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「母は出家します」 看護師であり僧侶、治癒への祈り

2017/6/21

(写真:都築雅人)

「私、出家しますから」。東京都内で看護師として働く憂子さんは5年前、2人の息子にこう告げました。

看護師、そして看護教員として十数年、順調に経歴を重ねてきた中、突然の決意でした。ところが、当時20歳と小学3年生の息子たちから返ってきたのは「フーン……」という反応だけ。憂子さんの両親に「出家することにした」と伝えても、やはり「へえー……」と言うだけでした。自分と同じく実家がお寺ではない女性に「出家すると告げたときは親に泣かれた」と聞いていた憂子さんは、家族が誰も驚かなかったのが逆に驚きだったといいます。

看護師として働き続けていく上で、出家した後もこれまでどおりに患者さんに接して支障はないかという心配もありました。「『坊さんは呼んでいない』とか言われるのではないかと。職場とも相談はしましたが、まあとにかくやってみようということになりました」。実際には特に問題はなく、僧侶と知って患者さんのほうからいろいろ話をしてくれることも増えたそうです。

高野山真言宗の僧侶となった玉置妙憂(僧名)さんは、現在も看護師として忙しい日々を送る一方、誰もが避けることのできない「生老病死」と向き合うための精神的な支え手として活動しています。現代人の多くは、がんなど深刻な病気になったり、親が終末期を迎えたときなどに初めて「死」という問題に直面します。現代社会では「死」はタブーとして日常から切り離され、覆い隠されているために「死ぬということが頭では分かっていても、腑(ふ)に落ちていないんですね。親は何となくずっと死なないように思っている若い人も多いんです」。30~40代のうちから、死について学び、考えられる場があればいい。そういう思いから妙憂さんは「養老指南塾」と名づけた勉強会も主宰しています。

看護師として20年。患者と家族の精神的サポートにも取り組んできた

■タクラマカンの砂漠で見たデジャブ

憂子さんは最初から看護師を目指したのではなく、大学で学んだのは法律でした。ちょうど法学部に在学中のころ、日中共同取材のドキュメンタリー「NHK特集 シルクロード」が放映され、喜多郎さんのテーマ曲とともに大人気になりました。それを見た憂子さんは「自分の前世は中国の修行僧ではないか」と思い込むほどにシルクロードの光景に魅せられ、両親に頼み込んで中国・北京に1年間の語学留学を果たしました。

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