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リーダーのマネジメント論

2017/6/27

リーダーのマネジメント論

「それによって、人に会ったり、本を読んだり、大学に行ったりと、創造的なリサーチに時間を割けるようになったんです。経営者が思考停止すると、どれだけ優秀なミドル層がいても会社全体は思考停止してしまいます。フェイスブックだって、社長が社内会議に追われていたら、あれだけクリエーティブなサービスは生まれないでしょう。なるべく経営者を自由な環境にするというのが、創造性を大切にする会社には必要だと思います」

社内の弱者の声に耳を傾ける

――他に組織運営で心がけていることは?

「キーワードは『フラット』ですね。フラットが創造性を生む。フラットでないといい意見が出てこない。社員がたくさんの問題を言ってくれると、だいたいそこにダイヤモンドがある。それを経営の力で改革していくと、儲けにつながります。特に大事にしているのは、アルバイトや新入社員、入社したての中途採用の人など会社に染まりきっていない人の意見です。この人たちに、困ったことはないか、他の会社から来てこの会社が変だと思うことはないかを聞くと、非常にいい意見が出てきます。彼らは組織内ではまだ弱い立場にいて、普段はあまり発言できないことが多いのですが、彼らにこそ、本質的な部分が見えているんです」

「社員が社長に意見を言いやすい空気をつくるのも大事ですね。先日も福岡で懇親会をして80人くらいのスタッフが集まりました。そこで僕も若い子たちにまじって、『(若者に人気のバンドの)バックナンバーやワンオクロック、サチモスっていいよね』とか無理した会話をするんです。ほんとは、僕は『サザンオールスターズがいいよね』と言いたいところなんですけど。でもそこで『この社長は話を聞いてくれるな、面白いな』というのが伝わるんでしょうね」

「翌日、彼女たちのいる店を視察に行くと、もう関係がフラットになってるんですよ。そこで『困ったことはないですか』と聞くと『実は…』と思いがけない話が出てきて、それがマニュアルを変えるきっかけになったりする。これまでマニュアル変更の大半を引っ張ってくれたのは新人です。人間というのは3年も5年も同じ仕事をやっていると、悪い事もいい事も含めて、マニュアルがこれだからと改善する気がなくなってくるものです。常に新鮮な視点からの意見を取り入れながら、柔軟に組織を変革できるリーダーでありたいと思っています」

石川康晴
 1970年岡山市生まれ。幼い頃からファッションが好きで94年に4坪のセレクトショップを創業。95年に旧クロスカンパニー(現ストライプインターナショナル)を設立。働きながら岡山大学経済学部を卒業。現在、京都大学大学院に在学中。

(石臥薫子)

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