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ドルコスト平均法 高値づかみせず平均単価も低めに

2017/6/10

 投資初心者を中心に有力な資産運用の方法として知られる「ドルコスト平均法」。さまざまな利点がありますが、もちろん万能というわけではありません。特徴や効果を正しく理解しましょう。

 ドルコスト平均法は、定額積み立てとも呼ばれます。「毎月の給料日に1万円ずつ」といった具合に、投資信託などを定期的に一定の金額ずつ購入します。

 証券会社などがサービスを提供する投信積み立ては、ドルコスト平均法を用いています。銘柄と日にち、金額を設定しておけば、金融機関が自動的に買い付けてくれます。

 「初心者が最初の一歩を踏み出すのに向いている」と投資教育家の岡本和久I-Oウェルス・アドバイザーズ社長は言います。プロでさえ判断が難しい購入のタイミングや金額を考えずに済みます。

 他の積み立て法に勝る点もあります。購入金額を一定とするため、価格が安いときには多くの量を、高いときには少ない量を買うことになり、結果的に平均購入価格を低めに抑える効果があります。

 当初の基準価格が1口1000円の投信で考えてみます。月1万円ずつ買うとすると、当初月の購入量は10口です。翌月、価格が500円に下がれば購入量は20口に倍増します。2カ月で2万円を投じて手に入れた量は30口。平均購入価格は666円です。

 金額ではなく量を決めて買う「定量積み立て」だとどうなるでしょう。購入量を月10口(当初月の投資額を1万円と等しくなるよう設定)とすると、翌月の投資額は5000円(基準価格500円×10口)です。2カ月で1万5000円を投じて保有量は20口ですから、平均購入価格は750円。定額積み立てのドルコスト平均法に劣ります。

 この例に限らず、平均購入価格は定額の方が定量よりも低く抑えられます。「小口の資金で投資を始められる」「時間分散をすることで損失リスクを軽減できる」といった積み立て自体のメリットとともに覚えておきましょう。

 定量購入より有利なドルコストですが、他の投資法と比べていつも有利だとは限りません。値動きのパターンにより平均購入価格は大きく変わるからです。図のaは一本調子に上がり続けたケースです。月1万円ずつ購入した場合の平均価格は1190円。これなら最初に価格1000円で、一括して5万円分買った方が結果的に有利です。

 b、cは初めと終わりの価格が同一で、途中の動き方が異なります。平均購入価格はbが974円、cが750円です。後者の方が低いのは、下落局面の谷が深く、その間に安値で多くの口数を仕込めたことなどが理由です。

 投信積み立てでは、途中で価格がいくら高くなろうが利益確定の売りは出さず、どれだけ安くなろうが買い増しはしません。機械的な方法であるがゆえに、収益を増やせる機会を逸している可能性がある点は留意しましょう。

 最終的な成果は将来、積み立てを終える時の価格で決まります。若いうちに始めるにしても、長期で金融市場や相場をよく見て学び、ときには投資額を調整するといった工夫も大切になりそうです。

[日本経済新聞朝刊2017年6月3日付]

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