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リーダーは個性を生かす 西水美恵子&小林りん対談

社会を変える力 体験に基づくビジョンが重要

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NIKKEI STYLE

世界銀行の副総裁として途上国の貧困解消に尽力してきた西水美恵子さんと、日本初の全寮制インターナショナルスクールをつくった小林りんさん。社会を変えるリーダー育成に取り組む2人に、今求められるリーダーシップについて聞いた。(本文敬称略)

 ◇   ◇   ◇

日本初の全寮制インターナショナルスクールを開校 小林りんさん

――次世代リーダー育成に取り組むきっかけは。

小林 大学で開発経済を学び、外資系金融などを経て32歳でユニセフの職員としてフィリピンに赴任した。貧困層教育を担当したが、大きすぎる貧富の差や、まん延する汚職を前に社会を変えるリーダーの育成が必要だと強く思った。その後6年かけてリーダー育成のための学校の設立準備にあたり、2014年に全寮制高校「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」を開校した。7割が海外からの生徒。富裕層でなくても学べるよう返済不要の奨学金制度も整えた。

西水 世銀時代、いろいろな国で仕事をする中で、どんなリーダーが国を率いるかで未来が大きく変わると実感した。03年に退職後は、様々な国の官民リーダーのメンターを務めている。組織に変革をもたらそうとする人には「情熱だけでは物事は動かないので、賢くやりなさい」と助言する。会社を変えたいなら社長や部長を巻き込むなど「地ならし」に99%の力を使うべきだ。行動は最後の1%でいい。

小林 同感だ。学校をゼロからつくるにあたって感じたのは、対立の構図からは何も生まれないということ。多くの人を巻き込み一緒にやっていく努力が重要だと思う。

経済学者から世界銀行へ転身 西水美恵子さん

――リーダーシップをどう磨いてきましたか。

西水 例えば日本は管理職になりたがらない女性が多いと聞くが、私も同じだった。世銀でエコノミストをしていた30代後半の頃、管理職が転職で不在になった部署の部員たちから「僕たちのボスになってほしい」と頼まれた。上司や夫に背を押され、彼らのために腹を割って取り組もうと決めた。信頼に基づく人間関係をベースに、部下が仕事しやすい環境をつくりながら、ボスとしての価値を提供することを心がけた。マネジメントとは人の上に立つことではなく、部下に上手に率いてもらうことだと知った。

小林 私もリーダーを目指していたわけではない。やりたいことを実現するプロセスで、自分の弱みや不得意なことを素直に表明すると、周りの人たちが教え、助けてくれた。その結果、今がある。女性のほうが弱みをさらけ出しやすいのではと感じることもある。

西水 そこに男女の差があるのかは疑問だ。本気の情熱と理性を持って動けば、女性でも男性でも信頼を得られるし道は開ける。優れたリーダーは自分が熟知していることと知らないこと、得意なことと不得意なことをシビアに見つめ、あくまで謙虚だ。その姿勢が組織に伝わることで、強いチームができる。

小林 明確なビジョンを掲げることも重要。人は心を突き動かされるものがないとついてこない。頭の中で構築したものでなく、原体験に基づいていることが大切だ。私の原体験はカナダで過ごした高校時代。夏休みにメキシコ人の同級生の実家に遊びに行くと、家は狭いバラック小屋で、ドラム缶に雨水をためて洗濯をしていた。彼女は自らを「ミドルクラスよ」と話す。衝撃を受けた。そのとき訪れた貧困地区の臭いや熱気は忘れられない。日本で育った自分がいかに恵まれているのかに気づき、「世界のために何ができるか」と使命感が芽生えた。

西水 原体験は非常に重要だ。世銀の南アジア地域担当局長だったとき、ヒマラヤの貧しい村に2週間滞在し、視点がガラリと変わった。その後部下にも貧村でホームステイをさせると、心や視点が変わり、やがて組織も変わった。

小林 何がその人の心を動かすかは分からない。ISAKは2週間授業を休み、生徒がやりたいことを探して挑戦する「プロジェクトウイーク」を設けている。様々な経験をすることで、情熱を感じられることに出合ってほしい。

――次世代のリーダーに求められる資質とは。

西水 真の意味で多様性を受け入れることができるリーダーが求められている。自分にはない価値観を尊重し、それぞれが持つ文化や専門性を受け入れ、本気ですごいと思えること。見えないものを見る努力、聞こえない声を聞く努力をできる人が、リーダーシップを発揮できる。

小林 日本でダイバーシティというとジェンダーや国籍と捉えられがちだがそれだけではない。十人十色の個性や多様性を生かすことが、リーダーの役割だ。自分と違う意見に耳を傾け、その背景にあるものに思いをはせること。相手を思いやる力が必要だ。

 ◇   ◇   ◇

少数者の声を聞く~取材を終えて~

経済学者だった西水美恵子さんに世界銀行への転身を決意させたのは、エジプトの貧民街でのナディアという少女との出会いだ。下痢からくる脱水症状で衰弱しきった少女は、西水さんの腕の中で息を引き取った。貧富の差や国民の苦しみを放置する悪統治へのやり場のない思いが胸を突き、貧困のない世界をつくる仕事をしようと決めた。「真のリーダーは、頭とハートと行動がつながっている」(西水さん)。その在り方は情熱をもってビジョンを語り、自ら行動することで周囲を動かしてきた西水さん、小林りんさんに重なる。

これからのリーダーに必要なのは、謙虚さと思いやりだと2人は言う。ポピュリズムの台頭や相次ぐテロなど、世界秩序が揺らぐ時代。だからこそ、埋もれがちな少数者の声を聞き、異なる立場や価値観を包みこみながら新ビジョンを示せるリーダーが必要だ。

(女性面編集長 佐藤珠希)

[日本経済新聞朝刊2017年6月5日付]

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