女性が一生働き続けるために 「4%の法則」と専門力
知って得するお金のギモン
私は現在も、社会保険労務士をはじめとする資格試験の受験指導に携わっています。そこで感じるのは、女性には無限の可能性があるということ。これをテーマに、私からのメッセージをお送りします。
資格を取って50代で独立 3年後に年収1000万円
ある女性は、子育てが一段落して社会復帰を考えましたが、希望に合った職種の採用がかなわず、スーパーに勤めながら社会保険労務士の資格を取得。その後、私の開業塾に参加し、50代で独立されました。専門分野を障害年金とし、紹介で顧客が増え、今では地域の障害年金請求の第一人者となりました。女性ならではのきめ細やかな対応に加え、ご自身もメンタルを病んだ経験があり、顧客目線で相談ができたこともよかったのでしょう。年収は1000万円を超えています。
このような例を出すと、「何か経験があったのでは?」「私には無理だわ」と考える人が多いのですが、誰にでもチャンスはあるのです。
「いつかやりたい」はNG 行動することが大切
スポーツでも、資格試験などの学びでも、始めるきっかけは書籍やセミナーだったりしますね。あるブログで「4%の法則」が紹介されていました。同じセミナーを100人が聞いたら、20人が興味を持つ。しかし、実際に行動を起こすのは4人程度。つまり、4%の人しか行動を起こさないのだそうです。「いつかやりたい」は、「どうせ無理」に変わっていきます。チャレンジし、行動することが大切です。
ちなみに私も54歳のときに、あるきっかけでトライアスロン挑戦を決め、1年後に55歳で完走しました。当初は自分には無理だと考えていましたが、地道にトレーニングしていくと、「完走したい」「できるかも」に変わりました。
人生のなかで、通勤なども含めると、目覚めている時間の50%以上は仕事に費やしているのではないでしょうか。この時間を楽しく過ごすか、つまらなく過ごすかで、人生は大きく違ってきます。
私の会社は中小企業で、顧問先も多くは中小企業です。これらの企業が人材を採用する際、最も重視するのは、「その人は何ができるのか」です。
例えば、経理の資格として簿記検定をお持ちでも、実務の経験がない方が多くいらっしゃいます。逆に、簿記検定を持っていなくても、実務ができる方もいらっしゃいます。採用されるのは多くの場合、後者です。
ですから、キャリアを積むなかで、「何を得意分野にするのか」を常に意識し、実務経験を重ねることが重要です。
経理や給与計算などといった、少し専門的な分野であれば、転職のチャンスはいくらでもあります。こうした専門分野で、人より得意なことを見つけ、伸ばしていきましょう。資格は、実務ができることの裏づけとして取得するのが有効です。そうすれば、「キャリアを形で示す」ことができます。
近年、女性の子育てや社会復帰を後押しする法律改正が多く行われています。社会で活躍するチャンスが広がっています。この環境を大切にしましょう。
多くの人は、やりたいと思っても実際には行動しないもの。せっかくの人生ですから、チャレンジして生きていきましょう。チャレンジがあなたを変えます。
社会保険労務士・FP。1991年に国家資格者の総合事務所「BraiN」を設立。著書『制度を知って賢く生きる 人生を左右するお金のカベ』(日本経済新聞出版社)が発売中。給与計算実務能力検定試験を、11月5日(1級・2級)と2018年3月18日(2級)に開催予定。
[日経ウーマン 2017年7月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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