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サムスン新「Galaxy」 開発者に聞く縦長画面の理由

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日経トレンディネット

サムスン電子が起死回生をかけて投入した新たなフラッグシップスマートフォン(スマホ)「Galaxy S8」「Galaxy S8+」。縦長の画面でベゼル(額縁)の部分を極限まで減らし、本体サイズを抑えつつ一層の大画面を実現した「インフィニティディスプレー」が特徴だ。

韓国のサムスン本社で実施された開発者へのグループインタビューから、開発の背景を追う。

"新しさ"を打ち出す縦長ディスプレー

日本でも好評を博した「Galaxy S7 edge」の後継機としてサムスン電子が発表したのが、フラッグシップモデル「Galaxy S8」と「Galaxy S8+」だ。最大の特徴は、一般的な16:9比率よりも縦長の18.5:9比率のディスプレーを採用したこと。ベゼル部分を極限まで狭くすることにより、持ちやすいサイズ感ながら、Galaxy S8は5.8型、Galaxy S8+は6.2型もの大画面を実現したことだ。

グローバル商品企画グループのチェ・スンミン氏によると、前機種となるGalaxy S7 edgeは、その前機種となる「Galaxy S6/S6 edge」をベースに、トータルの完成度を高めるというコンセプトで開発がなされたとのこと。だが、Galaxy S8/S8+では新たなチャレンジがコンセプトとなる。

新しさを打ち出すにあたって重視したのが「見た目を変えること」。試行錯誤の結果、持ちやすいサイズ感を維持しながらディスプレーサイズを大きくし、しかも見た目の印象を大きく変えられる"縦に伸ばす"という判断をしたのだそうだ。

ではなぜ、縦横比が18.5:9という、やや中途半端にも見える数字なのだろうか。チェ氏は、「16:9のディスプレー比率が生まれたのと同じ理由だ」と答えている。16:9という比率は、映画の21:9と、アナログテレビの4:3という比率の間を取って生まれた。そこでGalaxy S8/S8+では、16:9と映画の21:9比率の間を取る形で、18.5:9という比率を採用したのだそうだ。

「インフィニティディスプレー」という名称には、既存の枠を超え、無限の可能性を実現するという意味合いが込められているとのこと。サムスン電子は、Galaxy S8/S8+に「Unbox your Phone」というキャッチコピーを付けているが、既存の枠を打ち破るという意味合いがあるようだ。

ホームボタンを廃止した影響は?

Galaxy S8/S8+では、エッジディスプレーの採用に加え、上下のベゼル部分も極限まで狭くした。その影響でホームボタンが感圧センサーを使ったソフトウエアのボタンに変わっている。

Galaxy S7 edgeまではハードウエアのホームボタンが本体下部に用意されており、これが指紋認証センサーも兼ねていた。Galaxy S8/S8+では指紋認証センサーは背面のメインカメラの脇へと移動している。

ホームボタンの扱いに関しては、「Galaxyシリーズの象徴的存在だけに、悩んだポイントだった」とチェ氏は話す。感圧センサーの搭載により、従来のホームボタンと可能な限り同じ体験を実現したとしているが、指紋認証センサーの実装に関しては「(ホームボタンと同じ位置に搭載することが)技術的に対応可能か検討したが、現実的な選択として現在の位置に配置した」と言う。

指紋認証センサーの位置に関しては、Galaxy S8/S8+の発表当初より「指が届きにくい」「カメラに当たって指紋が付きやすい」といった指摘がある。だが、チェ氏は「ここは従来、HR(心拍数)センサーが搭載されていた場所で、Galaxyユーザーが使い慣れている位置だと考えている」と述べている。

もっとも、Galaxy S8/S8+は指紋認証に加え、新たに虹彩認証も搭載していることから、目によるロック解除も可能だ。指紋認証の重要度は多少減っている。

2つの異なる素材を手に馴染むように工夫

Galaxyシリーズの象徴でもあったホームボタンを省いてまで、ディスプレーを強く前面に打ち出したシンプルなデザインとした理由をデザイン1グループのキム・ユンジン氏に聞いた。そこには最近のデザイントレンドが大きく影響しているようだ。

サムスンでは、世界各地のデザインセンターで社会現象やデザイントレンドの調査を実施している。だが、昨今は情報技術が進化したことにより、ビジネスやファッションなどさまざまな分野で境界線がなくなってきており、性別や人種も分けられない事象が生まれてきているという。そうしたことからGalaxy S8/S8+では、使用しているユーザーに関係なく、バランス感があり使いやすい「ナチュラリティー」なデザインに焦点を当てたのだそうだ。

そこでGalaxy S8/S8+では、ディスプレー以外の視覚的要素を省くことを重視した。フロントカメラなどを可能な限り上部に集中して配置し、ホームボタンをディスプレーに取り込むことで、ディスプレーに集中できるデザインを実現したのだそうだ。

そしてもう1つ、Galaxy S8/S8+で重視したのは、エッジディスプレーで側面の優しいカーブ感を実現し、手になじむグリップ感を実現することだったとキム氏は話す。メタルとガラスの素材を組み合わせながら、手に引っかからず滑らかな仕上げにした。側面は緩やかなカーブを実現するのに、100台以上のプロトタイプを開発してテストしてきたとのこと。製品デザイン1グループのバン・ヘジン氏によると、メタルとガラス素材を対照的に見せるため、素材を包み込む色を実現するリキッドコーティングを採用。2つの素材を1つに合わせながらも、奥深い印象を与えるデザインを実現しているのだという。

Galaxy S8/S8+はコーラルブルー、アークティックシルバー、オーキッドグレー、メイプルゴールド、ミッドナイトブラックの5色で展開されるが、これらについても世界のさまざまな分野からのトレンドを分析して選出したとのこと。なかでも「オーキッドグレー」は、グレーとパープルを合わせた落ち着きのある独特の色合いで、「今後のサムスンの象徴的なカラーになる」とバン氏は話す。

一方で、スマホの定番カラーとなりつつあるピンクが存在していないが、Galaxyシリーズはあとからピンクが加えられる傾向が強い。この点について、バン氏は「ピンクは女性に人気が強い。当初は5色展開となるが、ニーズがあれば検討する」と話している。

発火事故を受けてのバッテリー対策は

Galaxy S8/S8+のカメラはGalaxy S7 edgeと比べ大きく進化していない印象を受ける。自分撮り用のフロントカメラこそ、画素数が500万画素から800万画素へとグレードアップしているが、メインカメラはデュアルピクセルセンサーを搭載した1200万画素と、Galaxy S7 edgeから変わっていない。

3枚の写真を連続撮影して合成することでブレの少ない写真が撮影できる「マルチフレーム技術」を採用するなど、着実に進化している部分はあるのだが、ディスプレーに比べると進化に乏しい印象は否めない。この点について、チェ氏は「S7 edgeのカメラが好評だったので、そこは維持しつつソフト的な改良を施すことで強化した」と答えている。

近ごろは、デュアルカメラを搭載してボケ味を出すなど、複数のカメラに特徴を打ち出すスマホが増えている。だが、チェ氏は「根本的に重視しているのは、もっともよい写真が撮影できること。2つのカメラを搭載した場合、現時点では低照度時に満足できる撮影ができなかった」と話す。

もう1つ気なるポイントは、2016年にサムスンが「Galaxy Note 7」で相次いで発火事故を起こしたバッテリーだ。同機種は日本で発売こそされなかったものの、発火事故のニュースが日本でも大きく取り上げられたことは記憶に新しい。それだけに、バッテリー関連でどのような対応を取っているのかは、多くの人が気にしているところではないだろうか。

グローバル商品企画グループのヤン・ヒョンヨン氏はこの点について、「バッテリー自体の安全性の検査だけでなく、設計の面でもGalaxy Note 7の問題を分析し、同じ問題が起きないように改良を加えた」と答えている。具体的な技術に関してはセキュリティー上の理由から開示されなかったが、事故を踏まえて安全性を高めるために大きく力を割いたことは確かなようだ。

「Gear 360」と「Gear VR」も着実進化

Galaxy S8/S8+はスマホ本体だけでなく、周辺機器やアクセサリーの充実によってエコシステムを拡大しているのも大きなポイントとなる。その1つとなるのが、最近注目される全天球カメラの「Gear 360」と、Galaxy S8/S8+を装着して仮想現実(VR)が楽しめる「Gear VR」だ。両機種とも、Galaxy S8/S8+に合わせて新製品を発表した。

なかでも、新しいGear 360は大幅に小型化がなされただけでなく、専用の三脚を装着する必要なく手に持って撮影できるなど、デザイン面で大幅な改良が加えられた。前機種よりも、いっそう手軽に360度写真や動画を撮影できるようになった。

ウエアラブルBizグループのキム・ミンギュ氏によると、新しいGear 360の大きなポイントはデザインの変更のほか、リアルタイムに4K動画が撮影できるようになったこと、そしてYouTubeやFacebookなどと連携してのソーシャルライブ機能ができることだそう。特に、ソーシャルライブ機能は「動画のライブ配信が360度映像になると、現場の臨場感が一層伝わるし、SNSと連動することでリアルタイムなリアクションが得られる」と強い期待感を示している。

確かに、Gear 360は前のモデルと比べて使い勝手が大幅に向上した。一方で、カメラと手との距離が近くなったことから、持っている手が写真や映像に写り込みやすくなっている。キム氏は「以前のモデルはカメラと三脚の間に距離があり、手が写り込みにくかった。携帯性を強化したことによるトレードオフと考えてほしい」と答えている。

新しいGear VRに関して、同じくウエアラブルBizグループのパク・ウンギョン氏は、手に持って操作するコントローラーを新たに用意したことが大きな変化になると話す。従来のGear VRは首の動き、あるいは本体側面のタッチパッドで操作する必要があった。何らかの操作をするたびに首や手を動かさなければならず、疲れやすいのが欠点だった。だが、新版ではコントローラーが用意されたことでそうした手間が不要になり、疲れにくくなっただけでなく、手を振って操作するなどよりインタラクティブなコンテンツへの対応にも一役買っている。

ちなみに、Gear VR用のコントローラーは単体でも販売され、以前のGear VRでも利用できるとのことだが、利用するためにはコンテンツ側の対応が必要になるという。また、HTC VIVEのようにコントローラーを2つ両手で持ってゲームなどを楽しむことは「コントローラーのポジショントラッキングに対応していない」(パク氏)ことから、現時点ではできないとのことだ。

「Samsung DeX」が誕生した経緯とは?

そしてもう1つ、新たに投入された周辺機器が「Samsung DeX」である。Galaxy S8/S8+を装着し、ディスプレーやキーボード、マウスなどを接続することにより、Galaxy S8/S8+をデスクトップパソコン感覚で使えるになる充電ドックだ。ノートパソコンを持ち歩くことなく、テレビなどに接続するだけで仕事をこなせるようになることから注目されている。

サービスPMグループのキム・ミンチョル氏によると、今回こうした周辺機器を投入した背景にあるのは、パソコンやタブレット、スマホなど複数のデバイスを同時に持ち歩いている人が多いことが、市場調査で見えてきたからだという。スマホ1つでパソコンとしても活用できるSamsung DeXの投入により、荷物が減らせるのではないかと考えたのが企画のきっかけとなったそうだ。

同様のコンセプトは、Windows 10 Mobileの「Continuum」機能など、過去にいくつかの提案がなされたものの、大きく成功した事例はない。だが、キム氏は「こうしたコンセプトを実現するうえで、今がいいタイミングだと考えた」と話す。Android 7.0でマルチウインドウをサポートするなどソフト面での改善が進んだことなどが、その理由となるようだ。キム氏によると、Samsung DeX対応のアプリであれば、パソコンのようにウインドウのサイズを変えることなども可能とのこと。加えて、標準搭載のWebブラウザーは最大5つまでウインドウを開けるなど、標準搭載アプリの側でもパソコンと同じ感覚で利用できる工夫が施されているようだ。

ただ、現在のところはスマホの通知を簡単にオフにする設定がなく、プレゼンテーションなどで利用する際には支障が出る可能性もある。キム氏によると今後のソフトウエアアップデートで対応する予定だという。

(ライター 佐野正弘)

[日経トレンディネット 2017年5月23日付の記事を再構成]

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