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REIT投資の勘所

金融庁に「忖度」? REIT投信に懸念材料が浮上

日経マネー

2017/7/7

日経マネー

 日経平均株価が2万円超えを達成する一方、REIT価格は相変わらずさえない展開が続いている。東証REIT指数は2017年6月2日に1750ポイントを回復したが、1~5月の平均値(1790ポイント)には届いていない。

 さらに困ったことに、ここにきて需給面の懸念材料が浮上してきている。REITを投資対象とする投資信託(ファンド・オブ・ファンズ=FOF)が、金融庁の意向を忖度(そんたく)するのではないか……という懸念だ。

 REIT市場においてFOFは比較的安定した買い主体を演じてきた。特に日銀の異次元緩和が始まった13年以降を見ると、13年、15年は最大の買い主体、14年も金融機関に次ぐ金額を買っている。2~4月に累計1500億円超を売り越した16年でさえも、年間を通して見ると売越額は僅か9億円にすぎない。

 REITの歴史を振り返ってみても、FOFが年間ベースで売り越したのは10年と16年の2年だけだ。つまり短期的には売り越しても年間では買い越し。これがFOFの売買の通例だった。

■REIT投信の動向に注目

注:投資口価格は2017年6月5日時点

 足元のFOFの差し引き売買金額を見ると、4月は60億円の売り越し。5月分は、原稿執筆時点で未公表だが、FOFの資金流出入動向を見る限りでは4月を超える売り越しとなったもようだ。

 通例に従うなら4~5月の売り越しは、今後の買いを示唆しており、REIT価格にとってはプラス材料だと言える。

 ここに登場するのが金融庁だ。森信親長官がFOFを含む毎月分配型の投資信託を問題視しており、関係者の間に今回の売り越しは楽観視できないのではないかという見方が出てきているのだ。

 金融庁が設置した有識者会議が3月に出した報告書では、現状の投資信託の商品性や販売手法などを問題視。銀行が販売する売れ筋投資信託における毎月分配型の比率が約9割となっていることを指摘している。16年8月の金融審議会でも同様の指摘がなされており、金融庁の問題意識は根強い。

 販売会社がこの金融庁の意向をくんだ結果、FOFの投資行動が通例通りではなくなるという可能性は十分考えられる。

 16年に大幅に買い越している外国人投資家の売り圧力がある中、日銀と共に安定的な買い主体となってきたFOFが売り主体に転じた時、REIT価格が受ける影響は決して小さくない。

 ただし、海外REITのFOFは、5月に資金流入となっている。また、前述の金融審議会で16年8月に金融庁が警鐘を鳴らした後の12月に、FOFはREITを単月で372億円も買い越している。短期的に見れば、FOFの売買姿勢はさほど変わらないという見方もある。今後のREIT価格の先行きを占うには金利に加え、FOFの売買動向にも注意を払う必要が高くなりそうだ。

関大介
 不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年8月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP出版センター
価格 : 730円 (税込み)


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