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大富豪が実践しているお金の哲学

大富豪は会社設立、トータルで得 法人税で2割節税

日経マネー

2017/7/25

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大富豪と呼ばれる人たちがいる。多額の富を保有する彼らのお金に対する考え方は、いったいどのようなものだろうか。かつて金融資産10億円を超える大手顧客を対象とした野村証券のプライベートバンク部門で辣腕をふるったZUU社長兼CEO(最高経営責任者)の冨田和成氏が、大富豪が実践する「お金の哲学」を解説する。

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「資産管理会社」と聞くと、何やらグレーな印象を持つ方もいるかもしれませんが、決して怪しいものではありません。資産運用の額が大きくなると銀行から「資産管理会社を立ち上げませんか?」と打診が来ます。それくらい普通のことで、自分の資産管理会社を持っていることは、いわば大富豪の証しです。

資産管理会社の目的はずばり、税金対策です。名目上は「不動産投資や株式投資などの管理を行う会社」となっていますが、個人として資産を保有するよりも法人が所有する形にした方が税制上のメリットが大きいため、わざわざ資産管理会社を立ち上げるのです。

資産管理会社を持つメリットを幾つか紹介したいと思います。資産管理会社には「管理・運営」のみを行う形態と、資産を丸ごと「保有」する形態がありますが、前者は税金対策のメリットが少ないので、後者を前提に話を進めます。

(1)法人税への切り替えによる税金対策

個人で不動産投資をしていると個人所得税がかかります。最高税率は住民税と合わせて55%です。しかし、それを法人の保有に変えれば収入にかかる税金は個人所得税から法人税に変わります。会社区分にもよりますが、例えば中小法人で売上高800万円超の場合では、現在、実効税率で約34%と税負担が大幅に軽減されるのです。

ご存じの通り、政府は企業の国際競争力を高めるために、ここ数年、法人税を下げる意向を示しています。上昇傾向の所得税・相続税と、低下傾向の法人税。その差を利用しない手はありません。

また、法人にすれば様々な経費を計上できるようになり、さらに税金を抑えることができます(もちろん法人の運営のための経費であれば)。役員報酬や退職金はもとより、自宅の家賃の一部を社宅補助という形で経費にする方もいます。会社で契約する保険料の一部なども経費にすることが可能になります。

(2)役員報酬による生前贈与

資産管理会社の大きなメリットは、所得を家族で分散できることです。両親、奥さん、子供などを「役員」にして報酬を払えば、個人一人で稼ぐよりも所得税の面で有利です。家族を役員ではなく従業員として雇って所得分散をしている中小企業経営者が大勢いますが、勤務実態と報酬額が不釣り合いだと税務署から指摘を受ける可能性があるので注意が必要です。

また、家族に役員報酬の形で収入を分配しておくことで、生前贈与の効果もあります。

これらの手法は複雑なので専門家の助言なしでは行えません。必ず税理士資格を持ったプロの判断を仰ぐようにしてください。

冨田和成
ZUU社長兼CEO。一橋大学在学中にIT分野で起業。卒業後、野村証券プライベートバンク部門で活躍。退職後にZUUを設立し、国内最大規模の金融ポータルメディアZUU onlineなどフィンテック分野で事業を展開中。

[日経マネー2017年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年 9 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP出版センター
価格 : 730円 (税込み)


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