「らしさ」追わず、女心つかむ ヒットのツボを聞く

2017/6/20

商品を買ってもらうのに、女性の心をうまくとらえることはヒットの条件と言っていい。でも「女性らしく」という古い固定観念にとらわれていてはだめ。ニーズにしなやかに応える、常識を超えた新たな開拓者を追った。

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実用一筋の仕事バッグ エースの山口彩乃さん

女性向けのビジネスバッグを手掛けたエースの山口彩乃さん(東京都渋谷区)

「女性向けのビジネスバッグでも、黒やグレーだから受けるんです」。かばん大手のエース(東京・渋谷)で2016年9月に発売した女性向けシリーズを担当する山口彩乃さん(28)は話す。

明るい色や丸みを帯びた形、きらきらした金具といった従来型の女性向け要素をあえて取り払い、実用性を突き詰めたことで、「ビジネス相手に真摯に取り組む印象を与えられる」という女性の支持を広げている。

「これまで女性は内勤のイメージが多かったけれど、営業で外回りをしたり、出張に出かけたりも当然。職種や働き方は多様だ」。ファッション要素が強いハンドバッグでは働く女性のニーズを十分にとらえられていない。仕事の実用性に応えるためには何が必要か。

山口さんが取り組んだのは徹底的な現場でのリサーチだ。通勤ラッシュの東京駅や羽田空港で、ビジネスウーマンの服装や持ち物をチェック。社内の女性には出張時の持ち物や通勤時のバッグに求める機能などを細かく聞いて回った。

女性の衣類にはポケットが少ない。補うにはカバンに外づけポケットが欲しい。パソコンや書類を入れて重くなるのを支えるためには長くて太い肩ひもが必須だ。ストッキングや繊細な素材の服にひっかからないナイロンやポリエステル素材。出張時や仕事帰りのジムではアクセサリーを外すから、しまえる収納があると便利だ――。一見するとわからないが、うれしい機能をちりばめた。「おしゃれカバンは休日に持てばいい。仕事だからこその女性の需要は確実にあるんです」

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