――ビジネスシーンで、装いへのこだわりについて、日本と海外の違いを感じることはありますか。
「日本はこだわる人がいないのでイメージづくりにしかならないんです。『ワークスの牧野は、こんな格好しているな』と覚えてもらいやすくなる。だから割といつもきちっとした格好をしています」
「ただ海外に行けば、それなりに格好は変えています。西海岸にいるときはジャケットの中はポロシャツにする。西海岸でこの格好だと、めちゃくちゃイメージが悪いんです。『この人とはたぶん話はあわないね』というところから入ってしまうので。とはいっても自分のポリシーもあるからブレザーは外さないけど。英国のロンドンやエジンバラにもよく行きますが、あちらでは私の格好はまったく違和感がないと思います」
■装いは会う人に応じて
――「勝負スーツ」はありますか。
「勝負スーツっていうのはないね(笑)。別にデートするわけじゃないから。でも、その日会う人に応じて、スーツやネクタイを全部選んでいます。きょうは取材だから、あまり他の人が着ないようなスーツにしようと、ピンクのチェックにしました」
「このスーツ好きなんですが、実はヨーロッパには、午前中にお客さんと会うときは『グレーのスーツは失礼にあたる』というルールがあるんです。もともと燕尾服が略式化したものだから、基本は黒や濃紺。だから、本来、グレーのスーツは夜着るものなんですよ」
「(上着の下襟にある穴を指して)これ、なんで穴が開いているか分かります? もともと、これは『フラワーホール』という名前で、花を挿すためにあるんです。もともと、ディレクターズスーツはここに花を挿して着るものです。会社の社章をつけるためじゃないんですよ(笑)」
(聞き手は松本千恵)
前回掲載「仕事はプライベートのため?『だから服装ダメなんだ』」では、スーツにこだわる、そもそもの理由を聞きました。
「リーダーが語る 仕事の装い」は随時掲載です。

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