「終の棲家」どう選ぶ? 種類多く複雑な高齢者施設終活見聞録(7)

終活のテーマのひとつに老後の住まいがある。「最後まで自宅に住み続けたい」と思う人もいれば、より安心できる環境や施設への住み替えを検討する人もいる。いわゆる「終の棲家(ついのすみか)」だ。高齢者向けの住宅や老人ホームが思い浮かぶが、種類が多く、何がどう違うのか分かりにくい。入りたい施設があっても、希望通り入れるとは限らないのが現状だ。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を主体に、それぞれの施設の特徴などについて調べてみた。

千葉眞也さん(84)、輝子さん(84)夫婦は2011年7月に東京都荒川区にある「ライフ&シニアハウス日暮里」に入居した。「子どもの頃、体が弱く、年をとって体がいうことを聞かなくなったらどうしようという思いが早くからあった」と振り返る眞也さん。60代になって本格的に老人ホーム探しを始め、30件ほど見学に行った。

部屋でくつろぐ千葉さん夫婦。「門限がないのも自由でよい」と話す

ライフ&シニアハウス日暮里は娘が探してくれた。「娘の住まいも近かった。満室だったので3年待った」。JR日暮里駅から徒歩15分。12階建ての建物にはコレクティブハウス(各世帯が独立した住戸で暮らしつつ、キッチンなど一部スペースを共有する施設)と保育園がテナントに入っており、多世代と交流できるのがセールスポイントだ。「子どもたちと交流できるのがよい。絵本の読み聞かせをしてあげたりして、かわいいのよ」と輝子さん。2人はいたって健康。介護保険制度でいうところの「自立」だ。

有料老人ホームは主に2タイプ

有料老人ホームは高齢者を入居させ、(1)食事の提供、(2)介護(入浴・排せつ・食事)の提供、(3)洗濯・掃除等の家事の供与、(4)健康管理――のうちのいずれかのサービス(複数も可)を提供する。古くからあり、最もなじみがある施設かもしれない。有料老人ホームには主に「住宅型」と「介護付き」があり、それぞれ特徴や入居時の条件が異なる。

ライフ&シニアハウス日暮里はテナントに保育園やコレクティブハウスが入居しており、多世代と交流できる

ライフ&シニアハウス日暮里は、長谷工グループの生活科学運営(東京都港区)が03年に開設した介護付き有料老人ホームだ。部屋数は84。介護付きといっても自立者も入居できる。自立者向けのライフハウス(41室)と要介護者向けのシニアハウス(43室)があり、ほぼ満室。入居者の約8割が女性という。千葉さん夫婦は約54平方メートルの自立者向けの部屋に2人で住む。入居に際して払った一時金は約4300万円。このほか、月々の費用として管理費と食べた分だけの食費で計20万円ほどかかる。2人の年金で支払える金額だ。

増加するサ高住、老人ホームとの違いは?

有料老人ホームと並び、高齢者向けの住宅として近年注目を集めているのが、サービス付き高齢者向け住宅だ。「サ高住(さこうじゅう)」や「サ付き」といった略称で呼ばれる。自立して暮らせる人から要介護の人まで様々な高齢者が安心して入居できる住まいづくりを目的に、11年10月に設置がスタートした。国が建築・改修費の補助や税制優遇などの支援策を打ち出したこともあり、登録する施設が全国で相次ぎ、戸数は17年4月末時点で21万7000戸を超えた。老後の住まいの選択肢として存在感を高めている。

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