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「ビールの苦味 認知症予防に役立つ」って本当?

日経Gooday

2017/6/21

2016年末に「ビールには認知症の予防効果がある!」といううれしいニュースが報じられた。これは本当だろうか(c)olegdudko -123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

ビールがおいしい季節になってきた! ビールといえば、日本で一番飲まれている「最も身近なお酒」。乾杯でも定番のこのビールに「認知症の予防効果がある!」というニュースが2016年末に報じられた。ビール党なら狂喜しそうなこのニュースは本当だろうか。酒ジャーナリストの葉石かおりが、このニュースの基となる研究結果を発表したキリンR&D本部健康技術研究所研究員の阿野泰久さんを直撃した。

◇  ◇  ◇

「まずはビール」――。

居酒屋に入って、慣用句のごとく言うこのセリフ。喉がカラッカラの状態で、ゴキュゴキュと流し込むビールは、左党にとって最高のごちそうだ。

ただ、昨今は糖質制限(ローカーボ)ブームの影響か、糖質が含まれるビールを我慢している人も少なくない。筆者としては「ビールを我慢するより、おつまみに気をつけたほうが建設的」と思う。

そして「ビールには、素晴らしい効能がある」ということも声を大にして申し上げたい。それは「ビールはアルツハイマー病予防に効果が期待できる!」というものだ。

■認知症にいいのは赤ワインだけじゃない!

アルツハイマー病の予防というと、赤ワインのポリフェノール効果を思い浮かべる人が多いかもしれないが、ビールにも大いに期待ができることが、東京大学、学習院大学とキリンとの研究によって明らかになったという。この研究は2016年11月に発表され、ニュースなどでも取り上げられたので、耳にした方もいらっしゃると思う。

私もいい年になり、恥ずかしながら、最近は「人や物の名前がすぐ出てこない」ことが増えてきた。身内に認知症患者がいたこともあり、将来認知症になるのでは……と不安に思う機会も間違いなく増えた。だから、今回のニュースは、私にとって気になって仕方ない情報である。お年頃の左党なら、同様に思っている方も多いと思う。

だが、この「ビールがアルツハイマー病予防に効果がある」という話は、本当なのだろうか。ビールといえば、誰もが普通に飲んでいる最もポピュラーなお酒だ。しかも、健康にいいというイメージがある赤ワインなどと比べて、「糖質含有=太る」というイメージもあってか、正直なところカラダにいいという印象は薄い。

そして、もし効果があるとしたら、発泡酒でもいいのか、ノンアルコールビール(ノンアル)でもいいのかなど様々な疑問が思い浮かぶ。そこで今回は、この論文の発表者の1人で、長年ビールの健康効果を研究してきたキリンR&D本部健康技術研究所研究員の阿野泰久さんに詳しい話を伺った。

■ビール由来のイソα酸に、脳内の老廃物沈着の抑制効果

ビールの材料の一つ「ホップ」は、ビールに香りと苦味をもたらす重要な要素だ。実は古くから薬用植物として珍重されてきた植物でもある(写真提供:キリン)

早速、阿野さんに疑問をぶつけたところ、明快な回答が返ってきた。

「ビールには『イソα酸』というホップ由来の苦味成分が含まれています。2016年11月に発表した研究では、このイソα酸に、アルツハイマー病の原因の一つとされるアミロイドβ(アミロイドベータ)などの脳内の老廃物沈着の抑制効果や、脳内炎症の緩和効果があることが確認されました。その結果、認知機能の改善が期待できることも確認されています」(阿野さん)

あのビール特有の苦味成分に脳の機能を改善する効果があったとは! 「良薬口に苦し」という言葉を地でいく検証結果である。

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