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World Food Watch

卵なのに濃厚鶏ガラスープと肉の味 フィリピンの珍味

2017/6/22

「あなたの国のおいしいものを教えて」。

外国人にそう聞かれたら、人はさまざまな意図を持っておススメの食べ物を教える。ある人は自分が本当においしいと思っている大好きなものを。ある人は庶民が普段から食べているB級グルメ的なものを(例:牛丼、タコ焼き)。ある人は見たとき、食べたときの相手のリアクションを期待して(例:納豆、梅干し)。

フィリピン人に冒頭の質問をしたらおそらく10人中6~7人はこう答える。

「バロット!」(タガログ語で「Balut」)

そして、そう答えた人の意図は……。全部だ!

バロットとはアヒルの有精卵を孵化する直前にゆでたもの。殻をむくと黄身と白身が……ではなく、ヒヨコちゃんになりかけのものが「こんにちは!」とばかりに姿を現わす。ハッキリいってかなりグロい。

栄養たっぷり、「庶民のバイアグラ」とも

日本でも鶏卵、特に有精卵は精がつく食べ物として知られているが、バロットもフィリピンでは滋養強壮剤的な存在だ。「庶民のバイアグラ」なんて呼ぶ人もいる。大人だけではなく育ちざかりの子どもも、栄養たっぷりなおやつとしてよく食べるらしい。

発芽しかかった「発芽玄米」や、モヤシやカイワレ大根など種子が発芽した「スプラウト」類も種子にはないビタミンやミネラルがあるという。卵もまた孵化しかけのほうが卵にない栄養素が含まれるのかもしれない。

バロットは庶民の手軽なおやつなので、レストランでは食べられない。自転車に乗って「バローーッ! バローーッ!」と言いながら売り歩くおじさんか屋台で買うことができる。日本でいうなら「石焼き芋」のようなものだろうか。

おじさんは発泡スチロールの箱にバロットを入れてやってくるのだが、バロットの殻には鉛筆やマジックでなにやら数字や記号が書いてある。

卵の殻にはマジックで記号が書かれている=PIXTA

数字や記号は卵が産まれてから何日目のものかの目印。フィリピン人は「17日目のものをちょうだい」とか「私には18日目のものを」と日数をご指名で買う。だいたい16~18日目が食べごろ。

当然、日にちがたつほどにヒナの形に近くなる。なかには19日を過ぎた羽根がちょっぴりはえかけたものが好きという人も。それぞれに好みの食べごろの日数があるのだ。

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