しかし今、そんな昭和レトロなビアガーデンはむしろ希少な存在だ。「ビアガーデン」というワード自体が新鮮なイメージで受け止められるようになってきたのだろう。昭和スタイルのビアガーデンを知らない20~30代の人に話を聞くと、夜空や自然の風を感じながら気の合う友人たちと非日常的な夜を過ごせる場所といったイメージを持っているようだ。

多様化と差別化戦略で女性客も魅了

それでは今、どういったビアガーデンが主流となっているのか。昭和世代の典型的な“ビアガーデン観”と対比させて見ていきたい。

<その1:開催時期>ビアガーデンは夏季限定 → 肌寒い4月初旬から続々オープン

以前のビアガーデンは夏季限定だった
今のビアガーデンは5月には営業開始。屋根や囲いを備えているので気温が少々低くても大丈夫だ

ビアガーデンの開催時期は年々前倒しになっている。10年前は5月の連休直前にオープンする「ニユートーキヨー数寄屋橋本店ビヤガーデン」(現在は閉店)が東京では早く、多くのビアガーデンは6月もしくは7月に入ってからのオープンだった。現在トップバッター組はなんと桜開花前の3月、そして半数以上は5月末までに営業を開始している。つまり梅雨入り前だ。

東京タワー下で開催されているビアガーデンの2017年のオープン日は4月7日。気温が上がらない日や雨天用に半数近い席が開架式のビニール屋根・囲いを備えている。雨天リスク軽減のためこうした設備を導入しているビアガーデンは少なくない。

「でも5月のビアガーデンなんて寒くない?」 そう疑問を感じた人もいることだろう。実は5月の気温は結構高いのだ。2014年以降の平均気温は4年連続で20度を超えている。2017年5月の日中最高気温平均は25.1度で夏日は17日間、30度超えの真夏日も1日あった。寒いどころかむしろ「ビアガーデン日和」な日が多い月だったともいえるだろう。

<その2:利用客層>会社の部署飲み大集団 → 女性同士にカップル、時におひとり様も

以前のビアガーデンは団体向け。大人数用に長机がならんでいた
今のビアガーデンは小グループ向けが基本。4人がけや2人がけのテーブルが主流だ

一昔前ビアガーデンといえば「会社の部署飲み会」が主流で、大人数で訪れるケースが多かった。平成に入りそうした「会社飲み」が減ったことが一時期のビアガーデン衰退につながった要因ともいわれるが、近年はプライベートかつ少人数で利用する人が増えている。結果、長机を何列も並べるテーブル配置は姿を消し、四人がけ、二人がけの丸テーブルなどを散りばめた会場が圧倒的に多くなった。

樹々が生い茂る南国ビーチリゾートのようなおしゃれな空間設計にしたり、ぜいたくなソファでくつろげるVIP席を用意する店舗もあり、ビアガーデンで女性だけのグループを見かけることも増えてきた。さらになんと「おひとり様ビアガーデン」もある。単身でふらり立ち寄って気軽に飲めるよう、テラスや屋上の柵沿いに“おひとり様歓迎”のカウンター席を設けたり、立ち飲み席を作るビアガーデンまで登場しはじめたのだ。

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