年代別・あなたの「女性ホルモン力」判定と不調対策
美しさと健康をサポートする働きを持つ一方、不快な症状ももたらす「女性ホルモン」。ホルモン力をチェックし、うまく付き合う方法を知りましょう。
物忘れやイライラも女性ホルモンのせい?
「ストレスが原因で、女性ホルモンのバランスが乱れて不調を抱える女性が増えています」と、東京歯科大学市川総合病院産婦人科准教授の小川真里子さん。
女性ホルモンの役目は、生理周期をつくり、妊娠・出産に備えるだけではない。
「女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの受容体は全身にあり、自律神経の安定、骨や血管、脳の健康、美肌にも関わっています」。そのため女性ホルモンのバランスが乱れると、さまざまな不調が起こる。「生理不順をはじめ、肩こり、疲労感、うつ、物忘れ……。みんな女性ホルモンの"裏の顔"です」
PMSも「ストレスが強いほど、深刻になる傾向があります」。まずは年齢別にホルモン力をチェックしてみよう。
【世代別 女性ホルモン力検定】
【20代】生理痛、周期の乱れ…女性ホルモンが乱れてる?
女性ホルモンをこうして味方につける!
「20代の冷えの原因として、熱量が足りていない人が多い」。手っ取り早く熱量を上げられるのが、炭水化物を取ることだ。「ダイエットのために炭水化物を抜くのはNG。3食ごとにご飯茶碗1杯程度の炭水化物を取ってみて。血糖値が安定します」
職場で困った!ときのセルフケア対策
・生理痛がつらい → 痛みは我慢せずに市販の鎮痛剤を服用して。夏場はエアコンで体が冷え、痛みもひどくなりやすいので、お腹周りに毛布をかけて温めよう。
・ニキビができて、化粧ノリが悪い → 肌トラブルが起きたときは、油分の多いファンデは避けて、顔全体にパウダーをはたいてポイントメイク程度に。家では「化粧水+乳液」程度のシンプルケアを。
・仕事に自信が持てずクヨクヨ → 生理前にクヨクヨしたり気分が落ち込んだりするのはPMSのせい。自分の生理周期を知って、生理前には仕事で大事な予定は入れないように調整しよう。
【30代】イライラ、体の不調、これってPMS?
女性ホルモンをこうして味方につける!
生理の1週間ほど前から決まって現れる不調は、PMSの可能性が高い。「むくみ、便秘、ニキビ、眠気、イライラなど、症状には個人差がある。それがPMSだと把握しておけば、対処できます。心構えをするだけでも気持ちがラクになります」
職場で困った!ときのセルフケア対策
・イヤな上司にイライラ → ストレス解消につい甘いモノを口にしがちでは? 「糖分は血糖値を乱高下させて、イライラを招きます。生理直前は甘いモノは断つ習慣を」
・太った気がする → 生理前の体重増加はPMSによるむくみが原因。「すぐ元に戻る」と割り切ってやり過ごそう。「肌も敏感に傾きがち。締めつけ感のないラクな服を心がけて」
・肩こりがひどい → 肩こりはストレスや緊張で筋肉が固くなり、血行が悪くなっていることが原因。仕事中も1時間に1回は肩を回したり、腕を上げたりなどのストレッチを。
【40代】「調子がイマイチ」な日が増えてきた…
女性ホルモンをこうして味方につける!
「仕事、家事、子育て、介護も、すべてを完璧にやろうとする"スーパーウーマン症候群"の女性が増えています。頑張りすぎないで、人に頼ったりしながら、意識して休息の時間を取るように心がけましょう」
職場で困った!ときのセルフケア対策
・頭痛がひどい → エストロゲンが減少する影響で、生理前に片頭痛が起きやすい。こめかみなど痛む部分を水でぬらしたハンカチで冷やして。マッサージや温めることは逆効果。
・貧血でフラフラ → エストロゲンの減少に伴い、実は生理周期が約3日、多い人で1週間短くなる。そのため、レバーや豆類などの食品やサプリで意識して鉄分を補給して。
・物忘れが多く、仕事の約束を忘れた! → 「エストロゲンが認知機能に関わるため、物忘れも女性ホルモン減少に伴って起こりやすい症状のひとつ」。仕事の予定は1冊の手帳やノートに集約するなど工夫を。
この人に聞きました
東京歯科大学市川総合病院 産婦人科准教授。福島県立医科大学卒業。慶応義塾大学産婦人科等を経て現職。日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医、日本女性心身医学会認定医師。同病院産婦人科内に更年期外来も設ける。
(ライター 海老根祐子)
[日経ウーマン 2017年6月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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