくれるのが介護付き。職員による介護サービスを毎月一定額の介護費用で利用できる。一方の住宅型は外部の介護保険事業所から介護保険の居宅サービスを受ける。入居者の状態に合わせて必要なサービスを組み立てる「カフェテリア型」で、利用した分だけ介護費用を支払う。サ高住も住宅型と同じ仕組み。「入居後に状態が悪化してより多くの介護サービスが必要となっても、介護付きは必要な費用が見通しやすい。半面、住宅型やサ高住には天井がなく、サービスを使えば使うほど費用がかかる」と吉村氏は指摘する。

(注)月額費用は長谷工総合研究所の資料から。金額は目安で、地域や事例によって異なる場合もある

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