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東京都がめざす「電柱ゼロ」 条例できても課題は山積 かさむ工事コスト、区市町村の対応に遅れ

2017/6/22 日本経済新聞 朝刊

電柱がなくなれば町の景観は飛躍的に良くなる(写真は墨田区のスカイツリー周辺。左は以前、右が現在)

 東京都は都道での電柱新設を原則禁止し無電柱化を推進する条例を制定した。都道府県レベルでは全国初。2020年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、小池百合子知事が昨夏の都知事選で公約に掲げた肝煎り事業で、条例制定は大きな一歩となる。無電柱化の課題と展望を探った。

 「国の法律に続き、都の条例もできた。あとは実行していくのみだ」。都議会で条例が可決・成立した6月7日、小池知事は無電柱化への決意を改めて強調した。条例の柱は(1)電力、通信会社など関係事業者に電柱や電線を設置しないよう求める(2)都や関係事業者は費用縮減に向け技術開発を行う(3)都は区市町村と連携し無電柱化計画を策定する――など。関係事業者と費用を分担し無電柱化を進める。

区市町村道で「電柱ゼロ」をどう進めるかが課題だ(東京都渋谷区)

 都道約2200キロメートルのうち、無電柱化率は3月末時点で2割前後とみられる。都はまずおおむね首都高・中央環状線の内側「センター・コア・エリア」のうち約270キロメートルを優先。現在の無電柱化率は94%で、2019年度までに無電柱化を完了させる目標を掲げる。

 一方、都内の道路の総延長の9割、2万キロメートル超に及ぶ区市町村道の無電柱化が大きな課題だ。無電柱化率は2%にとどまるとされる。区市町村に工事を促すため、都は今年度、新たに無電柱化に取り組んだりする区市町村の負担をゼロにする補助金を設けた。

 無電柱化は幅の広い道路から進むが、区市町村道は狭い道が多い。無電柱化で必要な地上機器をコンパクトにするなど技術的な課題もクリアする必要がある。

 もう1つの課題は1キロメートルあたり5億円を超えるとされる工事コストの引き下げだ。都は将来の財政需要に備えるため、3月に700億円の無電柱化推進基金を創設した。無電柱化に積極投資する姿勢を都庁内外に示すもので「民間企業が技術開発などに安心して投資できるようにする」(都幹部)狙いもある。

 2月には東京電力パワーグリッド(PG)や東京ガス、NTT東日本など関係事業者を集めた道路埋設物管理者会議を開催。東電PGの担当者は会議の席上で「20年までにコストを半減する目標で技術的な検討を進める」と表明した。

 富士山など日本が誇る眺望が電線で遮られる様子を「電線病」と評した小池知事。無電柱化の加速には民間企業や区市町村など官民の垣根を越えたスクラムが不可欠だ。

東京都無電柱化推進条例
 6月7日の東京都議会本会議で可決・成立した。9月1日に施行する。都道全線約2200キロメートルで電柱や電線の新設を原則禁止する。無電柱化は2016年12月に国の法律が成立。条例制定は茨城県つくば市が先行するが、都道府県レベルでは全国初となる。

(安部大至)

[日本経済新聞朝刊2017年6月20日付]

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