台湾で「煎餅」といえば… 今川焼、お好み焼き?
せんべい(9)
今回はいきなりメールをご紹介する。この2通のメールに共通しているのは「せんべい・おかきはどこまでご飯に接近できるか」という命題を考察していることである。
そのうちのひとつ栗山米菓さんは、その名も「せんべい王国」という施設を作っています。ここには米菓の歴史や製造工程の展示、手焼きせんべいの体験コーナーなどがあり、売店ではせんべいはもちろん、主力商品「ばかうけ」のキャラクター「ぱりん&ぽりん」のタオルやストラップなどキャラクター商品まで扱っています。
ほかにも週末には、こわれせんべいの特売や濡れおかきを利用した料理の試食など行っています。
というわけで栗山米菓さんのレシピのひとつが濡れおかき「濡れ鬼」を使った山菜おこわ。この濡れおかきを一緒に炊き込むだけでしっとりもちもち、しょうゆの効いたおこわが簡単に出来上がります(あがきた@新潟さん)
これで酒も進むでしょうが、ごはんが進んで仕方ないだろうと思えてなりません。本当にご飯のおかずになるというか、おせんべいの佃煮みたいな気がします。
名古屋の人がそんなふうに食べるかどうかはわかりませんが、私はこれでご飯を食べてご覧に入れますよ。食べたいかどうかはまた別ですが(日野みどりさん)
早い話が「濡れ鬼」はもち米と一緒に炊かれることによっておこわそのものになり、あるいはおこわの具になっているのである。
一方の「たまりつゆせんべい」は日野さんをして「こんだけ味が濃いなら、いっそご飯のおかずにしたろか」とヤケを起こさせるほどの力を持っている。
どっちも「なんかすげー」と思ったので冒頭で紹介した。
大正時代に高松の名物として作られていたものの、スナックなどにとってかわられ、衰退。近年は知る人ぞ知る幻の味になっていたそうです…。しかしその伝統を守りたいと、27歳の若い店主がこのせんべいを復元したというのです。
広島・尾道にも、ひらめの干物をせんべいに貼り付けた「でべらせんべい」があります。新鮮なお魚がとれる環瀬戸内海地域ならではのおやつなのでしょうね(いけずな京女43歳さん)
「でべらせんべい」は前回も「化石の標本みたいな」という形容詞をもって紹介したが、この「おととせんべい」は化石になる前の若干鮮度よろし状態である。
「おとと」というのは魚のこと。金魚のことを「金とと」と言うが如し。
デスク乱入 スナック菓子は「おっとっと」?
おう、ご同病である。
デスク質問 あのぉ、二日酔いって病気なんでしょうか? そもそも飲まなければ、もとい飲み過ぎなければいいだけなんじゃないでしょうか。人のことは言えませんが…。
野瀬 病気だろう? だって頭痛いもん。食欲ないもん。
ベティー隊員 ほとんど毎晩、好きでかかっている人は放っておきましょ。
ではなくて「しきし」。残念ながら私は知らない。子供のころはあられもおかきも小麦粉せんべいもアメリカで作られた米菓もみんな「せんべい」と呼んでいた。
どなたかお心当たりは?
宮崎。
せんべいはサクサクと歯の弱い方でも十分食べられる硬さで、口の中でスーッと溶けて行きます。またせんべいの間に挟まれている砂糖の控えめな甘さ、少しジャリジャリとした食感とせんべいとのコントラストがなんとも良い感じで、結構高いのですが、ついつい何枚も食べたくなってしまいます。
なぜこのような上品なものが、どういう歴史的経緯でうちの田舎に存在しているのかは不明です(名古屋在住、宮崎出身、野崎さん)
軟らかい? 口の中で溶ける? 甘さ控えめ? グーじゃん。
沖縄。
あまりの食文化の違いにスーパーに行っても何を買ったらいいか呆然とする日々です。総菜コーナーに「テビチーの煮付け」があったり、コンビニ弁当にあってはならない盛りの「ばらつき」が存在するなどして。
沖縄でせんべいと言えば塩せんべい。小麦粉とデンプンでできています。袋には懐かしい味、頑固といった言葉が並びます。直径12センチ程度、厚さ1.5センチくらいの円盤状の麩を揚げて塩をまぶした感じで、おやつに軽食にぴったりです。地元ではこれにジャムやマーガリンを塗って軽くトーストしたりするらしいです。
基本的に沖縄の人は揚げ物が好きなようです。加えてこういう状態ですから、洋品店にはゴムのウエストのパンツ類やking sizeがあふれています。
そして、本題とは違いますが、SPAMにも色々種類があるばかりではなく、ポークと言ったら豚肉ではなく、いわゆるSPAMの類の缶詰を指すがゆえに生じるポークカレーの悲劇、天ぷらの缶詰!など、鯖水天国とはまた違った缶詰文化の様相を呈しています(池魚@盛岡改め石垣さん)
石垣島からのリポートである。彼の地では塩せんべいをトースト扱いしている模様。
ポークカレーを頼むとポークランチョンミートが入ったカレーが登場するらしい。えらいこっちゃ。
天ぷらの缶詰に衣で揚げた天ぷらが入っていたら事件である。内容物は水産練り製品であろうが、それでも少し事件のにおいがする。
台湾まで行っちゃえ。
味は白あんやアズキ、その他数種類ありましたが、私が選んだのはアズキでした。でもあんこの味がちょっと薄い感じでした(観覧車研究家の福井優子さん)
福井さんは『観覧車物語』の著者。同書は世界や日本における観覧車の歴史を追った唯一の書である。平凡社から出ている。福井さんは最近、日本で最古の観覧車を特定したという噂がある。定説を覆したらしいのである。
で、別件で訪れた台湾で遭遇したのが「日式 やきかし」であった。
台湾では「日式煎餅」はお好み焼きである。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
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