IOCも一目置く コカ・コーラの「五輪スポンサー」術オリパラのマーケティング(上)

スポーツイノベイターズOnline

――どんなお客をターゲットにするかという点で五輪とほかのスポーツイベント、例えばサッカーW杯とは違いますか。

「サッカーW杯との一番の違いは、五輪ではファミリー層をターゲットにしているという点です。W杯は、コアなフットボールファンの男性がターゲットです。五輪は、ファミリーやティーンといったソフトな感じのコミュニケーションになります」

東京もグローバルに展開

――16年のリオデジャネイロ五輪での取り組みから得た教訓はありますか。

「リオ五輪の教訓の1つは、開催国全体をどう巻き込むかということでした。ブラジルは国土が広いこともあって、例えば、サンパウロの人々は五輪を無視していたわけではないのですが、『何か隣の町でお祭りをやっている』ぐらいの意識という印象もありました」

「今回は日本を一つにする方法を考えています。日本はブラジルより国土が小さいとはいえ、容易ではありません。でも、やり方によってはうまくできると考えています。我々のモットーは『東京2020』ではなく『日本2020』です。東京だけで終わらせたくないのです」

――リオ五輪でコカ・コーラは、「#ThatsGold」というキャンペーンを世界中で展開していました。東京でも、リオと同じように世界統一のキャンペーンを計画しているのですか。

「リオ五輪では初めて、開催国だけでなくグローバルに同じキャンペーンを展開しました。これまでは開催国に根差した内容のキャンペーンでした。グローバル展開によるアクティベーションのボリュームという点でも、非常に成功した例の1つです」

「東京五輪でも、基本的なプランは日本とグローバルのマーケティングが話し合って、グローバルに展開するという形になります。ただ現段階では、キャンペーンの内容は決まっていません。先ほど話したように、まずはレガシーを設定して、そこから落とし込んでいくことになります」

高橋オリバー
1970年ドイツ生まれ。リーボックジャパンとスポーツマーケティング会社のISLで勤務。2002年に国際サッカー連盟(FIFA)に転じる。FIFAではマーケティング・アライアンス・ディレクターを務めた後、イベントやプロモーション戦略の開発を含む事業のトップに就き、10年から全イベントの事業会社系子会社の責任者に。12年ナイキジャパンで各スポーツ連盟やチーム、個人アスリートのマネジメントを行う部門のシニア・ディレクターに就任。16年から日本コカ・コーラの東京2020オリンピック ゼネラルマネジャー。
上野直彦
スポーツジャーナリスト。早稲田大学スポーツビジネス研究所・招聘研究員。ロンドン在住の時にサッカーのプレミアリーグ化に直面しスポーツビジネスの記事を書く。女子サッカーやJリーグも長期取材している。『Number』『AERA』などで執筆。初めてJユースを描いたサッカー漫画『アオアシ』で取材・原案協力。著書に『なでしこのキセキ川澄奈穂美物語』(小学館)、『なでしこの誓い』(学研教育出版)がある。

(3回に分けて火曜に掲載します)

[スポーツイノベイターズOnline 2017年4月4日、6日、10日付の記事を再構成]

今こそ始める学び特集
今こそ始める学び特集