エアコン、どうやって涼しくするの?

スーちゃん もうじき夏だね。海で遊ぶときは暑い方がいいけど、家で勉強するときに暑いと頭がぼーっとしちゃう。だからすぐエアコンをつけて涼(すず)しくするんだ。でも窓を閉めてるのに、どうして暑い部屋を涼しくできるのかな。

空気の熱を取り出して外に出すんだ

森羅万象博士より 博士が子供のころ、夏は窓を開け、自然の風を入れて涼んだ。自然の景色も眺めて落ち着いたのを思い出すよ。でも都会ではたくさんの建物が建って緑が減ってきた。犯罪も増えているから戸締まりをしっかりするようになった。ますます暑くなるからエアコンをつけるね。

どうしてエアコンは部屋を涼しくしてくれるかだったね。簡単に言うと部屋にある空気から熱を取り出し、家の外に追い出すんだよ。熱が多いと暑くなるし、熱が少ないと涼しくなる。冷たい空気を増やすというよりは、熱を減らしているんだね。

エアコンは、部屋に置いてあるエアコンの本体と部屋の外にある室外機がパイプでつながっている。パイプの中には、冷媒(れいばい)と呼ぶ物質が流れている。この物質が熱を乗せて、外に運び出してくれるんだ。

冷媒はよく貨物列車のようだと言われるよ。本体で熱を積み込み、室外機まで運んで下ろす。室外機にたまった熱は、外へ追い出す。貨物列車は、本体と室外機をぐるぐる回り、どんどん熱を運んでいくんだ。

では、どうやって熱を乗せるんだろうね。本体を分解すると、熱交換器(ねつこうかんき)と呼ぶ部品が入っているよ。熱交換器は銅のパイプの周りにアルミニウムの薄い板が700~750枚も並んでいる。

まず部屋から本体が吸い込んだ暖かい空気は、アルミの板にぶつかる。そうすると空気からアルミに熱が移るんだ。熱は銅のパイプの中の冷媒に渡る。熱を積んだ冷媒は室外機に向かい、そこで手放して外へ追いやるんだよ。

ここで熱の伝わり方をおさらいしよう。熱は多い方から少ない方へ移っていく性質があるよ。冷えた手を温かい手で包むと、だんだん温まってくるよね。温度が高い方から低い方へ伝わるからなんだ。エアコンでも熱の性質をうまく使っているよ。

たとえば部屋の温度がセ氏28度で、23度に冷やすとしよう。パイプに入っている冷媒は本体の中では5度くらいになっている。熱を受け取ると15度くらいに上がり、室外機の方に移動していくよ。

さきほど、熱は高い方から低い方へ移ると説明したよね。15度に温まった冷媒がそのまま室外機に行っても、外の気温が35度とさらに高かったら、逆に外の熱が入ってきてしまう。これでは熱を渡せないよね。

ここで室外機の中にあるコンプレッサーという機械が活躍するんだ。コンプレッサーは押し付けるような作業が得意なんだよ。

コンプレッサーの中に入った15度の冷媒をぎゅっとつぶすと、温度がぐんと上がるんだ。押しつぶすと、中にある分子が激しくぶつかり合って65度まで温度が高くなるんだ。

温度が上がると外の気温の方が低いから、熱が伝わりやすくなるよ。室外機のそばに行くと暖かい風が吹き出してくるよね。あれは部屋から集めた熱が移り、50度くらいになっているんだ。部屋の中が冷えるかわりに、外は暑くなっているんだね。

熱を外に捨てた後の冷媒は40度くらいに下がっているよ。このままエアコンの本体に帰しても熱すぎるよね。

今度は冷媒を思いっきり膨張(ぼうちょう)させるよ。分子の動きがおとなしくなり、40度くらいの温度だった冷媒が5度くらいまで冷えるんだ。

こうして本体に戻してやると、また部屋の熱を取り込めるようになるんだ。熱を何度も運び出して、部屋の温度を下げていくよ。

空気中の熱をあたかもポンプのようにくみ上げて熱を移す仕組みを「ヒートポンプ」とも呼んでいるよ。

エアコンは冬は暖房に使えるよね。同じようなしくみだよ。冷房に使った冷媒を逆方向に流すだけなんだ。外の空気との温度差を生かして、部屋の熱をどんどん増やすと暖かくなってくるよ。

これから夏が来るので、冷房をたくさん使うよね。冷やしすぎには気をつけようね。

■インバーターが指示を出し、省エネに 

博士からひとこと 今のエアコンはいったん温度を設定すると、温度をほぼ一定に保ってくれる。これを実現しているのはエアコンに組み込んだ温度センサーと、エアコンの心臓部にあたるモーターに指示を出す電子回路(インバーター)だ。
温度センサーは、室内の温度を常時測定している。インバーターは、設定した温度に近づくようにモーターの回転数を少しずつ増やしたり減らしたりできる。
インバーターを内蔵していない昔のエアコンは、モーターを激しく回すか止めるかのどちらかだった。モーターの動きが慌ただしく、温度調節の効率が悪かった。
電機各社は家庭用エアコンをインバーターを採用した製品に順次切り替えてきた。最近では、インバーターを動かす部品の1つに、電力効率の高い電子素子である「パワー半導体」を使うようになった。最新のエアコンは消費電力がかなり少なくなっている。

(取材協力=ダイキン工業)

[日本経済新聞夕刊2017年5月27日付]