旅行や出張、また普段出かけるのにも欠かせないのが、電車や飛行機、タクシー、自動車(レンタカー)などの移動手段。旅行・レジャーのシーズンを前に、そんな「乗り物」で得する株主優待を桐谷さんに教えてもらいました。
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どうも、桐谷です。最近は様々な講演に講師として呼んでいただく機会が多いのですが、何とこの間、初めて遅刻をしてしまいました。出かける時間になって、自転車の後輪に付けているリングロックの鍵がないのに気付いたんです。
財布のチャックが開いていて、どうもどこかに落としたらしい。探している時間がないので、ドライバーでロックを壊すことにしました。しかし、これがなかなか壊れない。諦めてタクシーに乗ろうと大通りに出たところで、今度は持っていくべき色紙を忘れたことに気が付き、また家に戻って、もう一度ロックを必死に壊しました。
何とかロックが外れて講演会場まで全力疾走しましたが、開始時間に10分の遅刻。壊したロックを聴講者の皆さんに見せながら謝りました。それはそれで講演のいい「つかみ」になったかもしれませんが、遅刻はいけませんね……。
と、余談が長くなりました。今回の優待のテーマは「乗り物」。といっても自転車ではなくて、電車や飛行機など、旅行・出張や普段のお出かけに便利な優待です。
電車の優待でお薦めなのは西日本旅客鉄道(JR西日本。東1・9021)。片道1人分の運賃・料金が50%引き(自社営業路線内)になる優待割引券がもらえます。新幹線のグリーン車も半額。優待はJR各社にありますが、中でも西日本はお得度が高いといえます。配当も約2%あるのがいいですね。
また、東京急行電鉄(東1・9005)や京王電鉄(東1・9008)といった私鉄沿線に住む人は、その会社の株主になると乗車や関連施設の利用で何かと得できるので、株価が安くなるのを見計らって買うといいでしょう。
飛行機は、日本航空(東1・9201)とANAホールディングス(東1・9202)がいい勝負。日本航空は100株だと優待が年1回ですが、配当利回りが3%弱と高め。ANAは年2回優待ですが、配当利回りは1%台。ともに、優待券を使うと国内線に50%引きで乗れます。日本航空は最近結構値下がりしてきたので、今はこちらが狙い目でしょうか。
タクシーやレンタカーも得に
タクシーの優待で、私がいつもクーポン券を持ち歩いているのは第一交通産業(福・9035)。全国各地に事業展開していて、東京でも結構走っています。
バスはローカル企業が多く、やはり営業地域に住む人が株主になると乗車や関連サービスで得できます。例えば三重交通グループホールディングス(東1・3232)は、約4万円の投資でバス乗車券などの優待をもらえます。
自動車の購入や車検、レンタカーなどの割引優待があるのはVTホールディングス(東1・7593)。私は運転をしませんが、1000株以上だとカタログギフトももらえるので、それ目的で投資しています。私に限らず、昔の棋士は自動車免許を持たない人が多かったんですよ。「運転すると余計な神経を使うから」と。強い先輩がそうだったので、私も免許を取る機会がありませんでした。
オリックス(東1・8591)も、株主カードでレンタカーや中古車購入の優待を受けられます。パーク24(東1・4666)の優待の駐車場チケットは、現金と同様に使えるのが便利なところですね。
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【今回の桐谷戦略】 お気に入りの場所は
大阪に行った際には、サムティ(東1・3244)の優待券で宿泊できるセンターホテル大阪をよく利用しています。その近くにある大阪市中央公会堂は、明治~大正期に活躍した相場師、岩本栄之助の寄付で建てられました。
しかし彼は、第1次世界大戦による相場変動の中、信用取引で大損失を出し、公会堂の完成を見ずに自殺しました。公会堂の地下には、彼のゆかりの品や資料が今も展示してあります。岩本栄之助の存在は、高校生の頃に聞いた村田英雄の歌「浪花の勝負師」を通じて知ってはいましたが、2年ほど前に初めて公会堂に行き、そうした経緯を知りました。
私も以前、信用取引で死にそうな思いをしているので、公会堂の姿を目にするたびに、「浮かれちゃいかんぞ」と気が引き締まります。最近、気に入っている場所ですね。
7月の権利確定銘柄
では最後に、株主優待ブログ「毎日優待三昧」が人気の個人投資家rika氏が厳選した「2017年7月に入手できるお得銘柄」を紹介しよう。2017年7月中に割当基準日を迎える銘柄だ(なお、2017年7月末が割当基準日の場合、優待を得るための最終売買日は、7月26日になる)。銘柄選択の際の参考にしてほしい。
(日経マネー 小谷真幸)
[日経マネー2017年8月号の記事を再構成]