相続・税金

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生命保険を名義変更すると、贈与税がかかるの? 税理士 内藤 克

2017/6/2

「先生。このたび息子が結婚することになったので、息子にかけていた生命保険契約を私名義から息子名義に変更しようと思っているんです」
「おめでとうございます。今後は息子さん自身が保険料を払っていくということですね」
「そうです。そして受取人もお嫁さんにしてあげたいと思っています」
「それはいいことですね」
「でもこれまでずっと私が保険料を負担してきたわけなので、名義を変更したら贈与税がかかっちゃうんじゃないでしょうか?」
「今はかかりませんが、後でかかってきます」
「??」

 日本では結婚を機に生命保険に加入するケースが多いと思います。また将来に備えて親が子供に保険をかけているケースもよく見かけます。これは子供の死亡によって保険を受け取ろうと考えているのではなく、子供の保険料負担を考え、成人や結婚したら子供に名義変更してあげようという考えで契約するのです。

■保険の種類は3つ

 生命保険契約の種類は大きく3つに分かれます。保険の記事ではもっと細かく分類していると思いますが、相続の観点からは「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3種類だと思っていただいて構いません。

 このうち定期保険はいわゆる「掛け捨て保険」なので、解約返戻金(へんれいきん)はありません。毎年の保障(保険金)を毎年買っている(保険料)形なので、今まで親がどんなにたくさん保険料を払っていたからといって、名義変更後の子供の保険料負担がその分減るわけではありません。

 養老保険は貯蓄型の生命保険で、満期まで継続すると基本的には死亡保険金と同額の保険金を受け取れるものです。マイナス金利で運用難とはいえ、仕組み上は貯蓄性があるため、万一のために大きな保障がほしい場合は高い保険料を払うことになってしまいます。保険期間の途中で解約した場合は、その加入期間に応じて解約返戻金を受け取ることができます。

 終身保険は死亡時に契約が終了する保険です。定期保険や養老保険と異なり、一定の保険期間がないため更新する必要がありません。また途中で解約した場合は、その加入期間に応じて解約返戻金を受け取ることができます。

■保険にかかる税金も3つ

 一方、生命保険の保険金を受け取ったときにかかる税金は「相続税」「所得税」「贈与税」と、こちらも3種類あります。

 生命保険の多くは死亡時に受け取ることから、保険にかかる税金といえば相続税というイメージがありますが、契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人の組み合わせからいえば表のように、所得税や贈与税がかかる場合もあるのです。「誰が払って誰が受け取るのか」を考えると「誰から誰へ財産がシフトしたか」がわかります。

 ここでいう保険料の負担者とは実際に保険料を支払った人です。通常、保険料は生命保険契約者の口座から引き落としますが、引き落とし口座を契約者以外の人にしている場合はその人が保険料の負担者に該当します(こういうパターンは最近はあまり見かけませんが)。ただし、金銭で贈与を受けてそのお金で保険料を払ったら、「保険料を負担してもらった」のではなく「金銭贈与」扱いになります。一見どちらでも同じような感じを受けるかもしれませんが、保険金が多額な場合は、贈与税に大きな開きが出てきます。

■途中で契約者変更すると?

 では契約期間の途中で契約者を変更した場合、つまり冒頭のようなケースでは課税関係はどうなるのでしょうか。以下の条件で見てみましょう。

契約期間10年の養老保険
保険金:1000万円
保険料:毎年100万円×10回
契約者(保険料負担者):夫 → 10年目に妻に変更
被保険者:夫
保険金受取人:夫 → 10年目に妻に変更

 このケースでは最終的に妻が1000万円受け取りますが、保険料の負担は夫が900万円、妻が100万円です。そのため保険金を受け取った妻が負担すべき税金の種類は、

・1000万円の10分の9=900万円分は贈与税(夫が保険料を払ってくれたことにより保険金を受け取った)

・1000万円の10分の1=100万円分は所得税(自分が保険料を払って受け取った)

……となります。つまり、契約者や受取人を変更した段階でなんらかの権利や財産価値が移転したように見えますが、その時点では肝心の保険金が出ていないので、課税関係は発生していません。従って名義変更をしても、その時点で贈与税や所得税を払わなければならないということはなく、あくまで保険金の受取時に課税関係が生じるということです。冒頭の「今はかかりませんが、後でかかってきます」というセリフはそういう意味なのでした。

内藤克
 税理士法人アーク&パートナーズ 代表・税理士。1962年生まれ、新潟県長岡市出身。97年に銀座で税理士・司法書士・社会保険労務士による共同事務所を開業。2010年に税理士法人アーク&パートナーズを設立。弁護士ら専門家と同族会社の事業承継を中心にコンサルティングを行っている。日本とハワイの税法に精通し、ハワイ税務のコンサルティングも行う。趣味はロックギター演奏。

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