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健康保険、はり・きゅうでも利用可能 海外治療も

2017/6/24

PIXTA

 かかった医療費の1~3割を病院の窓口で支払えばよい健康保険は、病気やけがの際の強い味方だ。海外での治療や、はり・きゅうなどで使えるのをご存じだろうか。病気で会社を休んだときには手当まで出る。意外と給付は幅広いが、不適切な利用もある。正しい使い方を知っておきたい。

 東京都内の団体役員、Aさん(67)は2年前、重い荷物を持った後、急に肘が痛くなって自宅近くの病院に向かった。

 ところが整形外科はこんな日に限って臨時休診。途方に暮れていると、受付の女性が「整骨院に行けば、保険が使えますよ」と教えてくれた。近くの整骨院を訪ねると、マッサージのような施術などを受け、初回の負担は千数百円ほどだった。その後も通うことになったが、毎回窓口で払う額は数百円だった。

 整骨院や接骨院は「柔道整復師」という国家資格を持った施術者が骨や筋肉などの治療をする場所だ。医師のいる病院や診療所ではないが、保険証を提示し書類に署名などをすれば健康保険が使える。現役世代なら窓口負担は3割で済む。

 鍼灸(しんきゅう)院などで国家資格の「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」が施術するはりやきゅう、マッサージにも健康保険がきく。今は原則患者がいったん費用を全額支払い、後に健康保険から7~9割分を払い戻す仕組みだが、厚生労働省は来年度にも制度を改め、病院と同じように、基本的に患者がその場で1~3割を支払う形にする方針だ。お金の払い方が変わるため、はり治療などが少し身近になるかもしれない。

 もっとも、整骨院などで健康保険の不正利用がかねて問題になってきた。国・地方の社会保障関係費だけでなく健保財政にも厳しさが増す中、余計な支出を増やさないためにも、正しい知識で適切に使うよう心掛けたいところだ。

 まず整骨院・接骨院で保険治療の対象となるのは、打撲や捻挫、骨折など「外傷性のけが」に限られる。日常生活からくる肩凝りや筋肉疲労は、原因がよく分からないこともあって保険対象にはならない。「健康保険使えます」といった看板を掲げる所もあるが、「疲れて調子が悪いのでマッサージしてほしい」では、使えない。

 なかには保険の対象とならない患者に、対象となるような傷病名をわざわざつけて、保険を適用する整骨院などもある。前述のAさんも、肘の痛みで整骨院に通い始めたものの、通院するうちに背中にまで治療範囲が広がっていき、不審に思って通院をやめたという。実際、「患部を次々と変えて保険請求を続ける『部位ころがし』という不適切な例もある」(国民健康保険中央会)。自分がどのような治療を受けているのかは確認したい。

 一方、はり・きゅう・マッサージを健康保険で受けようとするときには、医師の同意書が必要だ。直接行って保険を使おうとしても認められない。健康保険組合連合会によると「整形外科などに通って治療を受けていたが効果が出ないので、医師が他の治療法も試してみようと同意書を書くのが一般的」という。

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