ハンティング・ワールド、相沢氏にかけるブランド刷新
象のマークで知られる米のバッグブランド「ハンティング・ワールド」が、イタリア・フィレンツェで開催中のメンズファッション見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ」で、ウエアを含むフルコレクションをランウエーショー形式で発表した。同ブランドがピッティでフルコレクションを発表するのは初めて。今回発表の2018年春夏物から、日本のブランド「ホワイトマウンテニアリング」を手がけるデザイナー、相沢陽介氏をクリエイティブチームに招いた。新たな世界観でブランドイメージを刷新して顧客層の拡大をめざす考えだ。
ハンティング・ワールドは、防水性や耐久性に優れる「バチュークロス」を使ったバッグや革小物などで、世界の顧客から支持を集めてきた。15年に1965年の創業から半世紀を経たことから、ブランドの再構築に着手。デザインチームを刷新して、製品のデザインを含め、洗練されたブランドイメージづくりをはかってきた。新たに迎えた相沢氏は、米国を拠点とするデザインチームをまとめるディレクターとして、バッグ、アパレルのほかブランディングも担う。
相沢氏は77年生まれ。2001年に多摩美術大学染織デザイン学科を卒業した後、「コム・デ・ギャルソン」を経て、06年に自身のブランド「ホワイトマウンテニアリング」を立ち上げた。コンセプトに「服を着るフィールドは全てアウトドア」を掲げる。
14日夕、フィレンツェ市内の駅舎跡で開かれたショーでは、「旅」というハンティング・ワールドにとって不変のテーマのもと、オフや旅先でのシーンをイメージしたバッグとウエアを披露した。ウエアでは、カーキなどのベーシックカラーで無地が多かった従来のアイテムとは異なり、赤やイエローといった鮮やかな色を使ったものや小花柄、カモフラージュ柄といったプリントを採用したものが目立った。赤は女性向けバッグなどにも使われ、新鮮さを演出していた。
「化粧品を入れるバニティーバッグなど、これまであまり見られなかったようなアイテムが新鮮。ワッペンを取り入れるなど遊び心もみられた」(現地在住の女性)、「ハンティング・ワールドが持つ機能性を服としてうまく表現していた」(バイヤー)との評価が聞かれた。半面、「老舗ブランドのアイデンティティー継承という配慮もあったのだろうが、驚きは少なかった」(コンサルタント)との指摘もあった。
(フィレンツェ=平片均也)
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