牛肉やバンズの産地や質、調理法にこだわったグルメバーガー。2015年に火がついて以降、現在も人気は継続中です。今年もハンバーガーの本場・アメリカから人気店が上陸し、その勢いを歴史になぞらえて「黒船バーガー」とも呼ばれています。昨年までは、熟成肉ブームからの肉食女子の増加の波に乗り、牛肉の種類や製法、焼き方などにこだわった店がトレンドでしたが、今年はどんな店が注目されているのでしょうか。
今年話題の店の中から、東京の青山と六本木にオープンした黒船バーガーの2店舗と、日本発の新しいグルメバーガーをチェック。おいしさの秘密についても伺いました。
日本語の「うま味」をトリュフで表現したハンバーガー
黒船バーガーの代表格として上陸前から話題だったのが、ロサンゼルス発の「UMAMI BURGER(ウマミバーガー)」。日本1号店を2017年3月、青山にオープン。日本語の「うま味」に由来する店名は、創業者のアダム・フライシュマンがうま味を最も引き出す調理法を確立してつくり上げたハンバーガーであることから名付けられたそうです。
「“うま味”をキーワードにすべてのバーガーを考案しているので、食材選びはもちろん、一つ一つの食材のうま味を最大限引き出す調理法にもこだわっています」(UMAMI BURGER 青山店 シェフの吉田ナワーフさん)
メニューは店名を冠した「UMAMI BURGER」をはじめ、全部で10種類。その中から今回おすすめしたいのは「TRUFFLE BURGER」です。トリュフアイオリ、ハウストリュフチーズ、トリュフグレイズ、ビーフパティを層にしたぜいたくな味わいのハンバーガーです。使用されているトリュフは黒トリュフと白トリュフ、トリュフ塩などさまざまな形で取り込まれていて、芳醇(ほうじゅん)なトリュフの香りをたっぷり感じることができます。ドリンクには、ワインやウイスキー、カクテルなどアルコールのメニューもバリエーション豊かにラインアップ。
「チーズが分離しやすいので、火加減には気を配っています。ソースもゆるすぎても固すぎてもだめなので、一つ一つの工程が重要です。牛肉を使っているメニューなので赤ワインに合うイメージがありますが、隠し味にシェリー酒を使っているので、意外と重くなくさっぱりしています。冷えた白ワインと一緒に召し上がってみてください」(吉田さん)
バリエーションは100万通り以上! 理想のハンバーガーをカスタマイズ
UMAMI BURGERと同じ3月末に六本木・東京ミッドタウンのガレリアB1にオープンしたのが、こちらもロサンゼルス発祥のハンバーガーレストラン「THE COUNTER(ザ・カウンター)」。その最大の特徴は、自分でカスタマイズした理想のハンバーガーを作れること。オーダーシートの項目は、パティは5種類、チーズは13種類、トッピングは33種類、ソースも21種類から選べて、そのバリエーションは約100万通り以上になるほど。
「当初はカスタムすることに抵抗があるかな?と少々不安視していたのですが、皆さまが世界でたった一つのハンバーガーを作るべく、オーダーシート片手にスマホで調べたり、オーダーシートとにらめっこしたりと楽しんでくださっています」(THE COUNTERのPR担当・河辺由華さん)
迷ったならば、おすすめの組み合わせであらかじめ作られているSIGNATURE BURGERSシリーズの「THE COUNTER BURGER」を。100%アンガスビーフ、プロボローネチーズ、オニオンフライ、レタス、ソテーマッシュルーム、トマトをブリオッシュバンズで挟んだ、ボリューム満点バーガーです。
「最近は、12種類あるSIGNATURE BURGERSシリーズの中からベースを選び、そこに好きな具材を追加で組み合わせてオリジナルのカスタムバーガーを作られる方もいます」(河辺さん)
築地直送の魚で勝負するフィッシュバーガー専門店
次々とグルメバーガーの店舗がオープンするなか、肉ではなく魚介類のみで勝負する異色の店舗が、東京・中目黒の「deli fu cious(デリファシャス)」。メニュー開発の中心となったのは、ミシュラン2つ星に輝くすし店「銀座 青空」など有名店で長年修業したエグゼクティブシェフの工藤慎也さんです。魚を昆布締めにするために数日かけて仕込むなど、すし職人として得た技術を仕込みに取り入れています。
メインとなる魚介類は、すべて築地市場から直送。店の看板メニューである「昆布〆フィッシュバーガー」に使う魚は、季節や日によって変えていて、取材時はサワラでした。バーガーにはジューシーなフィッシュフライとともに太白ごま油でいためたキャベツと刻んだたくあんを挟み、隠し味には和がらしを使用。バンズはバターしょうゆを塗ってから炭火であぶっており、ほかほかふわふわな口当たり。それぞれのおいしさが口のなかで合わさり、食べるのが止まりません。
店内は銭湯をイメージしたデザインで、オーダーを待つ間に渡される番号札が銭湯で使われていたげた箱の木札という遊び心も。
「ハンバーガーを作るのも、手間はすしのときと同じ。『一度手を抜く仕事をしたら、抜き癖がつく』という親方の教えをいつも心において作っています」(工藤さん)
いずれの店舗も終日客足が途絶えない人気ぶりですが、3店舗ともに平日のランチタイムとディナータイムの間の、午後3時から午後5時ごろが比較的並ばずに入店できる狙い目の時間帯だそうです。いずれのメニューもオーダーしてから作り始めるため、時間の余裕を持って訪れるのがおすすめ。こだわりの最新グルメバーガーをじっくり味わってみては。
※価格は特記がない限り税抜きです。
(取材・文 Green Create)