転換期の投信市場 「顧客本位」に大手どう取り組むQUICK資産運用研究所 清家武

2017/6/21

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金融庁が3月末に「顧客本位の業務運営に関する原則」の概要を発表した。投資信託などの金融商品を扱う金融機関に対し、顧客の利益を最優先にする「フィデューシャリー・デューティー=受託者責任」への取り組みを求めたものだ。顧客本位の業務運営は新たな試みであり、投信市場は大きな転換期を迎えることになる。各社はどう取り組もうとしているのか。投資市場のメインプレーヤーである大手証券の投信の企画責任者にインタビューした。

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「個人のリスクに応じ最適のポートフォリオを提案」

SMBC日興証券 アセットマネジメント・マーケティング部長 佐々木隆幸氏

「受託者責任の明確化は証券会社として体質を変える良い機会だと思う。顧客本位の業務運営は今まで以上に当たり前のことになる。当社は顧客の資産管理型営業を徹底させたい」

「コア(中核)資産はファンドラップで、残高が拡大している。当社が取り扱うファンドラップは世界有数のプライベートバンク、ロスチャイルドグループがファンドを選別している。ロスチャイルドは世界の約5万本のファンドを調査しており、彼らの目利きが最大のポイントだ」

「ファンドラップは中長期の運用を目的とした商品なので、個人のリスク許容度に応じた最適のポートフォリオを提供する。最もリスクの低いモデルの『RU1』では、株式資産への直接的な投資を行わず、債券などの資産を組み合わせ、リスクを抑制しながら安定的なリターンの獲得を目指す」

「当社では分配金の高さだけに着目した投信販売はもうやっていない。今後は新たなファンドをどんどん設定することはないと思う。過去に設定した良いファンドをじっくり育てて販売する。例えば、コアファンドの一例として『日興レジェンド・イーグル・ファンド』が挙げられる。このファンドでは、株式、債券だけでなく、投資機会に備えて、一定の現金を常に保有。また、株式と異なる値動きをする金にも一定額投資する」

「三井住友銀行との当社の『銀証連携』は第2ステージに入った。幅広い商品を求める顧客は銀行が証券に紹介し、相続案件などは証券が銀行に紹介する。グループで協力し、顧客のニーズに対応したい」

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「支店からボトムアップ、顧客ニーズで販売方針を決定」

大和証券 投資信託サポート部長 赤松良雄氏

「当社は4月から社長も変わり体制も大きく変わった。本部で目標を立てるのではなく、現場を担う全国の各支店で目標を立てるようになった。これによって、支店では顧客のニーズに対応した目標が立てられる。販売する商品も支店で決めるので、支店によって売れ筋商品は異なる」

「支店での目標管理を始めてからも、収益はそれほど落ちていない。こうしたボトムアップ型の営業をすることが、最終的には会社の収益にも結び付くと思う」

「ファンドラップは『貯蓄から資産形成へ』の流れを進めるうえでの主力商品だ。『ダイワファンドラップ』、富裕層向けの『ダイワファンドラップ プレミアム』ともに残高は増加している。昨年販売を開始した『ダイワファンドラップ プレミアム』は対象別の振り分け先(運用口)を最大5つまで設定できる点が特徴だ。老後用の運用口、レジャー費用の運用口、相続用の運用口など用途別に分けられる」

「営業員と顧客との全てのやりとりは『受付パネル』というシステムで管理する。過去データも蓄積し、可視化できるようになっており、本部でその内容を確認できる。顧客を会社が一丸となってバックアップしている」