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ペッパーミルの4強対決 老舗プジョーは万全か?

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NIKKEI STYLE

日経トレンディネット

合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」(http://www.kappa-iida.com/)の6代目、飯田結太氏がイマドキの調理道具を徹底比較。今回は、最新のペッパーミルを比べました。ペッパーミルの代名詞的存在であるプジョーに匹敵する、進化した製品が登場。はたしてコショウを香り高くひけるのはどれなのでしょうか。

こんにちは、飯田結太です。ステーキや炒め物などに欠かせない調味料にコショウがあります。コショウは調理の最後にひとふりすることで料理の味に差がつくといっても過言ではないほど重要なスパイス。そんなコショウのために作られたのがペッパーミルです。ペッパーミルはデザインも構造も日々進化しています。また、ペッパーミルを回しながら料理にコショウをふる動作はなかなかカッコいいと思いませんか。そこで、今回は男の料理を決める、香り高いコショウがひけるのはどんなペッパーミルなのかを徹底的に検証しました。

ペッパーミルといえば、木製の中心がくびれたデザインのものがよく知られています。容器の上部をクルクル回すことで、コショウの粒が内部の歯に挟み込まれて徐々に砕かれていく仕組み。これはプジョーが開発した構造です。そう、ペッパーミルといえば、プジョーといわれるほどの絶対王者なのです。現在でもプジョーは常に新しい技術を開発して新製品を次々と出しています。しかし、今、ペッパーミルはものすごい競争の真っただ中。プジョーに負けず劣らず技術も使いやすさも優れているメーカーが3社あり、プジョーを含めた4強の進化から目が離せない状態なのです。

ペッパーミルの4強、注目のポイントは

4強とは、フランスのプジョーをはじめ、デンマークのクラッシュ・グラインド、英国のコール&メイソン、日本のIKEDAのこと。

この4強が中心となってさまざまなトレンドが生まれています。今注目すべきポイントは、従来は木製、またはプラスチックやガラス製が主流だったペッパーミルにオールステンレス製が出てきたこと。コンロのすぐそばで使うことが多いペッパーミルは、使っているうちに油汚れでベタベタになってきます。これはどうしようもないことなのですが、決して気持ちのいいものではありません。オールステンレス製はベタベタになりにくく、汚れたら拭けばOK。衛生面では圧倒的に優れています。

2つめのポイントは、ひきの粗さ・細かさを調節できるのが当たり前になってきたこと。一般的なペッパーミルでも5~6段階に調節できるものが増えてきました。なかには30段階以上に調節できるつわものも! スープには溶けやすい細かいものに、肉などに味付けする場合は歯ごたえを感じる粗めのほうがいいですよね。ひき具合を調節できると味や香りの強弱も変えられ、料理がぐんとおいしくなります。

3つめのポイントは、セラミックの刃が進化したこと。セラミック製は包丁などでも定番になりつつありますが、包丁の場合、切れ味はいまひとつだったり刃が欠けやすいこともあり、あまりお薦めしませんでした。しかし、ペッパーミルに付けられているセラミックの刃は予想をはるかに上回る秀逸なものが出てきました。これには驚きました。

そして最後のポイントは、一時期、ウサギの耳を模したデザインやワンハンドルタイプなど、自由なデザインのものが次々と登場したことがあったのですが、現在はウサギの耳タイプはあまり見かけなくなり、デザインが3種類に集約されてきました。容器上部をクルクル回す定番のデザイン、グラインダーのようにハンドルが付いているタイプ、そして、片手で押すだけのシャープペンのようなデザインのものです。

デザイン、機能、刃(歯)、そしてひき方、それぞれに個性を発揮しているのが4強。それぞれの特徴を紹介していきましょう。

伝統的なひきの構造が進化した「プジョー」

ペッパーミルの元祖、プジョーといえば、「二重らせん構造」がよく知られています。らせん形の歯が二重構造になっていて、上部を回すことでコショウの粒が歯に挟み込まれて下部に誘導され、固定されて砕かれていく仕組み。コショウの粒がらせん形の歯を2回通ることで、粒が中心に集約され砕かれていくので、粒一つひとつの大きさにばらつきが少なく均等に落ちていくのがプジョーの技術力の高さなんです。2回砕かれるのに、ひき心地は軽くて一度にたくさんひけるところが、プジョーの人気の理由のひとつでもあります。

デザインの豊富さもプジョーならでは。ラインアップは多すぎて飯田屋でもすべてはそろえられないほどですが、さらにオールステンレス製が新たに仲間入り。これはとにかく「かっこいい」の一言に尽きます。

コショウの粗さ調節部分も使いやすくなりました。以前は上のネジ部分の締め具合で調節していましたが、新製品は本体下部に目盛りがあり、目盛りに合わせるだけで6段階に調節が可能になりました。

芯棒なしの「クラッシュ・グラインド」

デンマークのメーカー、クラッシュ・グラインドは、もともと「ル・クルーゼ」などの料理道具メーカーのOEMとしてペッパーミルを手がけていた会社です。一番の特徴は刃がセラミックだというところ。セラミックは焼き物なので、焼き上がりを想定して成形しても同じクオリティーで作るのはとても難しいんです。例えば、成形が少しでもくずれると気泡が入って変形したり欠けやすくなります。クラッシュ・グラインドのセラミック刃はらせん形なのですが、品質のばらつきがまるでないのです。

通常、ペッパーミルの刃(歯)は鋳鉄やステンレスです。これらは砕き加減、切れ味はいいのですが、さびやすく、金属臭が付きます。さらに金属はひくときに摩擦熱が発生してしまいます。コショウは食欲をそそる香りが大切なのですが、熱を加えると香りは逃げてしまいます。だから摩擦熱を生じにくいセラミック刃は最も適していることになります。

そして、ほかのメーカーとは異なる特徴がもうひとつ、内側に芯棒がないタイプがあること。これでコショウの粒をこぼすことなくスムーズに入れられます。さらに、刃にかぶせるふたの部分がチャネル式になっていて、なんと30段階以上の調節ができます。

粒を切り刻むスタイルの「コール&メイソン」

コール&メイソンは、1919年創業の英国のメーカー。プジョーと同じように6段階調節ができます。一番驚いたのは、刃に永久保証が付いていること。コショウの粒が思い通りに細かくならなくなったらメーカーに送れば新しいものを代わりに送ってくれるのだそうです。日本での代理店はフィスラージャパンが行っているのですが、この懐の深さに脱帽です。

通常、ペッパーミルは「砕く」「すりつぶす」のが基本です。なぜなら、臼の原理を応用したものだから。しかし、コール&メイソンのペッパーミルは、「切り刻む」ようになっているんです。切り刻むのはこのメーカーだけ。切り刻むと、香りの立ち方がより鮮明になり、ひいたコショウ粒がとてもキレイなんです。さらに砕いたり、すりつぶすのは力がある程度必要ですが、切るのであれば、刃が鋭利であればあるだけ力は必要なくなります。コール&メイソンの刃はスチールでとても鋭利なため、ひき心地が驚くほど軽いのが特徴。

デザインもシンプルでいいですよね。男性にとても人気があります。また、容器がクリアなので中身の減り具合が簡単に確認できるのもうれしい心遣い。

細かさに定評、プロ御用達の「IKEDA」

プロ御用達のペッパーミルといえば、IKEDAです。ほかのメーカーのように特化した機能があるわけではないのですが、このメーカー一筋で10年以上も使用しているというプロが非常に多いんです。

デザインはとてもクラシカル。刃は鋳鉄を使用しています。特徴は、内部のグラインダーが2段重ねのらせん形になっていて、さらにリング側も2段重ね。合計4段のらせん構造になっているところ。コショウ粒を4回にわたってひくことでとても細かく仕上がり、定評があります。調節は上部のネジで行います。また、ひき心地が軽く、1回で大量に出ることから1日のうちに何百回と使用するプロに愛用されているのだと思います。

シャープペン方式でおしゃれな「EBM」

4強とは別に、卓上に置きたいペッパーミルとして人気があるのがこちら。1回分くらいの量しか入らないのですが、片手でシャープペンを使うように上部をノックするとひかれたコショウが出る仕組み。コンパクトサイズでデザインもおしゃれですよね。これは焼肉店でよく使われています。ただし、調節できないのが弱点。食事中に気軽に使うにはピッタリだと思います。

徹底検証! 細かさ、粗さ比較の結果は?

ではさっそく、4強プラスEBMのなかからデザイン、機能の異なる6つのペッパーミルを比較します。

写真左からクラッシュ・グラインド「コペンハーゲン」、「カラ ステンレススチール スパイスグラインダー」、IKEDA「クリスタルウッド 胡椒挽き 6701」、プジョー「パリ ユーセレクト ステンレス」、コール&メイソン「ケズウィック ペッパーミル」、EBM 「ミノ シャープ ミル ワンハンドペパーミル」がテストしたペッパーミルです。

1. ひき心地の軽さ
2. 1回でどれだけの量が出るか
3. 最も細かい調節の場合
4. 最も粗い調節の場合

以上の4項目で比較してみました。

圧倒的な軽い引き心地はコール&メイソン

結果は意外なものになりました。まず、ひき心地は、コール&メイソンのケズウィックが圧倒的。予想をはるかに上回る軽さでした。やはり、砕くよりもカットするほうが軽い感触なのだということがはっきりしました。意外だったのは、セラミック刃を使用しているクラッシュ・グラインド。セラミックで砕くのは重く、手首の力が弱い人だと疲れてしまうかもしれません。また、シャープペンスタイルのEBM のミノ シャープ ミルは軽くノックするだけで適量が出てきたのも実は意外な結果。これは卓上用として十分に使えます。

◎1回で大量にひけるのは?

次に1回にどれだけの量が出るかを比較。これはクラッシュ・グラインドのコペンハーゲンの圧勝。ハンドル式なので手首をひねる必要がなく、ぐるりと1回転できるのはラクですね。

1位:クラッシュ・グラインド コペンハーゲン
2位:クラッシュ・グラインド カラ
3位:プジョー パリ ユーセレクト
4位:IKEDA クリスタルウッド
5位:コール&メイソン ケズウィック
6位:EBM  ミノ シャープ ミル

◎パウダー状の細かさにびっくり

最も細かい調節にしてどれくらいの差があるかを比べてみると、面白い結果になりました。パウダーに近い細かさにひけたのはクラッシュ・グラインドのコペンハーゲン。ひいている途中からその均一な細かさに「美しい」とつぶやいてしまったほどです。やはり30段階以上に調節できる繊細さはとびぬけています。一方で意外と普通だったのがプジョーのパリ ユーセレクトでした。そして、コール&メイソンのケズウィックは、少し細かさにばらつきが出ました。また、EBM  ミノ シャープ ミルは調節はできないのですが、どちらかというと細かくひかれるようです。

1位:クラッシュ・グラインド コペンハーゲン
2位:クラッシュ・グラインド カラ
3位:プジョー パリ ユーセレクト
4位:IKEDA クリスタルウッド
5位:コール&メイソン ケズウィック
6位:EBM  ミノ シャープ ミル

◎半分にカット?粗さに格段の差が出た

最も粗い設定にしてひいてみたところ、コペンハーゲンは粒をほぼ2分の1にカットしたくらいの大きさで出てきました。そして、プジョーは粗めのほうが得意ということも判明。IKEDAのクリスタルウッドは4段階のらせん構造のため、最も粗い設定にしても粗いままでは出てこないようです。均一にひくための独自の構造が逆にデメリットになってしまったようです。

1位:クラッシュ・グラインド コペンハーゲン
2位:クラッシュ・グラインド カラ
2位:プジョー パリ ユーセレクト
4位:コール&メイソン ケズウィック
5位:IKEDA クリスタルウッド

[注]EBMのミノ シャープ ミルは無調節のため、粗め比較はしませんでした

ひき心地の軽さで言うと、コール&メイソンのケズウィックが圧倒的でした。粒の細かさ、粗さで明確に調節ができたのは、クラッシュ・グラインドのコペンハーゲンとカラ。この差は見事ですね。ただし、クラッシュ・グラインドはセラミック刃のため、ひき心地は重く、力が必要なところが弱点でしょうか。すべての項目で平均点をとり、安定した機能を見せたのはプジョーでした。

香りについては、瞬時に香るのは、粒を切り刻む構造を持つ、コール&メイソンのケズウィック。しかし香りは長続きしませんでした。一方、砕く構造を持つプジョーやクラッシュ・グラインド、IKEDAは香りが長く持続しました。さらにセラミック刃を使用しているクラッシュ・グラインドは香りがよりフレッシュに感じたのが面白いですね。これは金属臭を含まないからだと思います。香りを楽しむなら、砕く構造のものがお薦めです。

例えば、安定して長く使いたいのならプジョー。料理によってコショウの粗さを調節したいのならクラッシュ・グラインド、作業中の負担を軽くしたいのならコール&メイソンがいいでしょう。目的に合わせて選べば、料理がぐんとおいしくなりますよ。(談)

(ライター 広瀬敬代)

[日経トレンディネット 2017年5月24日付の記事を再構成]

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