水に4時間つけても染みない 本革防水ビジネス靴3選
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梅雨時期に履くビジネスシューズは防水に限る。しかし防水シューズは合皮や化学繊維のものが多く、見た目も履き心地もいまいち納得できない……。そんな人におすすめな本革製の防水ビジネスシューズを紹介する。
本革製だから見た目が上品
防水シューズは足先から水が染み込む心配がなく、水たまりを避けて歩くわずらわしさもない。靴内環境は集中力に大きな影響を与えるため、ビジネスパーソンの必需品ともいえるだろう。
これまでの防水ビジネスシューズは、PVC(ポリ塩化ビニール)などのいわゆる合皮が主流。防水性の高い素材を用いながら"革靴に見える"シューズが近年注目されていた。しかし防水性に優れる半面、通気性が悪くどうしても蒸れやすかった。また、いくら革靴に見えるほど精巧といっても、近くで見るとやはり合皮っぽさは否定できないうえ、履き心地においても本革靴に劣るものが多かった。
最近、こうした防水靴の欠点をカバーした、本革製の防水ビジネスシューズが続々登場。革には防水加工を施し、アッパーとライニングの間に防水フィルムを挟むことで、本革製ながら優れた防水性を実現し、売り上げを伸ばしているという。
「当社ブランドの『ギャビー』は、2003年に防水ビジネスシューズとしてリニューアルデビューしてから好調に売れ続けています。2015年には前年比200%を超える月もありました。現在も多くのリピーターを抱えながら、売り上げは安定して推移しています」(ワシントン靴店 銀座本店 メンズフロアマネジャー吉田貴昭氏)
本革製の防水シューズは見た目が上品で履き心地もいい。雨の日だけでなく晴れの日も、通年履ける点が大きな魅力だ。
「やはり梅雨時期の売り上げは伸びますが、梅雨が明けてもゲリラ豪雨や台風など突然の悪天候に備え、通年履かれるお客様が増加しています。天候にかかわらず外を歩く機会の多い営業職の方はもちろん、履き心地もソフトで軽いため、事務職の方にも支持をいただいております」(吉田氏)
今回は本革製の防水シューズの注目作を3つ紹介する。
ギャビー/高い吸湿速乾性で雨の日以外も快適
先述した、ワシントン靴店のオリジナル防水シューズ。ギャビーは20年以上続くワシントン靴店の定番ブランドだが、2003年、快適な履き心地と機能を備えたブランドとしてリニューアルした。見た目も上品で通年履けることから多くのファンを持つ。
レザーアッパーに強力なはっ水加工が施されており、さらにアッパーとライニングの間には「アウトドライ」という防水メンブレン(膜)を採用。2段構えの防水対策により、最外層で水の浸入をシャットアウトする。また、レザーとアウトドライが隙間なく接着されているため、その間に水がたまることがなく湿気をスムーズに放出。
またインソールに、世界の消防士や警察官などの靴に搭載されている吸湿速乾素材「キャンブレル」を使用。汗を素早く吸収して足の蒸れを軽減する。防水性に優れるだけでなく、靴内部の蒸れにも配慮した作りのため、1年を通して快適に履くことができる。
「ギャビーの防水ビジネスシューズは、30~60代の幅広い層に支持をされております。雨の日用として購入されるお客様も多いですが、天候にかかわらずお履きいただいている方がほとんど。『軽くてソフトなので履き心地がいい』『こればかり履いてしまうので靴底が減ってしまう』といったお声もいただいております」(吉田氏)
マドラス/防水性と透湿性を両立、デザインも魅力
1946年にイタリア・ベネチア郊外のバッサノで誕生し、1965年に日本へ上陸したシューズブランド。以前より「ゴアテックスファブリクス」を採用した防水透湿性に優れた革靴を展開していたが、新作はさらに透湿性能がアップしている。
本モデルは靴底に空気孔を設け、靴の内部360度が通気する「ゴアテックス サラウンドプロダクトテクノロジー」を採用。ゴアテックスファブリクスならではの防水耐久性はそのまま、靴全体で高い透湿性を実現している。靴底に大きな穴が開いているが、特殊なラミネートにより外から水が浸入することがなく、熱がこもりやすい環境のなかでも靴内部をドライで快適に保つ。
高い機能性を持ちながら、それを感じさせない見た目も魅力だ。靴底には左足にイタリアの地図、右足にアメリカの地図をデザインするなど、マドラスらしいこだわりが詰まった一足に仕上がっている。
「天候にかかわらず外出する機会の多い営業職の方に、多くの支持をいただいております」(マドラス 総合企画 飯島麻美氏)
テクシーリュクス/軽快な履き心地、においも配慮
まるでスニーカーのような軽快な履き心地が特徴のテクシーリュクスのビジネスシューズ。その防水シリーズは、アッパーを袋状に縫製し、表革とライニングの間に防水フィルムを挟み込むことで優れた防水性を実現している。
この袋縫いには防水糸を使用し、縫製のつなぎ目には防水テープを貼るなど徹底した防水対策がなされており、さらにアッパー表面にははっ水加工も施されている。ソールとアッパーの接着面から水が内部に浸入することもなく、その防水効果は4cmの水に4時間つけても水が染み込まないという実験結果もあるという。
アウトソールはクッション性と屈曲性に優れた、軽量なEVA(エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)製インジェクションソールを採用。踏みつけ部、かかと部には低硬度ラバーを貼り、グリップ性と耐久性を高めている。抗菌メッシュ素材のライニング、消臭繊維「モフ」をつま先に使用した立体成型インソールなど、靴内部のにおいにも配慮。シューズ自体が非常に軽く、革靴とは思えないほど屈曲性が高いため、まさにスニーカー感覚で快適に履くことができる。
「防水シューズとは思えないほどの柔らかいアッパーで、快適な履き心地を追求しているため、30~40代のビジネスパーソンを中心に幅広い層から支持を得ています」(アシックス商事 紳士・スポーツプロダクト本部)
前編 本革製なのに雨に強いビジネスシューズ3選
中編 はっ水機能が買いの決め手 防水ブリーフ注目作3選
後編 吸水傘ケース、防水イヤホン 雨の日快適グッズ5選
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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