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変わる端末戦略 ファーウェイ「P10」の魅力と死角

佐野正弘のモバイル最前線

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NIKKEI STYLE

SIMフリースマートフォン(スマホ)市場で絶好調のファーウェイが、大ヒットした「P9」シリーズの後継機「P10」シリーズを発表した。「P9」では日本への投入を見送った大画面モデル「Plus」を投入するなど、新たな動きを見せるファーウェイの、日本における新たな端末戦略と課題に迫ってみよう。

5.5インチの「P10 Plus」を新たに投入

「格安SIM」や大手キャリアのサブブランドによる格安なサービスの人気が高まったことを受け、SIMフリースマホの人気も急速に高まっている。そのSIMフリー市場で、絶好調なのが中国のファーウェイだ。

同社に勢いをつけたのが、2016年に発売した「HUAWEI P9」である。これは、モノクロとカラーの2つのカメラを搭載し、ボケ味のある写真を簡単に撮影できる「デュアルカメラ」機構を搭載したフラッグシップモデル。カメラメーカーのライカと共同開発したことで話題になった。3万円前後が売れ筋とされるSIMフリースマホ市場の中で、6万円近い値付けながらもヒットしたことは、驚きだった。

加えて16年末に発売した大画面モデルの「HUAWEI Mate 9」や、17年に投入された、セルフィー(自分撮り)機能が充実した「HUAWEI nova」「HUAWEI nova lite」も高い人気を博している。投入するスマホが次々とヒットしたことで、ファーウェイはSIMフリー市場における主役の座を確固なものにしつつある。

そのファーウェイが17年6月6日、次の一手として発表したのが「HUAWEI P10」シリーズだ。名前からわかるように、P9シリーズの後継機で、今回はメインとなる「HUAWEI P10」とミドルクラスの「HUAWEI P10 lite」に加え、大画面の「HUAWEI P10 Plus」も投入する。

P10とP10 Plusは、いずれも背面のメインカメラにライカと共同開発したデュアルカメラ機構を搭載するなど、P9を継承したカメラ機能の充実ぶりが特徴だ。モノクロ側のイメージセンサーがMate 9と同等の2000万画素に向上したことから、より繊細な写真の表現が可能になるとともに、写真が劣化することなく2倍までのデジタルズームができる「ハイブリッドズーム」にも対応した。

また両機種は、顔の特徴点を190点で認識し、顔にダイナミックな照明効果を与えたり、ダブルレンズで被写体と背景のボケ味を調節したりする「ポートレートモード」を搭載。セルフィーに用いるフロントカメラにもライカレンズが採用され、背景をぼかす加工が追加されるなどの強化されている。

なお、P10 Plusはカメラのレンズに、グレードが高い「SUMMILUX-H」を採用。カメラの明るさを示すF値が1.8と、P10(F値2.2)よりも暗い所で被写体をより明るく撮影できる。

市場トレンドの変化でハイエンドの布陣を厚く

今回の注目はP10 Plusだ。P10 Plusは5.5インチと画面サイズが大きく、横幅も74.2mmと広い。しかも市場想定価格が7万2800円と、より大画面のMate 9(発表時の市場想定価格が6万800円)と比べても強気の価格設定がされている。

実はP9シリーズにも、グローバルモデルでは5.5インチの上位モデル「HUAWEI P9 Plus」が存在したのだが、日本向けにはP9とP9 liteしか投入されなかった。

では一体なぜ、ファーウェイは今回、P10 Plusを日本に投入したのだろうか。ファーウェイのデバイス部門で日本と韓国を統括する呉波氏によると、特殊性の強い日本市場に、より深く入り込む狙いがあるという。

世界市場全般を見ると、安価なミドルからローエンドクラスのスマホの販売が多く、ハイエンドモデルの販売数は少ない。だが日本市場は、端末を大幅に値引きして販売するスタイルが主流のキャリアによる端末販売が主で、高性能かつ高価格のスマホが安価に購入できることから、ハイエンドモデルが最も売れ筋となっている。単体で購入すると10万円前後するアップルの「iPhone 7」が最も売れ筋となっていることからも、その傾向は理解できるだろう。

そして呉氏によると、17年に入ってから日本市場に大きな変化が起きているとのこと。16年まではSIMフリースマホの購入層はスマホ初心者やサブ用途が中心だった。それが、17年に入るとメイン用途として利用する人が増えたのだそうだ。

その結果、より優れた性能を持つスマホを利用したいとして、P9やMate 9など、高価格帯のモデルを選ぶ人が増えてきた。そこでP10 Plusを投入することによってハイエンドモデルを強化し、高価格帯の端末販売拡大を狙うのだそうだ。

日本でも大画面へのニーズは高まりつつある

呉氏によると、日本におけるコンパクト志向の強さにも変化が見られるという。1つはユーザーが、動画など幅広いコンテンツを利用するようになったことで大画面へのニーズが高まっている。第三者機関の調査を見ても大画面を求めるユーザーの数が増えているほか、16年P9を販売した際も、より大画面となるP9 Plusの投入を期待する声が多く上がっていたそうだ。

そしてもう1つはメーカー側の変化だ。ディスプレー技術の向上などによってスマホのベゼル幅が狭くなっており、大画面を搭載しながらも従来より片手で持ちやすいサイズを実現できるようになった。

ファーウェイはそうした2つの変化を受け、徐々にディスプレーサイズの大きな端末を投入する方向へとシフトしているとのこと。それがP10 Plusの投入へとつながっているのだそうだ。

ローカル市場への対応には弱さも

P9の実績、そしてP10とP10 Plusの機能・性能を見れば、両機種ともに好調なセールスを記録する可能性は高いと筆者は見る。大ヒットモデルとなっている「HUAWEI P9 lite」の後継となる「HUAWEI P10 lite」とあわせて、盤石のラインアップをそろえたといえそうだ。

それでもなおファーウェイに弱点があるとするならば、それは日本のローカル市場に向けた機能の対応への弱さであろう。

中でも最近重要となってきているのが、auのVoLTEへの対応である。auのネットワークは3Gの通信方式が他社と異なる方式を採用している影響から、SIMフリースマホがauのネットワークに対応するには、LTEのネットワークで音声通話をする「VoLTE」に対応する必要がある。最近ではUQコミュニケーションズの「UQ mobile」など、auのネットワークを採用する格安SIMが増えていることから、SIMフリースマホを手掛けるメーカーにとっても、auのVoLTEに対応することが重要となってきているのだ。

だがファーウェイは、auのネットワークへの対応にはあまり積極的ではない。今回はP10 liteのみ、後日ソフトウェアアップデートでauのVoLTEに対応するとのことだが、フラッグシップの2機種は非対応だ。呉氏もauのVoLTE対応に関して「可能性を否定することはない」としながらも、明確な回答は避けている。

また、モバイル決済で用いられているFeliCaに関しても、「技術的に対応することは問題ない」(呉氏)としながら、やはりP10シリーズには搭載されていない。呉氏は、中国でアリペイやWeChat PayなどQRコードによる決済が広まっていることを挙げ、FeliCaに限らない決済に関する技術トレンドを見極めた上で、どのような決済サービスを搭載するか検討する考えを示している。

日本での販売が急伸しているとはいえ、ファーウェイのビジネス全体からしてみれば日本市場の規模は小さい。日本のローカル市場の要求に積極的に応えるのはまだ難しいということなのだろう。だがそれは他のメーカーに足をすくわれる原因にもつながりかねない。

実際ファーウェイは大手スマホメーカーの中で日本でSIMフリースマホの販売を始めたのは早かったものの、当初の評価は低かった。NTTドコモが地方や山間部をカバーするのに広く用いているが、海外ではほとんど使われていない800MHz帯になかなか対応しなかったためだ。そのため、後発ながらも800MHz帯にいち早く対応したASUSの台頭を許してしまった。

今後SIMフリー市場は一層大きくなることが予想されるが、それに伴って日本市場にカスタマイズされた大手キャリアのスマホを使っていた人たちがSIMフリースマホを使うようになり、日本ならではのローカル要素に応えることは一層重要になってくるだろう。現在の勢いを止めることなくシェアを拡大し続けるためには、ラインアップの充実だけでなく、日本ならではの機能や要素への積極的な対応が求められるところだ。

佐野正弘
 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。

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