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弁当の要素分析 必須は「ご飯と複数のおかず」「蓋」

立川談笑

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NIKKEI STYLE

テーマは「お弁当」。弟子2人のエッセイを受けての登場になります。責任者の立川談笑です。ここでお送りするのは落語家のマクラ話。どうぞ気軽にお付き合いください。

ざっくりと「弁当」といったらどんなイメージがありますか。まずは最低限、「持って出かけて、外出先でとる食事」ですよね。ポータブルな食べ物。で、今回、ふと思ったのです。「明日あさってとお弁当だから」なんて気軽に使っていますが、実は意外に範囲が狭い言葉なのではないか、と。例えばおにぎりだけで「弁当」と呼ぶのは、なんだかもの足りない感じがしませんか。

部下「今日は弁当を持ってきました」

上司「おやっ、どんな弁当なんだ?」

部下「はい、コンビニで買ったこの1個。ツナマヨおにぎり!」

上司「それは弁当とは言わないだろう!」

なんてやりとり、ありそうですね。おにぎりだって立派な携帯食なのに。人によってはそれで十分おなか一杯だったりするのに。なぜかおにぎり単独では「弁当」未満な気がします。部下は「弁当」という言葉を広い意味で「持参する食事」「自分でお昼を持ってくる」程度で使いました。では、もうひとつの狭い方。上司の思い浮かべる「弁当」とは何を意味するのでしょう。

そこでの「弁当」は、ポータブルランチとしての機能以外に、何か別のイメージをまとっていると考えられます。今回は「弁当」らしいとして私たちが認識するための要素はいったい何なのかを探ってみます。

弁当と非弁当との境界線を探るべく、コンビニエンスストアのお弁当コーナーの前に立ちました。目の前にずらりと並ぶのはすべてテークアウト仕様の食べ物です。先ほどの上司と同じ、確固たる弁当目線でひとつずつ厳しくチェックしていきます。

よーし、おれが弁当刑事だ。全員、そこを動くな。弁当と感じるかどうか取り調べるからな。どれどれ。唐揚げ弁当。ハンバーグ弁当。牛丼。よし、みんな弁当だ。ふわとろオムライスだと。う、うん……弁当だ。チキンドリア。ああ、ちょっと苦しいが、弁当だ。肉入り焼きそば、お好み焼き。ちょっと待て。4種のチーズのカルボナーラ。ペンネアラビアータ。ハムとレタスのシャキシャキサンドイッチ。待て、待て。待てーい! はあ、はあ。

実地調査の結果、なんとなく見えてきました。まずサンドイッチなどのパン類や、パスタ、焼きそばなど麺類は弁当のイメージから遠い気がします。米の有無か? いや、米だらけのおにぎりですら弁当感から離れているのです。

そして、パッケージにもカギがありそうです。サンドイッチ、おにぎり、調理パンなど袋物は最初から弁当っぽさを感じません。また容器には入っていても、パスタ類などのお皿に近いものはずいぶん弁当っぽくない。弁当箱ってくらいだから箱っぽい深さがイメージ的に欲しいのかもしれません。うーん、なんだかモヤモヤするなあ。

 らちが明かないのでここでいったんコンビニを離れて、別の角度からアプローチします。少々おおげさですが、弁当にまつわる歴史を振り返りましょう。

「弁当」とは、通説としてはそもそも容器自体を指す言葉だったといわれています。「面樋(めんつう)」が転化して「べんとう」になったと。想像するに秋田名物の曲げわっぱみたいなものでしょうか。弁当箱っぽくはあるけど、いまひとつピンときません。

私たちにとって身近になってくるのは、江戸時代の幕の内弁当から。芝居小屋あるいは相撲での需要が主だったようです。料理屋から仕出し弁当として何十人分も運ぶのですから、重ねられるように、しっかりした箱でしかも蓋があります。そして昭和になると、その幕の内弁当の進化形ともいえそうな、十字の仕切りが付いた松花堂弁当。どちらも数種類のおかずと、かならずご飯が入っています。もちろんこれらは豪華なお弁当の話で、庶民の普段使いの弁当も一方ではきっと「面樋」から脈々と伝わっていて、先週、吉笑が書いた日の丸弁当はそっちの流れになるのでしょう。

こちらは幕の内弁当の系譜を追いかけます。鉄道の発達とともに姿をあらわしたのが、駅弁です。駅弁として幕の内弁当が各地で売り出され、広く一般に浸透しました。遠くまで移動する車内で食事をすることから、容器の回収をしないで済む経木の箱が普及することになったというのも駅弁ならではの展開です。経木の蓋の裏についた米粒を丁寧に食べる、ってのはここからなのですね。ああ、こんな話をしてると、横浜名物「崎陽軒のシウマイ弁当」が食べたくなりますなあ。シューマイじゃなくて、シウマイ。

この一連の幕の内弁当の歴史の中で共通するのは、「ご飯と複数のおかず」「蓋つきの箱」です。つまり、この2つの要素が近年の「弁当」のイメージをけん引してきた。そして、そのイメージが今に至ってもなお、私たちの中に残っているのではないか。さきほどのコンビニの棚を思い返して検証してみます。うん。そうそう、そうだそうだ!

今回は「弁当」のイメージの要素を抽出してみました。簡略化すると「おかずをいくつか添えて、蓋をしたもの」。ここに私たちは弁当っぽさを感じるのだ。ということは、逆にその要素を盛ることによって、これまで弁当に至らなかったものを弁当化させることができるはずです。実験してみます。想像してみてください。サンドイッチに、唐揚げとウインナーとミニトマトを添えて、紙箱に収める。「サンドイッチ弁当」。おお、できた! 同じ要領で、「おにぎり弁当」! 箱に詰めておかずを添えれば、「やきそばパン弁当」! わはは。できるじゃないか。

よーし。こうなったら、もっと極端な例。こんなのどうですか。ぱあっと蓋を開けると、箱の中にボルトやナットがぎっしり詰まっていて隅っこに赤や緑のビニール線が丸まってる。「おやおや。今日は、エンジニア弁当か」って、一瞬なるだろうと。なりませんか? うん。なりませんね。

ほっぺたに米粒をつけている子に向かって、「あらまあ。お弁当つけてどこいくの?」なんて。あのかわいらしいセリフはどの世代まで使うんでしょうね。

 ◇   ◇   ◇

次回のテーマは、「アルバイト」。楽しい話を頼むよッ。

(次回6月11日は立川笑二さんの予定です)

立川談笑
 
1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

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