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株主優待、本当の得は? メジャーな「新顔」チェック

2017/6/6 日本経済新聞 夕刊

JRグループ「お得度」ナンバーワンのJR九州

 株主優待の新設は2014年度から3年連続で100社を超え、17年度も1カ月半で14件と着実に増えている。人気ラーメン店の割引や、JR九州の鉄道・ホテルの割引券などが続々登場。使い方次第では、必要な投資額に比べて高い利回りが期待できる例もある。真にお得な株主優待を探ってみた。

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■「新設」を上回る「拡充」の企業数

 株式公開企業を見渡すと、3年連続で100社以上が株主優待を新設している。ブームといわれ始めてから数年が経過した今でも、優待実施企業の増加ペースは落ちる気配がない。優待銘柄の選択肢は、数年前からは想像できないほど広がった。

 特に注目すべきは、メジャーな店を運営しながら、株式を公開したのはつい最近という、有名企業の新設優待の内容だ。例えば、誰にも親しみやすい外食産業の優待では、コメダホールディングスやスシローグローバルホールディングスといった“メジャーな新顔”が昨年以降、多数登場している。

「一風堂」「五行」などで使える10%割引カ ードがもらえる。10人までのグループでも使え回数制限はない

 そのなかでもお得度で注目なのが、「一風堂」などを運営する力の源ホールディングス。ラーメンなどの飲食が何度でも1割引きになる、とてもお得な内容だ。家族など同伴者も割引になるため、仮に年に総計300杯食べたとすると、必要な投資金額から概算して利回りは10%に迫るかもしれない。不可能な数字とばかりはいえないだろう。

 JRグループで4番目の上場となったJR九州にも注目だ。鉄道料金の割引に加えてホテルなどの割引券がもらえるのは他のJR各社と似ているが、割引券の枚数は最多だ。投資金額が比較的安いこともあり、実質的なお得度で見ればJR系で圧倒的なナンバーワンだ。

 新設だけでなく、既存の優待の金額や使用範囲などを拡充する企業も続出している。16年度に優待を拡充した企業は128社で、実は新設数を上回る。ここ数年、毎年優待を拡充しているヤマウラのような企業もあるほどだ。

ガストやバーミヤン、ジョナサン、夢庵などで使える食事券3000円分が年2回、計6000円もらえる
ヤマウラの優待は長野県の食品を中心とした地場商品群をカタログから選べる。商品の種類と金額は2年連続で拡充した

 優待金額のアップ率で関係者を驚かせたのはすかいらーく。同社は昨年まで、100株で年間2000円分の優待食事券を提供していたが、他の飲食系の定番優待に比べると利回りが見劣りしていた。しかし、優待金額を3倍にする拡充策を2月に発表し、一気に優待内容でトップクラスに躍り出た。

 漫画専門の古書店を運営するまんだらけは、これまで自社のオリジナル雑誌を優待として提供していたが、興味がない人には価値が薄かった。そこで同社は、16年5月に2000円分の買い物券を優待に追加。汎用性が高まっている。

 最近のトレンドとして、全員に一律で同じモノを送るのではない、新型の優待が増えている。特に目立つのは「保有期間1年以上」といった基準を満たさないと優待がもらえないなどの「長期保有優遇」タイプだ。優待実施企業のうち2割以上が取り入れている。また、株主の一部に豪華な優待が当たる「抽選制」を導入する企業もある。

 新型の優待が生まれる背景には、「通常の優待は株主が増え過ぎるとコストが負担になる」(SBI証券の藤本誠之氏)という会社側の事情もある。

 長期保有や当選しないと優待をもらえないのは、投資家にとってデメリットだ。しかし、長期保有優遇型の一部は、保有期間の条件さえ満たせば通常より高利回りになる。抽選制でも、その優待がいらない株主は応募しないため、当選確率が意外に高いケースもある。

■次の狙い目はポイント制

 今後の注目は「ポイント制優待」。ダイコク電機やインターネットを活用する旅行会社のエボラブルアジアなど、オンラインのカタログギフトのような優待を導入する企業が増えつつあるのだ。実はこれらの企業はすべて、ウィルズ(東京・港)の「プレミアム優待倶楽部」という同じシステムを利用。2~3年分のポイントを合算してより高額な商品を狙えるなどのメリットがあるほか、異なる企業のポイントを合算して使えるという画期的な仕組みも17年中に導入される。プレミアム優待倶楽部の導入企業は、年内に約20社まで増える見込みだ。今のうちに対応企業に先行投資しておくのも面白いだろう。

(発売中の「日経トレンディ」7月号から再構成)

[日本経済新聞夕刊2017年6月3日付]

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