――日本には発泡酒、第三のビールという分類もあるけど、飲みますか?

ステファン 個人的には味があまり好みではないので、ほとんど飲まないですね。でも次々にいろいろな種類が発売されて、メーカーはよく研究していると思います。

レイナ 飲んだことがないです。

サム 日本に来たころは、発泡酒ばかり飲んでいました。コンビニで値段を比べると安いから。でもなぜか二日酔いになりやすかったので、今はビールを飲んでいます。

アンドリュー 経済的でいいと思うけど、ビールテイストがほしいときはやはりビールを選びます。

注目されている日本のクラフトビール

ところで、ここ数年、日本の「クラフトビール(craft beer)」の人気が急激に高まってきました。クラフトビールとは「地ビール」のことと思っていただいてよいでしょう。厳密にいうと違うのですが、小規模な醸造所でつくられるビールというカテゴリーは同じなのです。

日本では1994年に酒税法の改正があり、ビールの最低製造量の基準が、それまでの年間2000キロリットルから60キロリットルにまで引き下げられ、全国各地の中小メーカーでもビールをつくることが可能になりました。これが地ビールの始まりです。翌1995年は「地ビール元年」と呼ばれ、日本中に地ビールブームが起こりました。

その後ブームは去りましたが、生き残った醸造所が品質にこだわっておいしいビールづくりを目指してきたことが、現在のクラフトビール・ブームにつながっているといわれています。

夫によると、ほとんどの国には大きいビールメーカーがいくつかあり、売り上げでは人気ですが、通(つう)は大手社製よりクラフトビールを好む傾向があるそう。そんな人たちが日本に観光に来たら、やはり日本のクラフトビールを飲んでみたいと思うのだそうです。

このような動きに着目したのが、スタッフのサムです。彼は日本のクラフトビールを紹介したいと自ら企画を提案し、この春に第一弾の記事をアップしました。サムに日本のクラフトビールの感想を聞いてみました。

サムが大阪に住んでいたころ、デパ地下にクラフトビール専門店が誕生。ブームの兆しがうかがわれます (写真:japan-guide.com)

サム 今、日本のクラフトビールが生産量・人気ともに上がってきています。大阪に住んでいたころ、クラフトビールの会社がたくさんできているのを見ましたし、人々がクラフトビールのことを話しているのも聞いて、興味を持ち始めました。

その後ネットで調べてみると、東京ではもっと増えていて、クラフトビールが飲めるバーもどんどんできているとあり、取材してみたいと思ったのです。

日本のクラフトビールは、全体的にハイクオリティー。米国やドイツのクラフトビールの平均レベルはかなり高いですが、日本はそれに追いつきそう……。いや、もう同じレベルに達しているかも。

そう思う理由は、おいしさはもちろんのこと、ビール職人や醸造所の情熱を感じるからです。つくる側がよく研究し経験を積んでいると思います。米国やヨーロッパにも勉強に行っているかもしれない。その成果が出ていると思います。

正直にいうと、すごく驚きました。日本のビールの歴史はまだ150年ほどなのに、ヨーロッパの500年と、もうイコールになっている。ただし、まだ世界的には有名になっていないので、これからはPR活動も必要ではないかと思います。

こんなオシャレなクラフトビール・バーがあちこちにできています。ここはサム一押しの「デビルクラフト」神田店(東京・千代田区) (写真:japan-guide.com)
「デビルクラフト」の人気フードメニューはシカゴピザ。ケーキかと思うほどの分厚さで、チーズやトマトソースがぎっしり詰まっています。クラフトビールと共に (写真:japan-guide.com)

サムのトラベルリポート「Craft Beer Japan: Kanda」

http://www.japan-guide.com/blog/sam/170306.html

シャウエッカー光代
 ジャパンガイド(株)取締役。群馬県生まれ。海外旅行情報誌の編集者を経て、フリーの旅行ライターとなり、取材などで訪れた国は約30カ国。1994年バンクーバーに留学。クラスメートとしてスイス人のステファン・シャウエッカーと出会い、98年に結婚。2003年、2人で日本に移住。夫の個人事業だった、日本を紹介する英語のウェブサイト「japan-guide.com」を07年にジャパンガイド株式会社として法人化。All About国際結婚ガイド、夫の著書『外国人が選んだ日本百景』(講談社+α新書)『外国人だけが知っている美しい日本』(大和書房)などの編集にも協力。