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投資道場

議論白熱、良い投信の選び方 アクティブ型の明と暗 『投資の鉄人』座談会から(3)

2017/6/22

「信託報酬とは自分がもらえるものだ」と誤解する人もいるという(撮影・新木宏尚)

 前々回の「『投資の鉄人』著者が激論 失敗しない情報の見抜き方」、前回の「自分に合った投資 長く続けるには『まず資産を把握』」に続き、書籍『投資の鉄人』(日本経済新聞出版社)から著者4人の座談会部分を転載して、個人投資家の陥りがちな罠を解説するミニ連載の第3回です。今回は「6000本を超える投信の中から、自分に最適な1本をどう選ぶか」がテーマ。どんな観点で投信を選び運用していけばいいのか、長期投資と分散投資の関係など、著者4人によって、さまざまな重要ポイントが明らかになります。

■アクティブかインデックスか

――アクティブファンドとインデックスファンド、結局どちらが良いのでしょうか。

馬渕 アクティブファンドでよく指摘されるのは、コストが高いということです。事実、そのとおりです。そうでないと、銘柄の調査などの運営費用がまかなえないですから。最近は、コストが安ければ安いほど良いという人もいます。でも、それもおかしいと思うんです。コストって何のために払っていて、そこから得られるものは何なのか。その議論なしに、安ければ安いほど良いというのは違うかなと。

竹川 最初に買うなら、インデックスファンドでコストが安く、世界株をパッケージしたようなものが良いと思います。それだけで満足な人はそれで良いでしょうし、プラスして株の個別銘柄を買うとか、アクティブファンドを調べた上で買うのであれば問題ないでしょう。

大江 よく、アクティブファンドは8割インデックスファンドに負けていると言いますが、比較する対象の問題がありますよ。死んでいるようなアクティブファンドって、山のようにありますから(笑)。

竹川美奈子さん

竹川 意外ですが、日本国内で運用されている日本株投信は先進国の中ではもっともアクティブファンドがインデックス(指数)に勝っていて、健闘しています。2016年6月時点のスタンダード&プアーズ(S&P)のデータでは、大型株アクティブ投信の5年の成績を指数(S&P/TOPIX150)と比較したときに、負けた割合が約57%。約43%は指数に勝っています。それ以前のデータを見ると半分以上の投信が勝っているときもあります。一方、同時期のアメリカでは85%程度の大型株アクティブ投信がS&P500指数に負けています。日本に比べて市場が効率的なんでしょうか。

岡本 すべてのアクティブ運用が市場全体に勝つことは、理論的にはありえないんですよね。アクティブ運用全体のパフォーマンスは市場のパフォーマンスからコストを引いたものですから。アクティブファンドが市場に勝っているとすれば、古い産業に属する大企業間での持ち合い株や個人投資家の保有部分の影響があるのではないでしょうか。

竹川 ヨーロッパも5年で見ると8割程度の投信がインデックス(指数)に負けていますが、日本は比較的勝っている割合が高いですよね。

大江 その説明としてよく聞くのは、正しいかどうかはわかりませんが、持ち合い株は昔ながらの古い会社で多く、そうした会社の株価のパフォーマンスは悪いということです。一方、新しく伸びる会社は株の持ち合いをやっていません。若くて成長する会社は持ち合い株が少なく、昔ながらの古い会社は持ち合い株が多い、という点で説明しようという声があります。検証できていないですが。

岡本 確実に言えるのは、いろんな種類のアクティブファンドをたくさん持つことはほとんど意味がないということ。全体で見ればコストの高いインデックスファンドになってしまいますから。それだったら、インデックスファンドを持っていたほうがコストが安い。アクティブファンドは、本当に自分が良いと思う分野に限定して投資してくれる投信に絞って持つことが必要ですね。

竹川 中身がインデックスファンドと同じようなファンドでコストは高いというのは、最悪の選択ですよね。持つ意味がないです。「疑似インデックスファンド」みたいなものですね。たとえば、SRI(社会的責任投資)ファンドといっても、上位の組み入れ銘柄がTOPIX(東証株価指数)の上位銘柄と大して変わらない商品もあります。

馬渕 大手の金融機関が投信を販売すると、営業力がとても強いのでお金が集まってしまうんです。お金が集まりすぎると、それをたとえば10銘柄ですべて運用するのは無理になってくるので、ファンドマネジャーが投資対象を分散します。すると、結局インデックスファンドと一緒になっていく。

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