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白河桃子 すごい働き方革命

サイボウズ、賃金テーブル捨てた! 給与どうなった? サイボウズ 青野慶久社長インタビュー(後編)

2017/6/29

 もっとも柔軟な「働き方改革」を実現し、離職率を28%から4%まで改善したサイボウズ(前編は「落ち着け!経営者 その働き方改革、間違ってます」)。IT(情報技術)や新しい人事制度の導入、ルールの整備などは多くの企業が進めていることですが、最大の要となるのは「評価制度、報酬制度」です。ここが改革されなければ、いくらルールを設けても何も変わりません。働き方改革は給与を下げるのか? 最大の難関、「評価と報酬」はどうなるのか?

 サイボウズでは、どのような評価制度を取り入れたのでしょうか。青野慶久社長に詳しく伺います。

■条件が違いすぎると社員を比較できない

白河桃子さん(写真:吉村永)

白河(敬称略、以下同) 働き方改革を進めていくと、最後には評価制度や報酬制度を見直さなければならなくなります。しかし、日本の場合は、労働組合の抵抗が強くて、なかなかそこまで手が回らず、最後になるケースも少なくありません。

 本当は、評価制度の改革から始めた方が早いんですよね。なぜかと言うと、「残業時間を減らして、残業代がなくなってしまったらどうするんだ」という抵抗勢力が出てくるからです。

 いくら残業時間を減らして、生産性を高めて、成果を上げたとしても、給料が減ってしまってはモチベーションが下がるだけ。継続できません。

青野 そのままではモチベーションが上がりませんよね。

白河 そこで、評価と報酬をどう設計するのかという課題が、働き方改革の最も難しい問題です。完全アウトプット評価とか、時間あたり生産性評価とか、各社いろいろとやっています。どうするべきでしょうね?

青野慶久社長(写真:吉村永)

青野 日本企業の多くは、労働時間と給与、年功と給与が連動しています。どれだけの時間をかけて会社に尽くしてくれたかが、給料と比例するようになっているんです。

 そこを切り離さなければ、短時間で効率よく業務をこなしても、報酬が増えないというモデルになってしまいます。

白河 サイボウズでは、どうされていますか。

青野 当社は、市場性という概念を取り込んでいます。例えば、短時間勤務で週3回の在宅勤務をしている、30歳のプログラマーのAさんが転職した場合、年収がいくらになるのか。逆に、Aさんが当社に転職してきたら、僕らは年収いくらでオファーするだろうか。需給で決まる市場性を軸に給与を決めるようになりました。

白河 それは、試行錯誤をした末にたどりついた制度ですか。

青野 そうです。働き方が多様化していきますと、条件が違いすぎて、社員同士を比較するのは難しくなってきます。勤務時間が長い人、短い人、在宅勤務の人など、同じ給与テーブルで比較することが難しい。ですから、その人の給料を決める場合は、市場性を基準にするしかなかったんです。

 もちろん、これがいいかどうかは別です。例えば、今はプログラマーの市場価値が高い。能力に関係なく、プログラマーというだけで給与が上がります。また、転職が難しくなる40~50代ですと、市場価値が下がってきますから、当然、給料も下がる傾向があります。

 これは決して甘い制度ではないんです。自分の市場性を保つにはどうすればいいかということを常に考えていないと、一定の年齢を超えた時に給料が下がっていきます。

 僕ら自身、良い制度とは全く思っていません。ある意味、格差を助長するからです。給与が上がる人はどんどん上がっていきますが、下がる人はどんどん下がっていきます。そこは、国の社会保障を整備して、一緒に回していく必要があると考えています。企業がその部分を支えてしまうと、資本主義との間で歪みが出てきてしまうからです。

■社員は給与の交渉ができる!

白河 確かに、これは厳しい制度だと思います。ただ、社員の方から「給料を上げてください」と交渉することもできるようになりますよね。

青野 意外とそういう社員は多いです。各々が転職サイトに登録して、自分の市場価値を意識しながら交渉してくるんです。それは、とてもいい関係性だと思いますね。

 今までは、「あなたはこの賃金テーブルで、ゆくゆくは年功序列で昇給していくんだから、今は評価されなくても我慢しろ」と言われてきました。でも、そういうモヤモヤを感じることなく、社員たちは「僕は、これだけの年収をもらえる人材ですから、昇給してください」と言えるし、納得がいかなければ転職してしまえばいいんです。

 もちろん、会社から与えられる報酬というのはお金だけではなくて、働く場所やスタッフ、事業内容、社内の制度など、色々な要素があります。そこを加味するのは難しいところではありますが、フェアに交渉できるのは、すごくいい環境ではないかと思います。

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