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鍛えるも見るもIT ゴーグルすれば対戦投手の剛速球 イメトレ進化、観客は選手の緊張を共有

2017/6/8 日本経済新聞 朝刊

DeNAは米大リーグの複数球団が使う打撃練習用のVR機器を今季導入した
 2020年までに、IT(情報技術)がスポーツの現場を大きく変えるかもしれない。選手が本番をシミュレーションできるような練習を可能にし、観客は選手の心の内まで感じられる。会場に行けなくても、現場の息づかいまで聞こえるような臨場感を体験できそうだ。

 仮想現実(VR)がジワジワとスポーツの世界で“主役”に躍り出ている。スポーツの試合を仮想空間に再現すると、見る人は自分がプレーしている感覚を味わえ、アスリートは本番を想定した練習ができる。海外ではVRによる試合中継もスタート、VRで鍛えた選手をVRで観戦する時代が到来している。

■仮想現実で試合前に「対戦」

 プレーボールの前。黒いゴーグルで目を覆った打者がスイングの動作を繰り返す。プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地、コボスタ宮城(仙台市)で昨季から恒例になった光景だ。選手に見えるのは、その日の対戦投手の立体映像だ。150キロの速球が迫る様子や、目の前で落ちるフォークを自由に体感できる。選手が左打席に移動すれば、左打ちを試すことも可能。ホームベースの後ろでしゃがめば、捕手の目線で見ることもできる。

 楽天とNTTデータが共同開発したVR機器は、各球団の投手の映像に球種やスピードなどのデータを加えて投球を再現する。今江年晶内野手は「バッティングの構えやタイミングの取り方を修正できる」と喜ぶ。今季のチーム打率はパ・リーグ1位の2割7分7厘(6日現在)だ。

 横浜DeNAベイスターズも今季、米大リーグ球団が使うVRの打撃機器を導入した。東京五輪の日本代表「侍ジャパン」も、対戦未経験の海外の投手と事前に“対戦”できるようになるかもしれない。

STRIVR Labsの機器はアメフトやサッカーなど30チームが利用している(同社提供)

 海の向こうでの活用は既に盛んだ。VRを使ったトレーニング環境を提供する米企業STRIVR Labsは、アメリカンフットボールのクオーターバックがパスを投げる練習で実績がある。うまくなるには反復練習が大事だが、選手同士の衝突を伴う実戦練習は故障の危険もあり、こなせる回数も限られる。その点、仮想現実は大丈夫。同社によると、バスケットボールやサッカー、アイスホッケー、スキーなど計30チームも利用している。

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