コーヒーの健康効果について考えるときに絶対に外せないのが、コーヒーに含まれる「カフェイン」だ。コーヒーがいくら体にいいといっても、飲み過ぎるとカフェインを多く摂取することになり、カラダによくないのでは……と心配になる人も多いだろう。また、「コーヒーは血圧を上げるのではないか」と不安に思う人もいる。そこで、ネスレ日本の福島洋一さんにコーヒーに含まれるカフェインのメリット、デメリットについて詳しく聞いていく。
カフェインは、チョコレートや市販薬にも含まれる
――基本的なところから伺いたいのですが、そもそも「カフェイン」とはどういったものなのでしょうか?
コーヒーを飲むとしゃきっとした気分になりますが、この覚醒作用のもとになっているのが、カフェインです。カフェインは図1に挙げたような飲料、食品、医薬品に含まれます。
カフェインは、苦みを持つアルカロイド類の化学物質です。植物が昆虫に食べられないように自らの身を守るため、作られた物質だと考えられています。カフェインは熱に強い性質を持っているためにコーヒー豆を焙煎してもその多くが残ります。
■日本人はカフェインの多くをコーヒーとお茶から摂取
代表的な飲料に含まれるカフェイン量を比較したのが図2のグラフです。
コーヒーは約100mL当たり、40~60mg程度含んでいます。1杯を150mLとした場合は、60~90mg程度となります。エナジードリンクのカフェイン量は種類にもよりますが、コーヒーと同じくらいか多めに設定されることが多いようです。デカフェといわれるカフェインレスコーヒーは、コーヒー豆からカフェインを除去する工程を入れたもので、カフェイン量は100mL当たり1~2mgくらいまで低減されています。
カフェインの摂取量や主要摂取源は、国や食生活により異なりますが、日本ではコーヒーとお茶の2つが突出した摂取源となっています(図3)。
医薬品では、眠気予防薬、鼻炎用カプセル、解熱鎮痛薬や咳止め薬などに、数十mgから200mgくらい入っています。
――コーヒーを飲むと、カフェインはどのくらいの時間で体内を巡り、どのくらいで出て行くのでしょう。
カフェインは、コーヒーを飲んでおよそ20~30分で吸収されて血流にのり、全身を巡ります。
カフェインの大きな特徴は、脳に作用するということです。多くの化学物質は、「血液脳関門」という脳のバリアによって脳内には入ることができませんが、カフェインはこの関門を通過して脳に到達するのです。
脳には、ドーパミンやノルアドレナリンといった興奮性の神経伝達物質の放出を抑える「アデノシン」という物質がありますが、カフェインはアデノシンと似た構造をしているために、アデノシンの働き、つまり「興奮抑制作用」をブロックし、脳を興奮、覚醒させると考えられています。
カフェインの半減期、つまり血中濃度が半分になるまでの時間は、個人差もありますが、4時間ほどとされています。
コーヒーは仕事のパフォーマンスを上げる
――朝、目覚めて眠いときもコーヒーを飲むと覚醒するのはカフェインの働きですね。仕事の集中力を高めたいときにも役立ちそうです。