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三段跳び元女王、パラで再出発 練習中の事故乗り越え 車いす陸上・中尾有沙さん「日本代表で戦いたい」

2017/7/9 日本経済新聞 夕刊

日本パラ陸上選手権に初出場し、女子100メートル(車いすT54)で2位に入った

 2015年の日本選手権三段跳びで優勝した中尾有沙さん(29、祐和会)が、車いす選手として全日本の舞台に戻ってきた。17年6月11日に東京で行われた日本パラ陸上選手権女子100メートル(車いすT54)で2位。昨年1月、練習中の事故で車いす生活を余儀なくされたが、20年東京パラリンピックに向け、一歩踏み出した。

 今回はパラ大会出場3度目。まだ車いすを真っすぐ走らせることができず、20秒80で2位。「不完全燃焼。練習でやってきたことを出すのは難しいです」というものの、レース後の笑顔には充実感もにじんでいた。

 小学4年で陸上を始め、高校から三段跳びに挑んできたが、バーベルを使ったスクワットトレーニング中にバランスを崩して脊髄を損傷した。診断を受けるまでに足の感覚がなくなっていくのがわかり、医師から「回復の見込みはない」と告げられた。ただ、「そこまで悲しいとか、暗闇に落ちたというのはなかった」。意外と冷静に現実を受け入れられたという。

 入院中、テレビで陸上を見てアスリートの本能が呼び起こされた。「もう一度何かスポーツがしたいな、と。また競技場に戻ってきたいという気持ちが強くなった」

 昨年11月から練習を開始。数カ月前まで自力で競技用車いすに乗ることも難しかったが、「今は真っすぐ走ることに苦戦しています」。全体的なスピードアップも課題で、まだ世界が遠いことは「自覚している」。ただ、試合に調子を合わせるピーキングは第一線で活躍していたときから得意。その経験がパラでも生きると考える。

 「三段跳びではなれなかった日本代表として戦える選手になりたい」。20年まで3年しか準備期間がない。「厳しいけれど、せっかくこの時期にこの種目に出会えたので、目指したいですね」。意欲は以前と何も変わらない。

(渡辺岳史)

[日本経済新聞夕刊2017年6月17日付]

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