優越感によって生まれる自信。

実はこの感情は、心理学的には「錯覚」だと言われています。優越感とは、実際に優れているから得られる感情ではなく、優越していると錯覚することで得られる感情なのです。そのきっかけが成功であり、上司からの褒め言葉であり、お客様からの喜びの声だったりするわけです。

そうして得られた「錯覚した優越感」とどのように付き合うかが、その後本当にできる人になるか、できそうな人で終わるかを分けるポイントです。

それは、失敗したときに「自責」を感じられるかどうかで決まるのです。

自責とは自分を変えようというきっかけ

常に成功し続けられる人は稀です。ほとんどの人は、成功と失敗を繰り返すことになるのですが、成功した時は誰でも優越感を感じます。そして優越感を持っている状況で失敗すると、そのことについて2種類の感情が生まれます。

第一の感情は、「たまたま失敗した」「〇〇の状況が悪かったから失敗した」などのように、失敗の責任は他にあるという他責の感情です。他責の感情によって、優越感は維持されようとします。

一方、「自分のこの行動がまずかった」「この時に判断が失敗の原因となった」というように自分に責任があるという感情も生まれます。これが第二の、自責の感情です。自責の感情は、優越感を否定し、元の自己評価に戻します。

誰しもが、他責と自責の両方の感情を持っています。そして他責が強すぎる場合と、自責が強すぎる場合、いずれの場合でも人は間違った成長をしてしまいます。

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自責だけだと自分の良い点まで否定してしまう