低迷iPad、「パソコン化」で再起 アップル新戦略

日経トレンディネット

とはいえ、やはりプロユースも多いiPad Proだと、それが煩雑に感じられることがある。例えばオンラインストレージからファイルをダウンロードして、編集したあと、アップロードして誰かに送るとき。パソコンなら、ファイルを落として適当な場所に保存したあと、編集して、そのままメールなどでファイルを送る。一方のiPadは、使おうとしている編集アプリが普段使っているオンラインストレージやメールアプリに対応していないと、操作が途端に複雑になる。

こうしたiOSならではの使い勝手の弱点を解消するために、アップルはiOS 11に「ファイル」と呼ばれるファイラーアプリを標準で用意することになった。これによりオンラインストレージからダウンロードしたファイルをとりあえず保管しておき、アプリで編集後、メールに添付するといったことが可能になる。

iOS 11に搭載される標準アプリ「ファイル」。オンラインストレージ上のファイルをパソコンのように一元管理できる

これは新iPadのスペック以上に大きな変化で、iPadの使い方をガラリと変えてしまう可能性もある。iPadとの組み合わせによって、iOSがよりパソコンに近づき始めたというわけだ。

この新OSの恩恵をもっとも受けられるのは、キーボードカバーやApple Pencilといった豊富なアクセサリーを持ち、しかもパフォーマンスが高い、最新のiPad Proである――。これが、アップルの描いたシナリオだ。ファイルアプリの導入によって、iPadの使い方が大きく変わる可能性もあるため、開発者の集まるWWDCでハードウエアとソフトウエアを同時に発表したのも、理にかなっている。

ファイルアプリは、DropboxやOneDrive、Google Driveなど主要オンラインストレージにも対応、それらのファイルを閲覧できる

停滞するiPadを復活できるか?

WWDCでは、iPad ProやiOS 11の発表に、かなりの時間が割かれていたように見えた。ここには、停滞するタブレット市場を活性化させたいという、アップルの意思が見え隠れする。

タブレットの中では抜群の売れ行きを誇るiPadですら、2014年度をピークに、販売台数は減少傾向にある。17年5月2日の第2四半期の決算を見ると、iPadは売上、販売台数ともに落ち込んでおり、販売台数は1000万台を割ってしまった。ここにテコ入れしたいと考えるのは、自然な発想だ。

その答えが、iOSともども、よりパソコンらしい方向にかじを切るということだったのかもしれない。

新ジャンルへの進出も

iPad以外でも、単なるソフトウエアの進化に止まらない将来像を提示できたWWDCだった。冒頭で挙げたMacの製品群もそうで、発表の目玉としてVR(仮想現実)への対応が発表された。

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