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立川談笑、らくご「虎の穴」

2017/6/18

立川談笑、らくご「虎の穴」

4月から、とあるカルチャーセンターで「吉笑の落語を作れ!」という講座を開かせていただいている。生徒の皆さんと一緒に、あくまでも「僕がやるためのネタを作る」という講座だ。

全6回と少ない講座だったけど、僕がふだんから利用している思考法や、ネタ作りにおける美学などについてお伝えしてきた。

そして最後の宿題として僕は十数人の生徒に、この「まくら投げ」の原稿を僕に代わって書くように指示をした。ゴーストライターを雇ったのだ。「アルバイト」というお題もちょうどよかった。僕は「立川吉笑」として、代わりに執筆してくれるアルバイトを雇うことにした。

そうして、生徒の内の一人がゴーストライターとして上記の原稿を仕上げてくれたのだが、皆さんはどう感じられましたか? 読みながら「何だかいつもと違うな?」と感じた方。吉笑の文章じゃないと気付かずに読まれた方。どちらもおられただろうし、もしかしたら違いに気付かなかった方の方が多いかもしれない。

一方で、自分ではどう感じたかと言うと、自分で書いてないから当然だけど、やっぱり僕の文章じゃなくて何だか違和感があるのだ。

この連載で僕がやっている作業の多くは、お題から関連するキーワードを一つ見つけて(ワードハンティング)、そこから日常にはあり得ない目線や切り口(ギミック)を作り出し、それを2千字ほどに落とし込むというものだ。

講座では、そんな僕のネタ作りの中心である「ワードハンティング」と「ギミック」について、丁寧に説明をした。だから自分としては、その方法論に従って作業をしてもらったら、僕が書くような文章はそれこそ代替可能、誰でもまねできるものだと思っていた。

でも上記の原稿が何だか僕の文章じゃないみたいに感じられるように、実際は僕の作り方の流れを他者に伝えても、なぜかそれは自分らしい作品にはならないようなのだ。

今回の講座を通して、生徒の皆さんの個性を目の当たりにするうちに、僕は自分の持っている個性に気付くことができたと思っている。そして、自分にしか作れない何かがあるのなら、まだまだ表現活動をしていってもいいのかなと思っている。

僕なら「アルバイト」のお題でどんな文章を書くか、そして他のゴーストライター(生徒さん)がどんな文章を書いてくれたかは、僕のホームページ(http://tatekawakisshou.com)にあるブログ欄にアップしていくので、ぜひお読みいただければと思います。

(次回6月25日は立川談笑さんの予定です)

立川吉笑
 本名、人羅真樹(ひとら・まさき)。1984年6月27日生まれ、京都市出身。180cm76kg。京都教育大学教育学部数学科教育専攻中退。2010年11月、立川談笑に入門。12年04月、二ツ目に昇進。出囃子は東京節(パイのパイのパイ)。立川談笑一門会やユーロライブ(東京・渋谷)での落語会のほか、『デザインあ』(NHKEテレ)のコーナー「たぬき師匠」でレギュラーを務めたり、水道橋博士のメルマ旬報で「立川吉笑の『現在落語論』」を連載したり、多彩な才能を発揮する。
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