夢の車「ダンボルギーニ」 被災地に色彩を取り戻す今野梱包社長 今野英樹氏(下)

15年春、仙台市で国連防災世界会議が開かれた際には、防災教育と総合学習用に作成した強化段ボール製の「防災ジオラマ」を展示。仮設家具を含むもろもろの設計図やカッティングデータ、CADデータもすべてオープンデータにし、ダウンロードできるようにしました。強化段ボール製の展示什器(じゅうき)でグッドデザイン賞を受賞したのも、この年です。

震災で色を失った街に、ビビッドな色を取り戻す

ガキの頃から、手を動かしてモノをつくるのは好きな性分でした。工場にある板を集めて、ノコギリなどの道具を持ち出して、洞窟やくぼみのところに秘密基地をつくっていた。「ダンボルギーニ」をつくったのも、その延長線上です。段ボールでこんなすごいものがつくれるんだぞ、と地域の子どもたちに見せたかった。

今野梱包社長 今野英樹氏

参考にしたのは、最新の「アヴェンタドール」という車種です。ちょっとエッジの効いたデザインが、憧れのカウンタックに似ていた。外装は普通の段ボールを使っているのですが、段ボールで曲線を表現する場合、それを面で表現しなくてはなりません。ですから、ちょっと角ばったデザインの方がつくりやすいんです。

どうして派手なピンク色にしたのかと質問されることも多いのですが、じつはこの色にも意味があります。

震災で街が一瞬にして色を失った。そこになにかしらビビッドな色を取り戻したくて、平和で元気の出るピンクをテーマカラーにした。もう一つの理由は、我が地元「桃生町」に由来した「桃色」だから。名付けて「ダンボルギーニ・ド・ピンク」と呼んでいます。

震災後、運営を再開した「夢メッセ」(仙台市)でダンボルギーニを初お披露目した際には、思ったほど話題になりませんでした。約500のパーツを組み合わせて本物そっくりにつくったのに、これではただの自画自賛に終わってしまうと悩んでいた時に、ツイッターがどうのこうのと息子が言っていたのを思い出しました。

そこで、「ダンボルギーニ完成しております」と人生2度目のツイートをした。翌日、最大1万1000件を超えるリツイートがあり、瞬く間にそれが広まった。なかには「日本最強のダジャレ」と褒めてくれる人もいました。

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