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投資信託の運用成績 どう評価すればいい?

日経マネー

2017/7/14

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日経マネー

 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Tさん(以下、T):投資信託の成績はどのように評価すればいいのでしょうか。過去の好成績は当てにならない、と聞くけど本当ですか。

吉井さん(以下、吉):過去の成績はあくまでも結果なので、それが将来も続く保証はないというのが一般的ですね。ただ、見るべきポイントを押さえれば、投信選びに生かすことはできると思います。

T:ポイントというと?

吉:まず、成績を比べる時は同じ投資対象で比べるのが前提です。国内株式投信と外国REIT投信を比べても、それはどちらの相場が良かったのかを見ているだけ。将来の相場を予想するのは難しく、これは当てになりません。同じ投資対象の投信で、長期の成績を見て運用の良しあしを比べましょう。

T:長期ってどのくらいでしょう。

吉:最低5年間、できれば10年間は見てほしいですね。景気の一循環、つまり景気(または相場)が良い時と悪い時とを合わせた期間は大体7~8年といわれます。運用が上手な投信でも、得意な局面と不得意な局面の両方を見るのが重要です。成績はモーニングスターなどの投信評価サイトで確認できます。

T:比べる際の注意点は何ですか。

吉:単に過去5年間、10年間の成績を比べるだけでは十分とはいえません。一見好成績でも、比較的短い一期間で大勝ちしただけということもあります。比較の期間を暦年で区切るか、上昇と下落の局面に分けて、その投信の運用の特徴をつかむ必要があります。まずは市場平均並みのインデックス型投信と比べるといいでしょう。

T:運用の特徴というと?

吉:一般的に、高配当株や割安株の運用は下落相場で下値が堅く、成長株の運用は上昇相場で市場平均を上回る傾向があります。市場平均を上回る時、下回る時の幅も重要です。大きく勝つけど負けも大きい、成績にムラがある投信もあれば、コンスタントに勝ちを積み重ねる投信もあります(下図の例参照)。また、ズルズルと市場平均に負け続ける投信は運用コストの高さが原因であることが多いです。

T:特徴が分かったとして、それが将来も続くとは限りませんよね。

吉:その通り。だから成績をチェックし続けることが大切です。自分で仮説を立て、それに沿った特徴が表れているか、という視点を持つといいですね。あとは成績を評価する期間。小幅な勝ちを積み重ねる投信なら1~2年の短期間で評価することもありますが、多くのアクティブ型投信は市場のゆがみを捉える運用なので、5年、10年という長期で見ることが大切です。いくら優秀な投信でも、常に勝ち続けることは不可能です。

T:基本は長い目で、ですね。

吉:投資対象により勝ちやすさに違いがあるのも知っておきましょう。国内や単一国の株式投信は比較的優秀なアクティブ型投信がある一方で、広範な国・地域に投資する投信は市場平均に勝つのが難しい。債券やREITは国内外を問わず勝つのが難しい市場なので、インデックス型投信が有力な候補です。

吉井崇裕
 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2017年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年8月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP出版センター
価格 : 730円 (税込み)


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