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損しないのはどっち? クイズで挑戦、賢い買い物術

日経ウーマン

2017/6/19

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日経ウーマン

 ムダな買い物をしてしまうのは、意志の弱さが原因ではありません。クイズに答えて、買い物の心理を知り、欲求とうまく付き合いましょう。

【1時間目 行動経済学】

「損を避けたい」と思う余りに、気付かぬ損をしていることも!

 「人間は無意識に『損したくない』と考える生き物。しかし、そうした“感情”に流されて、合理的とはいえない判断をしてしまい、逆に損をするケースは少なくありません」と、行動経済学に詳しい大江英樹さん。

 通販の「返品無料」、値札に付いた値引き表示……。一見お得そうだが、「余計な買い物をさせるための誘導ではないか、冷静に判断を。セールではクレジットカードを使わないなど、ムダ遣いを防ぐためのルールを決めることも大切です」。

 特に注意したいのは金融商品。高金利に見えて、手数料が高いものもある。「なぜお得なのか考えて、仕組みが理解できないものには手を出さないのが賢明です」

■Q1 あなたは映画館で映画を見ている。30分たったが、期待外れだ。そんなとき、どうする?

 A.途中で席を立つ

 B.もったいないので最後まで見る

正解:A 途中で席を立つほうが、ムダが少ない

 「お金を払ったのだからもったいない」とBを選ぶ人も多い。この心理を「サンクコスト(=戻ってこないお金)効果」という。しかし実際は、AもBも損した金額は同じ。時間を有意義に使える分、Aのほうが合理的だ。

■Q2 「返品自由」と書かれた通販サイト。気になる商品がいくつかある。どうする?

 A.注文して、気に入らなければ返品する

 B.どうしても欲しいのでなければ、注文しない

正解:B 一度手にしたものは、手放しにくくなる

 返品可能といわれると、購入へのハードルが低くなる。しかし、一度手に入れると今度は手放すのが惜しくなるのが人間。この心理を「保有効果」という。「返品には手間もかかり、実際にはハードルが高い作業です」(大江さん)

■Q3 住宅購入の頭金のため定期預金に200万円ためた。そんなとき、車を200万円で買い替えることに。どちらを選ぶ?

 A.定期預金は残し、車はローンを組んで買う

 B.定期預金を崩して車を買う

正解:B ローンを組むほうが金利負担が大きい

 メガバンクの自動車ローンの金利は変動金利で年3~5%程度。一方、定期預金の金利は年0.01%。「ためたお金を崩すのがもったいないという理由でローンを組むと、0.01%の利息をもらうために3~5%の利息を支払うという損な結果に」

■Q4 買い物に行き、見た目も質感もそっくりな白いシャツを見つけた。どっちを買う人が多い?

 A.値札の3万円が1万円に修正されたシャツ

 B.最初から1万円で売られているシャツ

正解:A 値段よりも、値下げに注目してしまう

 人は最初に示された数字に影響を受ける。これを「アンカリング(=いかりを下ろす)効果」という。Aは、最初に書かれた3万円が印象に残り、1万円を安いと感じるが、「本当に大切なのは、価格に見合う価値があるかどうか」。

■Q5 3000円の買い物をしたら、レジで「あと1000円買えばポイントが2倍になる」と言われた。どうする?

 A.あと1000円買う

 B.追加の買い物はしない

正解:B おまけにつられて実は損している!

 「“おまけ”であるポイントのために、余計なお金を払うのは本末転倒」。この現象を「選好の逆転」という。ポイント還元率は多くの店で1%。このケースでは、1000円余計に払っても、上乗せでもらえるポイントは50円分しかなく、損してしまう。

■Q6 あなたは投資信託の購入を検討中。どちらを選ぶ?

 A.毎月いくらかのお金を「分配金」としてもらえる投信

 B.分配金のない投信

正解:B 目先のお得感に惑わされないで

 投信の分配金は運用の利益や元本のなかから支払われる。つまり、自分の資産の一部を受け取っているだけ。「お得と感じるのは錯覚です。分配金を出さず、運用に回す投信のほうが合理的」

【2時間目 脳の仕組み】

脳のクセを知って、対策を立てれば、ムダ遣いは「ある程度」防げます

 買わないはずのウインドウショッピングで、つい衝動買いをして後悔……。「それは意志が弱いのではなく、私たちの思考や判断が“脳のクセ”に左右されているから」と、東京大学薬学部教授の池谷裕二さん。

 例えば、脳は将来の自分の感情を予測できないというクセがある。買い物の前には、衝動買いする自分を想像できず、「冷静に判断できる」と思っている。しかし、実際は欲しいものを見ると興奮し、買ってしまう。このクセを知っておけば、「むやみにウインドウショッピングに行かない」などの対策を立てられる。「脳のクセ自体を変えることはできませんが、クセを知ることで、損を招く行動をある程度避けられます」

■Q7 次の2つのうち、よりお得なのはどっち?

 A.200円のキャベツが2割引きになっている

 B.200万円の車が1万円引きになっている

正解:B 割引率より実際の金額を見るべき

 Aの割引額は40円、Bは1万円。「Bのほうが明らかに得。割引率ではなく、実際の割引金額で見る習慣をつければ、小さな節約ではなく、大きな節約をしようという発想になります」(池谷さん)

■Q8 店ですてきなバッグを見つけた。買わずに帰ったが、気になる。もう一度見に行くと、どちらの結果になりがち?

 A.やっぱり我慢しよう!

 B.やっぱり買ってしまおう!

正解:B 脳は将来の感情を予測できない

 「もう一度見に行っても、冷静な判断ができる」と考える人は多い。だが、脳は将来の自分の感情を予測できない(感情移入ギャップ)。「実際は欲しいモノを見ると興奮し、買いたくなるもの。見に行かないのが一番」

■Q9 あなたは見知らぬ土地を旅行中。1日のうちに観光と買い物を済ませたい。どちらを先にするべき?

 A.買い物を午前中、観光を午後

 B.観光を午前中、買い物を午後

正解:A 脳は疲れると複雑な判断ができない

 自制心や忍耐力は筋力に似ており、疲れると十分に働かなくなる(自我消耗)。見知らぬ土地にいること自体、脳と体が消耗する行為。さらに観光で疲れた後に買い物をすると、判断力が鈍って余計なものを買いがちなので注意。

■Q10 3つのスマホプランがある。どのプランを選ぶ人が多い?

 A.スマホ単体 … 5600円

 B.タブレット単体 … 1万2000円

 C.スマホとタブレットのセット … 1万2000円

正解:C 選択肢BはCを買わせるための「おとり」 

 実際に行われた同様の調査では、84%の人がCを選んだ。売り手は、お得度の低いBをあえて提案することで、Cのお得感を際立たせる。これを「おとり効果」という。売り手に誘導されていないか、慎重に判断を。

■Q11 友人とランチを食べに行く予定。どちらの店のほうが満足感が高まる?

 A.自宅の近所のイタリアン

 B.電車と車で1時間かけていくイタリアン

正解:B 手間暇が多いほど「いいもの」と思い込む

 脳は自分の取った行動に合わせて、心理を書き換える(認知的不協和)。つまり、「遠くまで行ったのだからおいしいはず」と、自分の努力を正当化する。同様に、無料でもらったモノより、自分で買ったモノのほうが愛着が湧き、大事に使う。

■Q12 2種類の薬がある。違いは価格と、副作用の確率。どちらの場合が、2万円の薬を買う人が多い?

 A.1万円の薬は1000回に15回副作用が出るが、2万円の薬は1000回に10回しか出ない

 B.1万円の薬は1000回に5回副作用が出るが、2万円の薬は副作用が出ない

正解:B 脳は「確実性」を求めたがる

 AもBも、「副作用が5回減る」という点では同じ。だが、脳は確実性を求め、少しでも失敗する恐れがあると行動をためらう(ゼロリスクバイアス)。例えば、投資でも「元本保証」にこだわる人は多いが、リスクを取ったほうがお金は増える可能性がある。

この人たちに聞きました

大江英樹さん
 経済コラムニスト。大手証券会社を定年退職後、オフィス・リベルタスを設立。行動経済学、資産運用、企業年金などをテーマに、執筆やセミナーを行う。近著は『定年男子 定年女子』(共著、日経BP社)。
池谷裕二さん
 東京大学薬学部教授、脳研究者。海馬や大脳皮質の解明に取り組み、脳の最先端の知見を分かりやすく解説。『ココロの盲点 完全版』(講談社)『脳はなにげに不公平』(朝日新聞出版社)ほか、著書多数。

[日経ウーマン 2017年6月号の記事を再構成]

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