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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

日本史上最強のじぶん年金 読めば始められるiDeCo iDeCoで投資デビュー(1) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/6/14

 今回からファイナンシャル・プランナーでNPO確定拠出年金教育協会の理事でもある大江加代さんの、iDeCo(個人型確定拠出年金)に関する短期連載を始めます。題して「iDeCoで投資デビュー」。これまであまり投資に縁がなかった人にもこれを読んでiDeCoを始めてもらえるよう、なるべく難解な用語を使わないことを意識しています。

 確定拠出年金(DC)の中でも、個人型として特化した「iDeCo」は、公的年金に上乗せして「自分で自分の年金を育てる」制度です。「自分で自分の年金を」というと、よく似た「じぶん年金」という言葉を思い出される方も多いでしょう。でも世の中で「じぶん年金」といわれているものの多くは、公的年金制度のダメな点を引き合いに出して金融機関が自社の商品を売り込むために勝手につけたネーミングにすぎません。ところが、この「iDeCo」というのは財形貯蓄などと同様に国の法律で決められた制度の名前であり、まさしく公に認められた「じぶん年金」作りのための制度なのです。

 iDeCoは最近急速に注目が集まっていますが、そもそもこの制度は今から16年前の2001年に誕生したものです。でもスタートしたときにはiDeCoという愛称はなく、「確定拠出年金」という非常に堅苦しい名前でした(今ではあまり使いませんが、日本版401kと呼んだ時代もありました)。さらにややこしいことにこの確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類があります。同じ「確定拠出年金」という名前ではあるものの、この両者は制度の考え方が根本的に異なるものです。企業型は企業が運営する「退職給付制度(=広い意味での退職金)」ですし、個人型は「自分で自分の年金を作るのを、国が税制優遇で支援する」という制度です。

■突然脚光を浴びた理由は

 従って、このiDeCoこそが、まさに冒頭に出てきた「じぶん年金」なのです。ではなぜこのiDeCoがここへ来て急に注目を浴びるようになってきたのでしょうか。直接のきっかけは今年、この制度を利用することのできる対象者が大きく広がったことです。16年前に始まったときは、これを利用できるのは自営業やフリーランス、非正規社員の人などに加え、企業年金の制度がない民間企業(主に中小企業ですね)に勤めるサラリーマンだけでした。

 ところが2017年の1月からは、一部の例外はあるものの、原則としては60歳未満の日本人なら誰でも加入できるようになったのです。実際、今年に入ってからの加入者の数は驚くべき勢いで増加しており、毎月ほぼ5万人近い加入者増になっていますから、数年前に比べるとそのペースは約40倍に急増しているといえます。

 iDeCoの魅力はいろいろありますが、中でも「老後の資金を作る」ということにかけては以下の3つの点で、他の制度に比べずば抜けています。

1. 使う人が得をする大きな「税メリット」
2. めんどくさがり屋さんにもってこいの「自動積み立て」
3. 使ってしまう誘惑に負けない「60歳前の引き出し不可」

 加えて、老後資金の準備のために必要な2つのことも身に付けることができます。

1. (公的年金を含む)自分の老後にもらえるお金の知識
2. 投資信託とのつきあい方

 この2つはiDeCoに加入することによって、嫌でも考えなければならないことです。せっかくなので「この機会に自分でもその気になって覚えよう」と、前向きにチャレンジしてみるのがよいと思います。

■水にぬれなければ泳げない

 iDeCoは投資信託だけでなく預金でためていくことも可能ですが、いまの世の中はマイナス金利で、預金にとっては冬の時代。そこで「預金だけではない資産運用にもちょっと興味がある」という方が投資信託デビューするのにも、iDeCoはうってつけです。資産運用や投資というものは水泳と一緒で、本で読んだりビデオを見たりするだけでは泳げるようになりません。実際に水に入って手足をばたつかせ、時には耳に水が入って出すのに苦労したりしながら、少しずつ身に付けるものです。投資信託も同じで、やはり経験が必要です。

 そして、投資とは「マーケット」「金融商品」「自分の欲や弱さ」というやっかいなものと向き合う必要があります。ですから、よくある失敗談のように全く経験のないまま、いきなり退職金のほとんどを一つの銘柄に投資したりして過大なリスクを負うのではなく、若い頃から少しずつ失敗や成功の経験を積み重ねていくのが大切。その意味でもiDeCoは投資に慣れるのに極めて適した制度であることは間違いありません。

 これから何回かに分けて、iDeCoの魅力や、せっかく利用するのであれば知っておいてほしいことをひとつひとつお話ししていきます。6月も半ばとなり、iDeCoには興味があるけどちょっと出遅れたな、と感じている人も中にはいるでしょう。ただ投資を始めるのに「もう遅い」ということはありませんし、今からすぐ始めればそれだけ長い期間メリットを享受できます。出遅れ感のある人や金融に詳しくない人でも、「iDeCoで投資デビュー」できるように書いていきたいと思います。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

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